42. おしごとについて
遅くなりました。しかもちょっと短いです。
その日の晩もピローテスと三人が遊びに来たので、ニムトやUNOなどをプレイしていた。
他にも、ハエルミアやファーロド、ギルロント、メルディルなんかも遊びに来た。
他にも数人のハイエルフが顔を出していた。
「これ、アレね。カード足りんな」
「実は、『いっせーのーせ』に関しては他のハイエルフで集まってやってるみたいですよ。リバースです」
「ニムトとウノはマッサナ様しか持っていないから、なんとかしないといけませんね」
「うーん…… 紙って無い? 最悪それを重ねて厚紙にして、カード量産してもいいかも。誰かそういう細工得意な人いないかなー?」
「……紙なら俺がなんとか出来るかと。絵も入れよう」
「おっ、そうなん?」
「ギルロントは画家なんですよ。結構人気あるのよ。ウノ」
「……俺しかいないだけ。画を残すだけなら、魔法を使えば良い」
UNOをプレイしながら、カード量産計画を話しあう。
「あ、じゃ、他のゲームのコマとか作ってもらうこととかも出来るのかな?」
「えっ、他のゲームですか!? それは是非! あ、ワイルドフォーです。緑で」
「はいはい、4枚とりますよ。じゃ、まずはカードゲームなんか思い出すかー。ゴキブリポーカーってどういうルールだったかなー?」
「うふふ、ピローテスはまってるわねぇ。はい、アガリ」
今回の勝者はハエルミアになったところで、一度明日の予定を決めることになった。
「そういえば、明日の午後ぐらいに木靴が出来上がるそうですよ。お昼食べ終わったら、一度見に行きましょう」
「えっ、めちゃくちゃ早くない?」
「ラーヴェノアがそうとう頑張ったみたいですよ?」
「うれしい、明日が楽しみ! 幹都、おふみ、明日にもう靴が出来るんだって!」
「へー」
「あたらしいくつ? やったー!」
幹都はちょっと興味無さそうだったが、文葉はうれしいようだ。やはり男女の違いだろう。小さくたって女の子である。
「そういえば、靴もいいですが服も作りませんか?」
「服?」
「はい。いくつか持っておられるようですが、神獣様が戻ってこられるまでもう少しかかりそうですし。折角ですから私達の服をお召しになられてはいかがでしょうか?」
「え、でもいいんですか?」
「もちろんです。トッシェ様方は私達の恩人であり、客人ですから。すいません、本来ならばもっと早くにご準備しないといけなかったのですが……」
「いえいえ、本当に皆さんには良くしていただいて。では、すいません、甘えます」
「では、明日の午前に採寸しましょうか。そうだ、ついでに服の木もご覧になります? それとも、絹か木綿の方がよろしいかしら?」
「「服の木?」」
「あ、そういえばまだあっちには案内してなかったなー。折角ですから行きましょうか」
ということで。明日の午前は服の採寸と服の木の見学。午後からは木靴の確認、その後雅花はギルロントのところでカードゲーム関連の作業、登志枝達はその間にクルンディの赤ちゃんを見にいって、ついでに里の散歩でもしていることになった。
あと、明日の朝はぷースケがメルディルともう1人の3人で里の周辺の見廻りに出るそうだ。
いつの間にかその話でまとまっていた。
*****
次の日の朝、雅花が起きたのはアーシェラとスーヴェラが来た後だった。
最初の二日間の早起きは、やはり赤ん坊が呼んでいたんだろうか、と寝ぼけた頭で雅花はそんなことを考えていた。
朝食をとったあと、皆で服を作る工房の方に向かった。
ちなみに、今日の見張りは特に何も無かったそうだ。ちょっと開けた場所や登り易そうな木があるところを見つけたそうだ。
「今度、ウィルの散歩がてらそこらへん行くのも良さそうねー」
と雅花は言っていた。
工房は割りと大きな家がいくつか連なっていた。機織のような音が聞こえる家もある。
覗いてみますか、ということで、採寸の工房に入る前に音のする方を覗くと、デフォルメしたデッサン人形みたいなのがまさに機織をしていた。人形は、黙々と機を織っていた。糸繰りしているような人形もいた。どちらも、魔法も合わせて使っているのか、なかなか不思議な光景だった。
「これはすごいなー。つーか、あの人形、○るいちみたいだなー」
「何それ?」
「あ、としえさんは○るいち知らなかったっけ? あのくらいのちっちゃなロボットが、家の手伝いしたり伝統芸能のコピーしたりするお話のヤツ。○原望の」
「……あーあー、まさはなくんが好きだったマンガのヤツ。結婚してから読んだ気もするけど覚えてないわー」
「○るいちが何かはわかりませんが、あれはウッドゴーレムです。働き者ですよ」
「おーっ! ゴーレム!」
「ゴーレムって聞いたことある気がする。ゲームで出てくる?」
「そうそう、定番定番。すげー、ゴーレムみちゃったよー」
「あのこ、かわいいね!」
ワイワイとはしゃぐが、ウッドゴーレムたちは気にした様子も無く作業を継続している。
折角ですから、近くに寄りますか? とのことなので、じゃ、お言葉に甘えようか、と話していると、
「あらあら。見学の前に採寸を先にしませんか? なかなか入ってくれないから、ちょっとさびしいわ」
ハエルミアが何時のまにか背後に下り、困ったような顔で頬に手を当てそう呟いた。
少し驚いたが、慌ててすいません、と謝り中に入った。
ハエルミアは冗談ですよ、と笑っていた。
工房の中には、もう1人ハイエルフがいた。イルダリオンといい、服飾関係の作業をしているそうだ。
「では、採寸するのでみなさん脱いでください」
イルダリオンがそういい、ハエルミアも脱がそうとしてくる。
というか、全部脱がそうとしてくるので、慌てて制止した。
ハイエルフ達は首を傾げている。慌てて、男女別がいいな、と告げた。
「あぁ、お風呂と一緒ですね。でも、家族なんですから構わないのでは?」
「いえいえ、採寸するのに見られるのがちょっと……」
「あぁ、なるほど」
アーシェラが首を傾げ、スーヴェラが納得したと、手を打った。
とりあえず、男女順番に採寸することになった。




