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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白き鎧 黒き鎧 ピーチ味

作者: Tiroro

こちらは、つづれ しういち先生の作品、『白き鎧 黒き鎧』の二次創作になります。

作品のURLはこちらです。http://ncode.syosetu.com/n7314cw/

つづれ しういち先生に許可を得て書かせていただいております。


Aパート:馨子さん Bパート:原作準拠


内容を簡単に説明しますと、私の普段している読了をこじらせた感じです。

そして、本編を読んでいないとわからないような内輪ネタです。

雰囲気を損なわないように、文体を可能な限り似せています。


注意1:世界観が崩壊しています。

注意2:ライトなBL要素があります。

注意3:鎧ファンの皆さん、ごめんなさい。


白き鎧 黒き鎧が大好きなあまり、その情熱を抑えられず書いてしまいました。

つづれ先生ごめんなさい┏(<:) ペコチョン♪


※短編はそのままではあらすじが出なかったので、前書きにも記載しておきます。

A1  馨子さん


「それ、やめておいた方が良いわ。国産じゃないもの」


 久しぶりに日本へ帰ってきた、母・馨子(かおるこ)が言った。

 近所のスーパーの総菜コーナーに売っているらっきょうだった。

 普段は不在の事が多い母だったが、なぜかこのタイミングで日本に帰って来ていた。


 せっかくなので、俺も名乗っておこう。

 俺の名前は佐竹煌之(さたけあきゆき)。学校でも有名な優等生である。

 詳しくは、つづれ先生の原作の登場人物紹介を見てほしい。


 見てくれはすこぶる良くて、背は高いし、とてもフレンドリーな雰囲気もある上男前だし、じつは女子のファンも結構多い……と、自称している。


 男達から見ても、『かっこいいぜ……』なんて思われてしまうことがあるぐらいだから、女子にモテるのなんて当然だと思う。

 とはいえ、自ら朴念仁な雰囲気を作ってしまっているので、彼女を作ったりなど俺のキャラが許さない。


「福神漬にしましょう」

 そう言って、有名漬物会社の福神漬をさっとカゴに入れた母。

(……こいつ。)


               ◇

A2  内藤キュン


 途中でクラスメートの内藤祐哉(ないとうゆうや)と出会った。


「う~ん、マジIHクッキングヒーター……」

 俺は、その発言を聞いて頭を抱えていた。

(いったい全体、こいつは何を言ってるんだ……可愛い。)

 その横には弟の洋介も一緒に居た。兄弟揃って天使。


「あ……、あのさ?、佐竹く……っ、佐竹?」


 人を呼ぶだけのことで、いちいちどもるな。

 たかだか、恋人の様に『君』を抜くだけのことに、一体どれだけの時間がかかるんだ、こいつは……。


「息子がお世話になっているわね」

 母はそう言うと、内藤に向かって手を差し出した。

「さ、佐竹のお母さん!? は、初めまして!」

 明らかに顔が紅潮している内藤。こいつ……年上好きか。


「今日は弟君を連れてお散歩かしら?」

「いっ、いや……。家、こっちなのかな? と思って……」

 意味がわからない……こいつは一体何を言っているんだ。

 お前、自分の家がどこにあるのかわからないのか?


「あ、そういえば、一年の時、よく図書室にいたよな?」

「よく知ってるな」

 やっと内藤から共通の話題が出たのが嬉しくて、俺は少し頬が緩んだ。

「あ、俺、図書委員やってたから。……つっても、図書室でふざけちゃあ、女子に“男子~、ちゃんと仕事やってよ~”と怒られてただけだったけど」

「ああ、そうだったな……」

 内藤の目が、驚いた色でこちらを見た。

「え? ……覚えてるの?」

 自分から振ってきたのに、なぜかドン引きされた。

 仕方ないだろう。こっちが静かに祐哉を見つめているというのに、あれだけ女子に騒がれていたのでは。

 離れていたとはいえ、心は一つ。あれでお前のことを気にするなというほうが無理な話だ。

 そんな心の声が聞こえてしまったのか、内藤はまたドン引きしていた。

「……ごめん。そうだよな、あれだけ見つめられたもんな? 俺……」

 俺は、ちょっと口元を緩めた。

(なんだ。ちゃんと覚えてるんじゃないか。)


               ◇


A3  ズールさんの災難


《異界に惑いしまことの子らよ……》

 彼方で、しわがれた老人の声がする。


《寄り来たれや、ここなまことの同胞のもとへ》

 呻くような、囁くような──

 でも、喉を絞るような苦しい声だ。


 知らない声?

 ──まさか、おじいちゃん?

「宗之さんの臭いがする!!」

 母は叫んだ。


「俺って……。」

 内藤キュンの声に、ばくん、と心臓の音が飛び跳ねた。

「俺って、何で……ここにいるんだろ」

(………!?)

 俺にもよくわからないが、お前の家がこっちなんじゃなかったのか?


 ……と。

 ばひゅっ、と、突然つむじ風が湧き起こった。

 ばたばたっと、シャツの襟がはためいて、うなじが煽られたのが分かった。

 「やん!」と隣で服の裾をおさえながら、洋介が小さく悲鳴をあげた。可愛い。

「佐竹……」

 内藤の声が、ひどく低くなっていて、その目も、ちょっと怯えた色になっていた。

「……え?」

 見返すと、驚いたように俺を、いや、「俺の後ろ」を見つめている。

 俺は、恐る恐るそちらを振り返ってみた。

 その風は明らかに、「こちら側」から、そこへ流れ込んでゆく空気の渦だった。


 俺の背後には、真っ黒な《穴》が開いていた。

 だが、何かまずい事に気が付いたのか、急激に穴は閉じられて行っている。

 そんな事はお構いなしに、母はその穴を両手でつかむと、力ずくで広げ始めた。

(なん……だ、この状況……?)

