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豪運の者現る

俺、「勇気正義(ゆうきまさよし)」は不思議なまでに幸運である。

 道端を歩いていたら1万円を拾ったり、自販機のルーレットで外したためしがなく、挙句の果てには商店街の福引で1当の温泉旅行が当たったりと何かと豪運なのだ。(だが宝くじは当たらない・・・ぐぬぬ)


 そんな俺だがついに懸賞で「VRシュミュレーター」をGETしたぜ!

 (VRシュミュレーターとは、VRの仮想世界で自由に冒険できるいわば立体型ゲーム機だ。)


 「学生の俺には手が届かない額の物だから嬉しすぎる!じゃま早速やりますか!」

いろいろなジャンルの中で一番やりたかった物、それは基本プレイ無料のMMORPG。


 「ゼロオンライン」

 

 専用ゴーグルをセット、ゲームスタート。

まずは設定で名前を入力。名前はいつも使ってる『ジャスティス』。

 まあ本名をもじっただけなんだけどね(笑)

職業もいろいろあるな。どれにするか・・・うん『盗賊』でいこう。戦士ってがらでもないしな。

それじゃいよいよゲームスタート。いざ「ゼロオンライン」の世界へ・・・


目をあけるとそこはどこまでも広がる自然。本物としか思えないリアリティ感。 

 ついに「ゼロオンライン」の世界に来たんだ。胸が高鳴る。早く冒険したい。・・・と思ったがまずはステータスの確認だよな。

ステータスを確認して俺は目を丸くした。 


luck・・・999?


 幸運がカンストしてやがる。どうなってんだ?

 いくら普段運がいいからってゲーム内で反映されなくても・・・

なんてステータス画面を見ながら歩いてたら足元に感覚がなくなった。

前方不注意!そこは崖になっていたのである。

勢いよく落ちる俺。どこまでもどこまでも落ちていく。

 最悪だ。いきなりこんなスタートは無しだろ。なにが幸運カンストだ馬鹿野郎。

そんなことを思いながらもどんどん下へ転がっていくのであった。


どうやら気を失っていたらしい。どれくらい時間がたっただろうか。気が付けば洞窟の中にいた。

 「いてててここどこだよ」

周りを見渡してみる。洞窟だ。上を覗くと人一人分が通れそうな穴があった。あそこから落ちたのか。

 随分器用に落ちてきたようだ。

やれやれと思いながら洞窟を進んで行く。深い深い洞窟を。モンスターが出ないのが不思議なくらいだ。


かれこれ1時間くらい歩いた。するとようやくひらけた場所にでた。ボスでもいるんじゃないかと一瞬息を飲んだ。だが予想に反してそこにあったのは宝箱だった。注意深く観察する。ミミックだったらたまったものじゃない。

だが現状どうしよもできない俺は勢いで開けてみた。


そこには手のひらサイズの玉が入っていた。

 玉?と思いながら手に取ると


 ユニーク武器『死神の棘』


を手に入れました。とウインドが開く。

 なんだこれ?と思い早速効果を確認してみた。

「この棘に刺された生き物は一定の確率で死亡する」

棘?そんなもの何処にと玉を調べてみたらボタンがついておりそこを押すと薄いしかし長い針のような物が出てきた。あれだ「まち針」の大きい版。

ただ棘の部分は長さを調節でき最長10メートルぐらいまで伸ばせる事がわかった。

 

それにしても「一定確率で死亡」ね・・・強いのか弱いのかわからんものが手に入ってしまった。

試しに使ってみたいがここにはモンスターもいなく・・・などと思っていたら人の声が聞こえてきた。


「おいおいこんな所まできて何も無しかよ」

「まてよ、獲物が一匹いるじゃねえか」

そうニヤニヤしながら二人組の冒険者が入ってきた。 

こいつら「PK(プレイヤーキラー)」だ。その証拠に名前表示が無い。


 「ゼロオンライン」では名前表示を消す事ができるのだ。


「おい、そこのにいちゃん、装備と有り金全部おいていけば命だけは助けてやるぜ?」

「おいおいこいつ初心者だろ?刻んでおもちゃにしたほうが楽しめるぜ?」

「それもそうだな(笑)どうせろくな物持ってないだろ」

 下衆共が。だが言われた通りアイテムなんてろくに持ってな・・・

 そう思った矢先さっき手に入れた玉を思い出す。

 一定確率ってどんなものだ?ええい今は考えるより行動する時だろ!

 棘の射出速度は電動エアガンくらい不意打ちでいける!

奴らとの距離が近づく、10、8、5メートルここだ。

俺は『死神の棘』をPKの一人にむけて射出した。

「なんだそりゃ?新しい命乞いか(笑)」

 ダメか・・・と思った次の瞬間射貫かれたほうのPKがぐらりと膝をつき倒れこんだ。

「おいどうした?お前なにしやがった??」

針は透明で見えないだがそこには確実にあるのだ。

俺は伸びた針をしまう事なく剣を使う要領でもう一人に当ててみせた。

するともう一人のPKも何も言わずその場に倒れこんでしまった。

 「ハアハアどうなった?」 

俺は二人のPKにHPを確認する。

     0

二人とも死んでいるのだ。

手が震える。ゲームの中とはいえ人を殺したんだ。いやでもやらなきゃやられてた。

それにしても『死神の棘』この武器と俺の愛称は最高なんじゃないか?

だって俺のluckは999これってつまり一定の確率を必ず引けるんじゃないのか?

俺は身震いしていたが顔はきっと「笑っていた」と思う。


PK二人の死体をあさり適当な装備と有り金を奪いとった。


PKこの行動自体が悪いわけじゃない。ただ無差別に攻撃したり初心者狩りをするようなやつらはダメだ。それ相応の覚悟を持ってやらなきゃな。


そう心に刻みながら俺は暗闇の中を進んで行くのだった。

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