カッパ巻きのお話
河童を巻いて食べるという衝撃のナレーターから命からがら逃げてきた河童たち。
「はぁ・・・怖かったねぇ。」
「河童巻きとか、なんて残虐な食べモノなんだ。」
「僕らの祖先が滅んだのって、人間に食べられてたせいでもあったのかなぁ・・・」
「人間の尻小玉まで食べようとするから、きっと帰り打ちに合ったんだ。自業自得さ。」
「でも、ご先祖様たちのせいで僕たちまで食べられてたら、世話無いもんね。」
「まったくだ。」
「ところで、兄さんは何処に行ったんだろうねぇ?」
「そういえば、いないな。」
そう、そこで会話してたのは次男河童と末っ子河童。長男河童の姿がどこにも見当たらないのである。逃げている最中にはぐれてしまったのだろうか。
「まぁとにかく、僕らも食べられるとかシャレにならないから、人間には気をつけような。」
「そうだね。」
「・・・と、兄さんが戻ってきたぞ。」
「え、ホント??」
ニ匹が振り返ると確かに、長男河童が手を振りながらこちらにやってくる。
「お~い、お待たせー」
「どこいってたんだ、兄さん??」」
「いや~、ちょっとナレーターの彼と仲直りしてたー。」
「え、食われそうにならなかったか??」
「兄さんって変な度胸あるよねぇ。」
「ならなかったならなかった。ぬめぬめしててまずそうだとまで言われちゃったよー。」
「先代の河童たちはぬめぬめしてなかったのかねぇ?」
「そんなはずはないと思うんだが・・・」
「まぁ、ソレはソレ、コレはコレで。お土産をパクッt・・・もらってきたよ。」
長男は、手に持っていた小さな包みを見せた。箱には大きな文字で、「スシ」と書いてある。
「なんだ、ソレ?」
「カッパ巻きだよー。」
「「河童・・・巻き・・・それが・・・?」」
「そうそうー。いや、僕も最初は誤解したんだけどさ、そもそもカッパ巻きっていうのは・・・」
「河童があんなコンパクトサイズにまとまるなんて!!」
「あの箱の中にはきっと、放送できないモザイク物質が入ってるんだ!!」
「「に、逃げろ!!」」
同時に逃げだす次男河童と末っ子河童。箱を持って一人佇む長男河童。
「・・・逃げるのは、話を最後まで聞いてからでも良いと思います。まーてー!」
「おおおおお、追いかけてきたよ兄さん!!」
「くっ・・・やっぱりグロ路線で行くしかないのか・・・!!」
その後、河童たちの追いかけっこは3時間続いたという。そして・・・
「ぜーぜー・・・美味いっす、カッパ巻き!」
「はぁはぁ・・・でしょー・・・。キュウリとご飯って、素敵よねー」
「おいおい、あんまり詰め込むと・・・」
「ゲフぶっ!!」
「・・・ほら、詰まった。ホレ、水。」
「てか、なんで君は息切れ一つしてないのさー」
「次男だからな。」
「そうかー」
・・・無事に誤解も解き、兄妹仲良くカッパ巻きを食べたそうな。
誤解解決です、いや、良かった良かった(*´∀`*)