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2度目の人生に希望の花束を  作者: 璃空 藍
第1章 転生と学園生活
5/8

第4話 初陣

第4話です。対戦よろしくお願いします。

逆立ちしたい気分。できないけど。

 力が溢れてくる。こんな感覚は初めてだ。今ならなんでも出来る気がする。

 強化した足で地面を蹴り、フードを被った人たちの先頭にいるリーダーと思わしき人物に迫る。


「あら、戦える子もいるんだね」


 女の声だ。女性か。

 金の玉を蹴ってやろうかと思ったけどやめておこう。


「いやー、主に才能ありそうなやつ探してこいって言われたんだけどさ、今日入学初日じゃん?まともに魔法が使えるやつなんているわけないでしょ。適当に荒らして、いませんでしたーで済ませようと思ったんだけど……才能あるやつ、案外いるじゃないの!」


 足払いをしようとしたが、逆に足を掴まれて投げられてしまう。

 空中で何回転か決めてステージ前に着地する。


 さあ、どうする?このままじゃ歯が立たない。相手も強化魔法を自身にかけているようだ。

 ん?だったら手加減する必要はないのでは?

 もっと速く、もっと力強く。もっと硬く……


「『マリン・スター』」


 まずは先頭の女以外の5人を手刀で気絶させる。

 速いけれど、案外体が追いついている。なぜなのか気になるけれど、今はそんな場合では無い。


「あっはっは!いいね、あたしの部下を一瞬で気絶させる人は初めて見たよ!こりゃあの方に報告しないと!」

「行かせないよ」


 後ろに回って足払いしようとしたが、間一髪のところで避けられてしまう。

 思わず顔をしかめてしまった。


 すかさずみぞおちあたりに1発入れる。すると女は吹っ飛んだ。なんとか着地できたようではあったが……


「いったぁ……」


 女は私の元に瞬間移動してきて、手刀や魔法を何度かかましてくる。それを何となく避けたり受け止めたりしながら、殴ったり蹴ったりしようとしてみるが全部避けられてしまう。


「手と足に注意が行きすぎだよ、もっと全身を見なきゃ!『ヴェーチェル・アゴーニ』!」


 お腹にずっしりと重いものが来る。風魔法?最初に周りの人が吹っ飛んだ魔法と同じものだ。それにしても威力が強い……


「っあ……!」


 ステージの奥の壁に激突する。背中が焼けるように痛い。骨何本か折れたかな……

 突然脱力感でいっぱいになる。


「魔法が……解けた?」

「ご名答。これはさっきの風魔法と封印魔法を合わせた魔法よ。触れた魔法を強制解除することが出来る!」


 女がステージの上に瞬間移動してこちらに手をかざす。


「才能ある者は抹殺……って命令なんでね。『ヴェーチェル・アゴーニ』」


 かざされた手から漆黒の闇の玉が生成される。

 まずい。

 動けない。


「アヤセぇーーっ!!」


 私の前に人が現れる。

 よく見ると、それはリキだった。


「リキ!?何庇って……」

「大丈夫だよ、アヤセ。痛くもなんともないし!」


 そう言ってリキは魔法の当たった左腕を回したり曲げたりしてみせる。

 大丈夫ならいいのだけれど……時間差で効果が来るものなのかもしれないから、油断はできない。


「あれ、あんた……」


 突然女の動きが止まった。

 ――と思ったら、突然爆笑し始める。


「あんたリキじゃないの!?まさか、こんなところで生きてたとはね!」

「リキ……知り合い?」

「いや、知らん」


 リキの知らない人なら誰だ?

