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2度目の人生に希望の花束を  作者: 璃空 藍
第1章 転生と学園生活
3/8

第2話 前世の記憶

第2話です。対戦よろしくお願いします

体調不良やらリアルの多忙やらで全く書けずに1ヶ月空いてしまいました。申し訳ないです

ですがこれからも不定期投稿は変わらないです。ご了承ください。

「ここを通ったらレイラン学校だね」

「……そうだね」

 私は軽く相槌を打つ。


 学校。前世では友達はそれなりにいたけれど、やっぱり陰口が多くてみんないい人だとは思えなかった。

 それに、昔色々とあったせいで学校がいい場所とはあまり思えない。


 でも、案外優しい人が多かったりするかもしれない。もしそうじゃなかったとしても、私は変わらなければいけない。

 それに――


「アヤセ、行こう!」


 今はこの人がいるから、あまり怖くはない。


「うん、行こう」


 ポータルをくぐると、そこはレイラン学校の敷地内だった。

 見渡すと、店と思われる建物や色とりどりの花やきれいな緑色の葉をつけた木があった。

 正面には噴水があり、その少し奥……敷地内の中心には、巨大な校舎が立っている。


「男子寮はここから右か……女子はその反対方向だね」

「じゃあここで一旦お別れだ」

「そっかぁ……学校で会おう!また!」

「またねー」


 学校に入る前に、寮に荷物を置いていかないといけない。

 最低限の物しか持ってきていないけれど、それでも重い。結構重い。

 衣服、お金、スマホ、文房具、娯楽、その他もろもろ……

 まぁ……片付けるのはあとででもいいかな?


 寮の内装は、ちょっと豪華な内装の洋館となっていた。

 確か、部屋の鍵に番号が書いてあったはず。

「618、618……」

 階段を2階まで上がり、分かれ道をどちらに進めばいいのか分からなかったのでなんとなく右に進む。


「あった」


 解錠して扉を開ける。

 左側に机があり、その上に通学バッグと……紙?が置いてある。

 正面に窓があり、窓の近くに来るようにベッドが配置されている。

 右側にはタンスが置いてある。一つ一つのスペースが広いので、本以外の物も置けそうだ。

 そして中心には椅子がいくつかとテーブルが置いてある。


 ここが、私の新しい家。

 靴を脱いで中に入り、とりあえずベッドに寝そべってみる。


 柔らかい。

 とても。

 柔らかい。


 このまま寝ちゃいそう……


「……そうだ!学校!」


 危ない。本当に寝てしまいそうだった。

 ベッドから転がり落ちて起き、机の上に置いてあった紙をみる。


「『アヤセ・レイドルク様、ご入学おめでとうございます。本日は午後2時から午後5時までの授業となります。時間に遅れないよう、近くに置いてある通学バッグを持って1年2組に入り、お好きな席に着席していてください』……今1時だから、まだ時間はあるなぁ……ゆっくり行こう」


 紙を置いて、通学バッグの中に持ってきたスマホと筆記用具、部屋の鍵を入れる。

 それを肩にかけて靴を履き、ドアを開けて階段を降りて寮の外に出る。


 来た時は気づかなかったけれど、隣にもいくつか寮があった。

 聞いた話では、生徒の出身地や身分で部屋を分けているらしい。

 思えば、私は城住まいだったからか、部屋も城の中の家族の住まいに似た造りになっていたな……


 来た道を戻って、噴水のところまで行く。ここを左に曲がって少し行くと、いよいよ校舎だ。

 学校は相当気を使って過ごさないと。何せここは王国の中でも規模の特に大きい学校だ。貴族などの高貴な身分についている人も入学してきているはず。

 あー、がんばろがんばろ……


 校舎の中に入ったら、靴箱の中に入っている上履きに履き替える。

 1年の教室は二階にあるので、エスカレーターのスロープバージョン?に乗って上へと上がる。

 私の教室は1年2組だから、えっと……右?左?どっち?


