グッズ化したいって話
変わり者が多い近代の日本の社会。そんな社会なのだから、河童が好きな人間がいてもおかしくはない。しかし、そう言う人間の周りにこそ、河童のアイテムというのは少ないものである。僕の知っているある人間は、スリッパから抱き枕、ぬいぐるみ、計6種類の河童アイテムを手に入れているというのに、それでも少ないというくらいである。
当の本人達としてはソレはどうなのか・・・
「確かに、僕らってアイドルとしての知名度低いよねー。」
「妖怪だからな。グッズ化したら罰が当たるとでも思ってるんだろう。アイドルは目指しとらん。」
「ソレにしたって、計6種類ってすごいよ。僕らも愛されてるね。」
・・・と、和やかな会話を繰り広げる河童の兄弟たち。
「まぁ河童のグッズが少ないっていうなら、本人である僕らが考えてあげれば良いんじゃないー?」
「めんどくせぇ。」
「河童のグッズかぁ。僕らがモデルって、なんだか照れるね。」
「言ってろ、ガキが。」
長男にそう吐き捨てられ、隅で「の」の字を書き始める末っ子河童。なんという扱いの悪さ。
「きっと、尻小玉を抜かれるっていう怖いイメージがカッパグッズを出させなくしてるんだよー。可愛さを売りにしようー」
「可愛さねぇ。手乗り河童とかか?」
「お、いいねー、それ!」
ここで少し想像してもらおう。掌に乗るサイズの河童が自分と一緒に生活するのである。餌はキュウリ。・・・ペットとして愛されそうである。
「でも僕らは合わせて三人しかいないから、叶わない夢だねー。ミニチュア河童のロボット作れる科学者が出現する事を祈ろう。」
手乗り河童の案は却下された。確かに可愛いが、生き物である以上は限界がある。特に三匹ででは難しい事であろう。かなり有名になれるとは思うのだが。
「あ、兄さんたち!加湿機とかはどうだろう!」
なるほど、河童と言えばイメージは水である。ならば、空気を潤してくれる湿気などは河童のイメージにぴったりだ。しかし、末っ子河童が立ち直ったようで何より。
「可愛い弟の案だからな、考えてみるか。」
「頭の皿の水はちょっと捧げるわけにはいかないから、加湿は吐く息でするんだねー。」
「良いグッズだと思わない?」
「はー」
末っ子に自分の息を吹きかける長男河童。鼻をつまんで転げ回る末っ子河童。
「・・・と、まぁこんな風に、ご飯にキュウリのニンニク漬けを食べた後で加湿しようとすると、苦しむのは人間たちになるわけだー」
「いや、なんでキュウリをニンニクで漬けたんだよ。」
「栄養バランスを考えてみました(笑)」
「うぅ・・・この案は没だね・・・」
いや、加湿器は機械で、君達が出陣するわけじゃないから、というツッコミも虚しく、その案は没にされた。出ないかな、河童の加湿器。
「じゃぁ、キーホルダーはどうだろう?」
と、長男が取り出したるは赤い紐。ソレを末っ子の首に巻きつけて・・・きゅっとな。」
「きゅーーー!!くるし・・・ぬ・・・むきゅぅーー」
「こんなケータイストラップ・・・どやー??」
「や、売れないだろう。」
「やっぱりかー」
解放される涙目の末っ子。
「・・・なんか、グッズ化って苦しいね・・・」
「世の中そんなに甘くないからねー。僕らはでしゃばらず、静かに暮らそうか。」
「兄さん・・・グッズ化する気は始めから無かったろ。」
長男河童は単に遊びたかっただけのようである。
「ま、今後に期待してるよ人間さーん」
・・・それでもカッパグッズはなかなか見つからないのであった。
カッパグッズ計6種類の人間。
言わずもな、私です(笑)