 穴から聞こえる声は、そもそも言葉が難しくて、意味もよくわからない。


「内藤!」

 俺は内藤に向けて手を伸ばし、恋人繋ぎのまま救助した。

 洋介も、ランドセルが電柱に引っ掛かって助かっていたのだが……。

「煌ちゃん! お母さん、ちょっと異世界に行ってくるから!」

《……いかぬ! ……いかぬって……!》

 このままでは、母が何やら多方面に迷惑をお掛けしそうな事だけはわかる。

 だが、仕方があるまい。この人は言って聞くような人ではないのだ。

 俺は兵士の礼をして、母の旅立ちを見送った。


                ◇


B1  ゾディアスさんと勝負


「双方、いいか? ……では、始め!」


 沈黙のままに、時間が過ぎてゆく。

 ──その刹那。

 ゾディアスが、突然、動いた。

(………!)


 ゾディアスは、まるで何の気なしにといった風情で佐竹に向かってすたすたと歩み寄ったかと思うと、なんと、明後日の方へと手にした長剣を放り出した。


「ならば!」

 佐竹もとりあえず、明後日の方へと手にした長剣を放り出した。


「……どういうつもりだ?」

「遠くまで剣を飛ばした方が勝ちというルールになった」


 ゾディアスが一瞬、気を呑まれて目を見張ったところへ、足元の砂を蹴り上げ目潰しをする。

「く……!」

 そのまま襟首を掴んで、次の瞬間、激しく地面に叩きつけていた。

 気がつけば、その巨躯に圧し掛かり、組み敷いて、床ドンの体勢になっていた。

「…………」

 ゾディアスは驚いて、言葉を返す気にもなれなかった。

 この組み合わせは、さすがに各方面から怒られるのではないか。


「それ以上いけない!」

 ダイスは更に呆れ返った様子で、それでも一応、そう言った。

 そして、盛大に溜め息をつきつつ、しかめっ面でばりばり頭を掻きながらこちらに歩み寄ってくると、まだゾディアスの上にいる佐竹に向かって吐き捨てるように怒鳴りつけた。

「馬ぁ鹿! そういうのはディフリード様にやれ!!」

 そのまま、どかっと佐竹の背中に容赦なく蹴りを入れている。


(まだディフリードさん登場してないじゃないか……。)

 心底そう思ったが、佐竹はそれでも黙っていた。


               ◇


B2  南の国から


《そこに、いるのか……? 白の王よ》

 耳元で、不思議な声がした。

 低くて張りのある、少し好みの若い男の声だ。

(………?)


 思わず体を起こして、周囲を見回す。

 誰もいない。

 気のせいだったかと体を横たえた途端、再び同じ声がした。


《白の王、ナイトよ。聞こえているか?》

「………!」

 間違いなかった。ナイトは飛び起きて、もう一度周囲を必死に見回した。

 部屋の中には、やはり誰の姿もない。

(素敵な声……。)


「お前は、だれだ……?」

 若干ドキドキしながら、その声に尋ねてみる。相手は、喉奥でククっと笑ったようだった。

《すぐにわかる──》

 声に、艶のある色気が滲んでいる。

 いや、それは好意そのものだろうか。

《……なんか、勘違いしてないか?》

(………!)

 背中を、冷たい汗が伝い落ちていくのが分かった。

 これは恋の予感ではないのか!?


《予告しておこう。貴公の国でいう、『冬至の日』だ》

「…………」

 声は、いかにも余裕の笑みを含んでいるようだった。


《貴公の御身を、頂きに上がる》

(………やっぱり!)

 ナイトは、目を見開いた。


 なんという豪胆さか。

 一国の王をかどわかすのに、わざわざ日付を予告するとは──。


 もはやときめき過ぎて声を発することもできずに、微動だにしなくなったナイトを嘲笑うかのように、

その声は最後の台詞を吐いた。

《まあせいぜい、カボチャでも炊いて待っているがよろしかろうよ──》

 くすくすと、くぐもった笑声がそれにつづき、ふつりと声はそこで途切れた。


 元どおりの静寂に包まれた暗い寝所の中で、ナイトは寝台に起き上がったまま、ただ興奮する気持ちを抑えていた。心の臓はばくばくと早鐘のように打ち続け、頬はひどく紅潮している。ナイトは、両手で顔を覆った。


 考えるまでもない。

 ……これは、恋だ。

 あのようなことを、あのような言葉で、この自分に言いうる者は一人しか居ない。


「さっちゃん……!」


 寝台の中で底知れぬ胸キュンに包まれて自分の肩を抱きしめ、体を震わせている王を、室内の灯火だけが、静かに暖かな光で照らしていた。



《完》

この二次創作を、尊敬するつづれ先生へ捧げます。

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― 新着の感想 ―
[一言] いやもう、涙が出るほど笑いました。本当に有難うございます! 素敵妄想、最高です。さっちゃんの声にキュン死にしかかってるナイトさんがもう最高です(爆涙)
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