隣町にて
二十歳になった。
地元とは反対方向の電車に乗って、映画館のあるような大きなデパートにいた。面白くもない話題の映画を見た。つまらなかったなと言いながら、小さな噴水の周りにある、低い段差に腰掛ける。今頃は、思い出したくもないような醜い顔たちが、今は無き自分たちだけの楽園を語り会っているのだろう。彼らのことを憎んでいるのに、そこだけが故郷なのだと、思わされる。あぁ、こんなところに来て、何をしているんだろうと、暮れかけの往来を追った。
「私たち、何してんだろうね」
ふと、口からこぼれたみたいに、彼女は言った。
「さぁ、そんなの知らないよ」
彼女は丸い鼻を夕空に突き立てて、横目でじろりと情けない僕の横顔を見ながら、妙に気取った声で言う。
「私は知ってるよ。君は私についてきただけ。所詮、金魚の糞だよ」
「酷いな」
「間違ってないでしょ。それに、君の方こそ酷いよ。私を言い訳に使ってる。」
「違うよ」
「何が?」
「僕はちゃんと、君とここに来たかったんだ。だから仕方なかった」
「あっそ。じゃあ聞くけど、君は私のどこが好きなのかな?」
「…」
「ほら、答えられない」
「好きじゃなかったら、一緒にいたらダメなのか?」
「ダメだよ。好きでもないのに一緒にいるなんて、人生の無駄使いじゃん。君にとっても、私にとってもね。だから、認めなよ。君は言い訳をしているだけだってさ。」




