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鍬は剣よりも強し~食育で目指せ最強の勇者~  作者: ツクツク法師
すばやさのタネ~何よりも速さがたりない?~
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いざ異世界へ~部外者です~

 唖然ともしますともさ、いきなりキャトルなミューティレーションされたと思ったら女子部屋っ!! 圧倒的女子力っ!! いやぁ、参ったねどうも。

「おいっ、おいっ! しっかりしろっ!!」

 祐樹を揺さぶっても反応がない、ダメだこいつまだ脳の回線ショートしてやがる。

「くそっ、夢かなんかかよ……」

 ひどく動揺していると何やらドアの奥からあわただしい声が響いてくる、その声はどすっ! どすっ! という明らかに大きな足音と共に近づいてきて……そしてっ!

「ちょりーっす!」

 バンッというドアの開く音と共に出てきたのはうん、頭の軽そうな今はもう絶滅まじかの黒ギャルさんでした。ほんと、どうなってんでしょう……。


「ちょっ、マジで何起こったかわかんない顔してるんですけどぉーうけるぅー」

 あっ、はい、ほんとに何起こってるんですか? ドッキリですか? 俺は知らない人だらかドッキリだったらこいつ関連だな……なぁ、寝てないで状況説明してくれよぉ!

 ブンブンと激しくゆすぶってようやく帰ってきた高校からの親友は俺と同じく何が起こっているのか理解はしてないようで……。

「あんた……誰?」

 お前も知らないんかいっ! と突っ込みを入れたくなったがしょうがない、ではなく冷静に考えないといけない状況になってしまった。つまりは祐樹もこのガングロギャルのことは知らず、祐樹の友人によるドッキリという線がなくなってしまったからだ。

「あっ、あーしぃ? あーしぃはねぇ、いわゆるぅーめがみさまぁ、ってゆーやつぅー? やってまぁーすぅ!」

 とりあえず、2、3発は殴っても許されるよね? いや本当に……勘弁してください。


「はぁ、んで? その女神さまが俺たちに何の様なわけ?」

 おぉ、ずかずか切り込むな! 今日はその無神経さが輝いて見えるぜ、祐樹!!

「いやぁ、じぃーつぅわぁー、ちょーっとあーしの統治してる世界で魔王が誕生しちゃってパーリーピーポーしちゃってるわけぇ、チョベリバでしょ? だから別の世界から勇者を召喚しようとしたんだけど……あーしの仲間にぃ、頼れそうなのがぁさぁ彼ぴっぴしかいなくってぇ」

 うん、俺は耐えてる。頑張ってる……ほめたたえられても許されるよね? ねっ!?

「それでぇ、彼ぴっぴに頼んだらぁー『俺のツレの頼みだしぃ? チョー余裕できいちゃうわー』とか言ってぇ、素質のあるやつ送ってくれるっていうからぁさぁ、ここでまってたんだよねぇ、彼ぴっぴチョーヤサシィー」

 あぁ、うん、つまりはあれね。魔王が復活したから勇者になって世界を救ってほしいと……アニメやマンガ好きなら垂涎ものの話だろう女神が黒ギャルのチャラ美でさえなければ……。


 ふと女神ばかりに向かっていた注意が祐樹に向くとそりゃ、もう輝いてましたとも……まるで俺の時代がついに来たといわんばかりですわ。

「やっぱり、わかるかぁ、いやぁ! 俺のカリスマ性っていうの!? にじみ出ちゃってるわけねぇ」

 とかわけのわからないことを言い出す始末。

「あぁ~それそれ、でさぁ……ちょっと行って魔王しめてきてくんない?」

 誰だかわからないみんな……みんななら俺の気持ちわかるよね? お調子者のダメ人間に超絶軽い黒ギャル女神……最悪です。


「それでさぁ、やっぱりチート能力とかもらえたりすんのっ!?」

 ダメ人間、すでにその気です。

「ん? あぁ~、それね、あげるよー。あれ、カンペどこだっけっとあった。確かこの辺にっっとこの伝説っぽい剣と鎧一式と身体能力のこう……じょう? がもらえるっぽいよ」

 あぁ、すごく不安だ……できることなら帰りたい……。

「ていうかぁ、さっきから疑問なんだけど……そっちの奴……誰?」

 そうしてこちらを指さしながら聞くガングロギャル女神……えっ、もしかして俺呼ばれてないの?

「あぁ、ちょっとまって。おっかしぃなぁ……彼ぴっぴは一人だけおくるっつってたのに」

 そうしてなんだか憐れむような眼で見てくるダメ人間……むしろこちらとしてこんなグダグダな展開に巻き込まれずに済んで少し安堵していたり。


「はぁ、ちょっと! それ聞いてないんですけどっ!? 紐として養ってくれるっしょ? じゃねぇっつーの! 職見つけるまで帰ってくるなボケェ!!」

 何やら口論になっているようだが元の世界に戻れるならもはや何でもいい。さらば、グダ展……。

「はぁ、ちっ、なんかぁ、彼ぴっぴが言うには……ほんとはそっちの奴だけだったみたいだったんだけどぉ、お前が介抱してて分かれてから送るのめんどぉだったから送ったって」

 おっ、やっぱり俺関係ないっぽいっ! やったね、これで地球に帰れるよ!! というか、さっきから後ろで祐樹がうっしゃーだの俺はスターで収まる器でもなかったぜとかいろいろ言っているがこの際だ、気にしたら負けってことで。

「じゃぁ、帰してくれるのか?」

「えっ、それが……そのぉ……」

 うわぁお、嫌な予感ビンビンです。

「地球は彼ぴっぴの管轄外だったらしくてぇ……そこから勝手に転移させちゃって責任取らされて……神様クビになっちゃって、んでぇ、異世界への転移ってりょうほぉーの神様のどうい? ってやつが必要だからぁ……つまりは帰れなくなっちゃった、てへぺろ」


 そのとき、俺の中で何かがプッツンと音を立てたのは聞こえた。

「あぁっ!? 帰れなくなったってお前、そんななりしてても神様だろっ!? ふざけんなよっ! 人を勝手に呼び出しといて何様だてめぇ!!」

「は、はぁ? あーし関係ないし、実際あんたなんて何の素質もないただの一般ピーポーのお荷物なんだからあーしに会えただけでもありがたく思えや」

 後ろで祐樹がそーだそーだっ! お荷物野郎とか言ってるが後で蹴とばそう。今はこのインチキ女神に詰め寄る方が先だ。

「神様ならちゃんと責任果たせやっ! ふざけんなよこのブスっ! いい加減な統治してるから魔王なんか現れるんだろっ!!」

「あーし、他ただのバイト女神ですしぃ、そんな責任ないしぃ、つぅーかもうめんどくさいいいや、こいつも送っちゃえ」

「説明せき……へっ?」


 その言葉を最後に俺たちは再度光の穴のトンネルに落とされる。

「おいっ! ふざけんなよっ!! ふざけんなっ!!!」

 その叫びも虚しく俺は穴の中へとどんどん落ちてゆく遠くなるあのガングロ女神の声がうっすらとしかもう聞こえなくなっていた。

「店長にばれたらマジヤバなんですけど……てかクビだけは勘弁」

 今一度落ちてゆく感覚の中で今度はだんだんと意識がなくなってゆく。

 薄れゆく意識の中でこのインチキ女神への復讐を誓い、絶対にこいつの思い通りにはさせないと固く想いながらプツリと意識を手放したのだった。

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