やる気0な天才少女
天才、日常でもよく聞く単語だ。
たしかに世の中には天才と呼ばれるに値する人間がいる。
しかし天才は天才でもその中でも努力の天才と呼ばれる人と根っからの天才と呼ばれる人と2種類に分けられる。
そんな彼ら天才の中でも今回は根っからの天才と天才になり損ねた2人の話をしよう。
彼女は生まれたときからすでに出来が違った。
彼女は正に天才としてこの世に生まれてきたのだ。
彼女にとって世界はひどく怠惰で無駄が多く、そしてかなりつまらないものだった。
自分が片手間にできることを全身全霊かけても出来ない人がいる、そのことに気づいたのは幼稚園を卒業する直前だった。
彼女は特に労せず国立の小学校へと入学を決め両親や親戚に盛大に祝われた。
尤も彼女にとっては国立の小学校だってつまらないものに変わりはなかったのだが。
そんな彼女に生まれて初めて衝撃が走ったのは入学式の帰り道のことだった。
彼女以上にはしゃいでいた彼女の母は彼女の十数歩先を歩いていて時たま彼女の方を振り返りニパッっと笑ってはまた前を向く、そんなことを繰り返しては上機嫌に彼女の前を歩き続けた。
結果的にそれが運命を変えた。
入学式の帰り道、彼女の母は運転手が居眠りしていたトラックに横合いから突っ込まれ交通事故によって亡くなった。
彼女の正に目の前で。
彼女の目にはトラックに轢き飛ばされ交差点を転がっていく母の姿が刻み込まれた。
彼女が身近な人の死に直面したのは初めてのことだった。
なにが起こったのかという、理解しがたい現実は目がしっかりととらえている。
彼女の頭は母親の死を完璧に処理、把握し事故から数瞬後に彼女へそれを突き付けた。
直後彼女は意識を手放した。