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2度目の人生に希望の花束を  作者: 璃空 藍
第1章 転生と学園生活
7/8

第6話 人生は雪だるまのように儚い

第6話です。対戦よろしくお願いします

久しぶりの更新です。

この後の物語の展開がどんどん固まってきました。

 次の日。教室に入ると、突然たくさんの人がたかってきた。


「アヤセさん、昨日のはどうやってやったんですか!?」

「すごかったっす!尊敬っす!」

「昨日の魔法は悪くなかった……弟子にしてやらんこともないが」


 ありがとう、などと軽く受け流して私はリキの隣に座る。

 私が隣に座ったことに気づいたリキは、受け流し疲れてため息をついた私の方を向く。


「人気者だな」

「そりゃどーも。正直、かなりありがた迷惑なんだけどね」


 私は昨日の一件があって、見惚れたのかなんなのか知らないけど、なぜかいろんな人に尊敬の眼差しで見られるようになってしまった。

 一方リキは、発作のせいか、変わらず汚物を見るような目で見られ続けており、私と話している時に至っては、こそこそと何か話しているように感じる。

 リキのことは、私がしっかり守らないと。


「2人とも、おはよう!」

「サイカ、おはよう」

「おはよーう」


 サイカちゃんは、特に嫌な態度を取られるということもなさそうな感じ。

 むしろ、好意的な態度を向けている人が多いように感じる。

 そのうちファンクラブでもできるんじゃなかろうか。

 サイカちゃんは純粋で優しいから、悪い人に騙されたり利用されたりしないか心配だ。


 授業開始のチャイムが鳴ると同時に、先生が教室に入ってくる。

 先生は相変わらず、露出多めの衣装を身にまとっている。


「みんな、おはよう!1時間目は予定していた通り、演習ホールで魔法の実技を行うぞ!早速、演習ホールまで行こう!」


 先生に連れられて私たちは演習ホールへと来た。

 昨日襲撃を受けた跡は無くなっている。

 まるで、事件があったことを隠すかのように。


「魔法の実技を行う前に、みんなに話しておかなければいけないことがある」


 昨日の件について話すのだろう。私だけでなく、クラスのほとんどの人がそれを察したようで、私たちの方をチラチラと見てくる人もいれば、ため息をつく人、目を逸らしてしまう人といろんな態度を見せる人が出てくる。


「まず、昨日の一件では、すぐに駆けつけてやれなくてすまなかった」


 先生が突然頭を下げるので、私を含むここにいる全員が驚いた。


「しかし、アヤセ・レイドルク、リキ・サンドーレ、サイカ・トキムネの3人の活躍によって被害は最小限に抑えられた。改めて、礼を言う」


 先生が再び頭を下げると、数秒の沈黙があったのちに、誰かがこちらを向いて拍手をし始めた。それに続いて私たち3人を除くクラスの全員が、わたしたちに拍手をしていた。


「ちょっと恥ずかしいね」


 サイカちゃんが私にヒソヒソと話しかけてくる。


「……そうだね」


 拍手が鳴り止んだころ、先生が再び口を開く。


「さあ、魔法について教えていこう。まずは、スキルについてだ。通常の魔法は自身の体内に含まれている限りある魔素を使って発動するのだが、スキルは大気中に含まれている魔素を使って発動させる。つまり、スキルはほぼ制限なく扱うことができるんだ」


 両親にそんなことを教えてもらったなぁ。体内の魔素は時間の経過とともに、ちょっとずつ大気中の魔素を取り込んで回復するんだっけ。


「魔法は、イメージによって発動した時の効果が変わってくる。例えば、私のスキルは炎魔法だ。そこでこの剣に、炎を纏わせるイメージをして呪文を唱えると……『グロリアス・ブレイズ』」


 すると、私たちから見て左方向に構えられていた剣から炎が噴き出た。そして、その炎は剣に吸収されて、剣がほんのりと赤く光るようになった。

 周りから、おおっという声が上がる。


「このホールには特殊な防壁が施されていて、魔法が壁や人に当たることはないから、安心して魔法を使ってみてくれ」


 クラスメイトが演習ホールのあちこちに散らばって、魔法の練習をし始める。

 私は2人とやろうかな……


「2人とも、一緒にやらない?」

「私も同じこと考えてたよ!」

「ああ、そうだな」


 私たち3人は人の少ない場所まで移動し、早速魔法を使おうとしていた。


「えっと、魔法を使うところをイメージして……『ヘル・ゲーニー』!」


 サイカちゃんが呪文を唱えると、氷で作られた雪だるまがそこに形作られる。


「おお、すごい」

「これって、無くすこともできるのかな?」

「やってみるね」


 サイカちゃんが雪だるまに意識を集中させると、雪だるまが淡い光を放つ魔素になって消えてしまった。


「……ちょっと儚いね」


 私とリキがサイカちゃんの言葉に頷く。


「雪だるまといえば……王都って雪、降らないよな」

「大陸の南東寄りに位置してるからね。北の方に行けば降ってるらしいよ」

「そうなのか。行ってみたいなー」


 そういえば、私が前世を過ごした町でも時々雪が降ってたな……

 小さい頃は、雪だるまを作ったりしてたっけ。


「次は……リキくんの魔法が見たいな」

「え」


 リキが少し後ずさりしてしまう。


「大丈夫、リキならきっとできるよ」

「えっと……俺のスキルは爆発魔法なんだけど……その……」


 そこまで言うと、目を逸らして黙ってしまう。

 私とサイカちゃんは、何も言わずにリキを見つめている。


「俺、炎が怖くて…… 使うのが怖いんだ」


 きっと、前世で何かあったんだろう。

 例えば、火事で家族を亡くすみたいなことが――


「わかった。無理して使わなくていいんだよ」


 サイカちゃんも私の横でこくこくと頷いている。


「あ……ありがとう」


 リキが、今にも泣き出してしまいそうな声で言う。

 この重い雰囲気に耐えかねたのか、サイカちゃんが口を開く。


「最後は……アヤセちゃんの魔法が見たいな」

「あっ、俺も!昨日のアヤセ、すごくかっこよかったから……」

「うーん……昨日は自分に強化魔法をかけたけど、他の人にもかけられるのかな?」


 2人を運動神経を強化するイメージをしてみる。

 ……2人の運動神経がどのくらいか知らないから、意外と難しい。

 とりあえず、2人の能力を底上げするイメージをして、魔法を発動させてみよう。


「『マリン・スター』」


 2人に魔素の薄いオーラがかかる。

 成功したのかな?


「おお……なんだかすっごく体が軽いよ!」

「なんだか体を動かしたくなってきた!ちょっと行ってくる」

「えっ」


 そう言って、リキは演習ホールの周りを走りに行ってしまった。


「……私も行ってこようかな!」


 サイカちゃんまで!?


「仕方ないなぁ……私も行こうっと!『マリン・スター』!」


 自分自身にも2人と同じ強さの強化魔法をかけて、走り始める。

 少し早めのペースで走っていると、2人の姿が徐々に見えてきた。


「やっと追いついたよ、2人とも」

「アヤセ!一緒に走ろうぜ!」


 私は頷いて、2人の間に入る。

 前世はこんなに楽しく誰かと過ごしたことなんてほとんどなかった。

 こんな時間が、ずっと続けばいいのにな……

第6話でした。対戦ありがとうございました

小説がもっと速く上手く書けるように頑張ります。

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