 前世で関わりのあった人ではあるまいし。


「は……?覚えてないの?姉ちゃんよ?あんたの大好きなみな姉ちゃんよ?」


『みな姉ちゃん』と名乗った女がフードを脱ぐ。

 濃い紫に染まった目をした白髪の女だ。


「みな……姉ちゃん……?」


 リキが女を見つめている。なにか思い出せそうなのだろうか。

 女がゆっくりとまばたきをすると、女の目の色が赤色に変わった。


「あれ、私、リキに魔法を……」


 女の様子がおかしい。それまで強気だった口調が突然弱々しくなる。

 女がまたまばたきをすると、元の紫の目に戻った。

 すると、またもや女が笑い始める。


「どうせ殺さなきゃいけない存在だったし、まぁいい!今日のところはお暇しますか!」


 そう言って女は振り返り、演習ホールの外に出ようとする。


「『ヘル・ゲー二ー!』」


 誰かの呪文が聞こえた次の瞬間、女は何かに縛られていた。


「氷……か?」

「そうだね、でもあんなの誰が……?」

「久しぶりだね、みなお姉ちゃん」


 突然聞こえた声の主は、サイカちゃんだった。

 その様子を見る限り、今女を縛っている氷魔法もサイカちゃんが放ったもののようだ。


「サイカ……そんなところにいたのね?あはっ!今日はたくさん知り合いに会うなぁ!いい日になりそうだよ!」

「こっちに来る少し前、お父さんから聞いたの。みなお姉ちゃんは殺し屋で、よく色んな人を殺してて……私のお母さんも、殺したって!……みなお姉ちゃんとは6、7歳の頃に1度しか会ったことなかったけど、あなたが人を殺して平気な顔してる人だとは思わなかったよ!」


 リキがあの人のことを覚えていないのなら、前世で繋がりがあった可能性が高いけれど、だとしたらなんで、あの人がここに……?

 転生してきたのは私とリキの2人だけだったはずじゃ?

 それに、サイカちゃんとの関係は――


「まあ、そうだよね……もうここには用はないわ!……また会いましょう。時宗力(ときむねりき)時宗才華(ときむねさいか)、そして……アヤちゃん!」

「なっ……ちょっと!」


 なんで私がクイッターで使っていた名前を知ってるの!?

 女はまた呪文を唱え、ポータルを出して部下と共に去ってしまった。

 なんだったんだろう、あの女は……


「大丈夫かお前たち!」


 先生の声だ。これでもう大丈夫……


「お前たち、このあたりの負傷者を頼んだ!」

「へーい」

「あいよ!」

「任せとけ」


「先生、アヤセが……」

「大丈夫、この程度なら私でも治せる。『グロリアス・ブレイズ』」


 体が軽くなった。折れてしまった背骨も、おそらく治っている。


「すごい……ありがとうございます」

「これぐらい当然よ。……それで、何があったんだ?」


 私はリキと何が起こったのか説明した。あの人が私たちを知っていたということ以外、全部。


「そうか……お前たちのおかげで怪我人もさほど多くなかったようなんだ。アヤセ、リキ、サイカ。よくやった!」


 そう言って先生が笑顔を見せる。

 そういえば、任務は?なんでここにいるんだろう。

 聞いてみよう。


「あの、先生?どうしてここに?任務はどうしたんですか?」

「ああ、魔神ベリアルの手の者と思われる人物が現れたから捕らえてくれという任務でな。追いついた頃には逃げられてしまっていたが……」


 魔神ベリアル……魔神バエルと敵対している神様で、この国から遠く離れた森の中に都市を築いているという。

 ここ数百年なんの動きも見せなかったと聞いていたが、なぜ今になって……?


「では私は、怪我人の手当てをしてくる!しっかり休みなさい、3人とも」


 そう言うと先生は、ステージを降りて怪我人のいる方へと行ってしまった。


「この後どうする?アヤセ、サイカ」

「うーん、どうしようね?さすがにクレープのお店に行くような状況では……」

「いや行こう、クレープ屋さん。ちょっと状況の整理したいし。……それに、いきなり強い魔法使ったから疲れちゃった」


 そして私たちは、歩き出した。

第4話でした。対戦ありがとうございました。

アヤセさん、実は意外と冷静に物事を把握できるタイプですね。


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