 あった。1年2組。新しいクラス、新しい友達……

 いや、新しい友達はリキ1人で十分かな。


「お前、さっきリキと話してたろ」

「……はい?」

 知らない男の人。リキと話していた時は周りに同じ学園の人なんていないと思っていたけど、気づかなかったみたいだ。

「俺、リキとは幼い頃から家が近かったもんで、それなりにあいつのことは知っているんだが……一つ忠告だ。あいつには関わらない方がいいぜ」


 あーでたでた、こういう人苦手。他人なんぞに人間関係を決められたくない。


「なんで?」

「あいつ、時々パニックで発作が起きるんだ。突然訳分からんことをブツブツブツブツ言い出してさ。俺らが呼びかけても無視なんだよ。ほら、今も……」


 その人が指さした方を見ると、リキが頭を抱えて何やらボソボソと独り言を言っている。


「おっ……おい!近づくなって言ったはず……」


 私を動かしたのは好奇心か。はたまた、親近感が湧いたのか。

 どちらにせよ、私はいつの間にかリキの近くに立って、リキの言葉に耳を傾けていた。


「やめて……炎は……炎はダメ……やだ、やだやだ、ごめんなさい、行かないで……母さん行かないで、助けて……」


 日本語だ。すごく久しぶりに聴いた日本語。

 なるほど。あの人が言っていた訳分からんことっていうのは日本語の事だったか……


 ……じゃなくて。


 リキが前世に何を経験したのかはしらないが、きっと辛い思いをしてきたのだろう。

 私にリキを救うことは出来ない。けれど、なにかできないだろうか。同郷の人として、放っておくことは自分が許せない。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「お母さんはいい人だった?」

「……うん」


 日本語で聞いてみた。反応すら返さないんじゃないかと思ったけれど、意外とそんなことはなかった。


「ちっちゃい頃から1人でいるとよくこうなっちゃうんだ……なんか色々、ぶわぁって思い出しちゃって……」

「大丈夫。これからは私が1人にしないし、1人にさせない」

「なんでアヤセは俺なんかに構うんだい……?これのせいで誰もよってこなかったのに……」

「私も元々はリキと同じ日本人だからほっとけない……って言ったらダメかな」


 ここまでずっと日本語で会話していたのに、今更気づいたようで、目を丸くして驚いたような顔をしていた。


「いいや、大丈夫だよ。ありがとう、アヤセ」


 リキが少し泣きそうな顔で笑顔を見せる。

 指先で触れてしまえば、途端に崩れそうな……そんな笑顔。


「どうしたの?」

「ん?……あっ……なんでもないよ」


 リキの笑顔に見惚れてしまったらしい。リキに心配されてしまった。


「いやぁ、まさか俺以外にも前世の記憶を持ったまま転生してきた人がいただなんて……驚きだ」

「それは私だってそうよ。しかもこんな近くにいるんだから」

「そうだね……」


 お互い黙ってしまう。

 気まずいなぁ……

 前世で何してたとか聞いてみようかな、でもそれは失礼だよな……


「俺さ、前世のことは断片的にしか覚えてないんだ」

「うん」

「俺が覚えてるのは、アルビノで目がほとんど見えなくていじめられてたことと、小さい頃に家が燃えて叔母の家で暮らしてたってことぐらいだよ」


 そうか。リキの持つ前世の記憶はネガティブなことがほとんどだから、耐えられなくなってパニックになってしまうのも納得がいく。


 あれ、そういえば私にもアルビノの知り合いが1人いたような……


「私は……」


 そう言いかけたところでドアが開き、身長の高くて……胸とおしりがデカくて露出の多いセクシーな服を着た女性が入ってきた。


「冒険科1年2組を今日から担当するキャネル・ローゼよ!全員揃ってるわね?さあ、質問は後よ!演習ホールまで私についてきなさい!」

第2話でした。対戦ありがとうございました

アヤセは父と母が王国の城で住み込みで働いているのでお城でずっと過ごしてました。貴族ではないものの、身分はかなり高めです。

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