第1話 外から来た者
第1話です!対戦よろしくお願いします
プロローグを投稿した後に、途中から段落の最初を1文字下げていないことに気づいたんです……
今回は忘れないように気をつけたので大丈夫なはず……たぶん……
この世界では、16歳で成人を迎え、12歳になってから学校に通い始めるらしい。
12年前。自殺した私は異世界に転生して、国の魔法研究者である母と国の魔法指導者である父の元にアヤセ・レイドルクとして産まれた。両親が魔法関連の仕事をやっていたということもあって、小さい頃から魔法の基礎や魔法を使う時の心構えやコツなどの色々なことを教わった。これらは学校で習うことも含まれているらしく、そもそもまだ魔法は使えないが、やはり早めに学習しておくに越したことはないだろう。
さて、転生して12年目になる私は今、国の首都にあるものすごく大きな教会に来ている。それはなぜかと言うと、魔法を使うための自分専用の呪文と、スキルを貰いに行くためだ。
遠い遠い昔、この世界は魔神バエルによって創造されたと言われている。人間は魔神バエルの好奇心を満たすために創られた存在だと言われており、魔法の呪文やスキルを授けるのも、人間が授けられたものをどのように使うのかという魔神バエルの好奇心を満たすためだと言われているらしい。
ちなみに、私が今来ているローブは今日から入学する学校の制服だ。学校によってデザインには大きな違いがあるが、どのローブも胸のところに魔神バエルの紀章があしらってある。いろんなところからたくさんの学校の新入生がこの教会に来ていて、とてつもなく広い教会は人で溢れかえっている。
……それはそれとして、次は私の順番だ。見ると、前の人が司祭さんの指示に従って祈りを捧げているのがわかる。数十秒ほどで終わったようで、お礼の言葉を告げると前の人は行ってしまった。
「それではアヤセ・レイドルクさん、こちらの御神体に祈りを捧げてください」
教会に御神体はあるものなの?という疑問は置いといて、その御神体はとても凶暴なドラゴンの形をした像だった。私は手を組み顔の前に近づけて目をつぶり、その御神体に祈りを捧げる。
『……お主、あの子と同じく"外から来た者"だな?』
「外!?なんでそのことを!?それに、あの子って誰のこと……」
『落ち着きたまえ、私が教えられることは全て教えよう』
少し取り乱してしまった。落ち着かないと。
魔神バエルのものと思われるその声は、少し渋めで貫禄がありそうな男の人の声で、耳から声が入ってくるのでなく、頭に声が直接響く。
『まず、私が外の世界――お主が元いた世界のことをなぜ知っているのかだが、それは……すまない、私の口から教えることは出来ない』
「仕方ないよ、誰にだって教えることの出来ないことはいくらでもあるんだから。謝らないで」
この人と話をしていると、立場的には丁寧な言葉遣いで話さなければいけないのだろうけれど、どうも謎の親近感が湧いてきてついタメ口を使ってしまう。
『ありがとう。では、あの子のことなのだが……先程言った通り、前世をお主と同じ世界で過ごした者だ。名はリキ・サンドーレという』
リキ・サンドーレ……会ったら話そう。
『だがしかし、あの者はお主以上にパニック状態の中死んだらしく、前世での記憶が断片的にしかないようなのだ。本人はすべてを知りたいと申していた。同郷のお主なら、もしかしたらあの子の記憶を蘇らせることが出来るかもしれぬ』
私よりパニック状態の中死んだ……私が死んだ時は、他のことを何も考えられないくらいパニックになっていたけれど、それ以上なら、それ相応の衝撃的なことがあったのだろう。
「わかった。頑張ってみるよ」
『さて、本題に入ろう。魔法の呪文だが……そうだな、英語で"海の星"を意味する"マリン・スター"はどうだろうか?お主の不純物がひとつもない澄んだ海のような目にはピッタリの呪文だと思うぞ……それに、お主も馴染みのある言語の方がよいだろう』
私の容姿は前世とあまり変わらず、サイドを胸まで伸ばした肩にかかるくらいの長さの茶髪だ。唯一変わったところといえば、目の色。この世界では、目の色でその人の得意な魔法の属性がわかる。
魔法は大きくわけて火・水・大地・光・闇・無の6つにわけられ、私は水色の瞳なので水魔法が得意だ。水魔法はその名の通り水を扱う魔法……だけではなく、氷魔法や雷魔法も含まれるので、私はそれらの魔法も得意だと言える。
『スキルだが……ふむ、お主は強化魔法だな』
スキルは呪文を使って発動させることには変わりないが、魔法と違って魔力を使わずに発動することが出来る。
私のスキルは強化魔法。強化魔法で強化できる幅は広く、体力や魔力はもちろん、防御力や脚力、更には機械の機能を向上させることまでできるらしい。個人的には当たりだと思っていたスキルのひとつだ。
『さあ行くのだ、アヤセ・レイドルクよ。お主は何をみて、何をきき、どう感じるのか……しかと見届けさせてもらう。期待しているぞ』
「うん。ありがとう、魔神バエル」
そう言って、私は御神体の元を去った。
御神体の元を去った後、私は協会の中を適当に歩き回っていた。ローブには学校によって本当に色々な種類があり、胸下までの長さのものから、膝下まであるものまであって、ポケットやフードがついていたりするものもある。私が通うレイラン学校のローブは、紺色で丈が膝あたりまであって、フードがついている。内ポケットもついてるね。
「やあ!君ももう呪文とスキルを授かったのかい?」
「そうだけど……何か用ですか?」
突然話しかけないでよ……
鳥肌たった……
「ああ!ごめん、何すればいいのか分からなくて同じ学校の人を探してたんだけど、やっと同じローブ着た人を見つけられたからつい……」
なるほど。よく見たらこの人も私と同じローブを着ている。
それに、周りを見渡しても同じようなローブを着ている人は少ない。
「なるほど……なら、そこのポータルに入ればレイラン学校ですよ」
そう言って私は、歩いている時に見つけた少し遠くのレイラン学校と書かれている看板のあるポータルを指さす。
「ありがとう!……君は行かないの?」
「ううん、ちょうど今から行こうと思ってたところ」
「じゃあ、一緒に行こうよ!」
この男が信用出来る男なのか、よく観察する必要がある。
この世界に来てから両親以外の人とあまり話していないので、どんな性格の人が多いのか知らなければ。
「ねえ、同い年なのに敬語って堅苦しくない?タメ口でいいのにー」
「いや、別に。あまり人と深い関係を築きたくないから……」
「そっかー。別に俺はゆっくり仲良しになれればそれでいいけどね!……そうだ、名前言ってなかったよね?俺はリキ!リキ・サンドーレだ!君は?」
リキ・サンドーレ……!
まさかこんなにもあっさりと見つけられるとは思わなかった。
「……アヤセ・レイドルク」
「アヤセ!よろしく!」
差し伸べられた手を受け取ることを躊躇してしまう。
でも、この世界に私が愛した心から信用できる人はいないんだ。
1人でも生きられるように、私が変わっていかなくちゃいけないんだ。
「よろしく」
差し伸べられたその手を受け取ると、リキは輝かしいようで、どこか闇を抱えたぎこちない笑顔を見せた。
以前の私なら、
『その笑顔が憎たらしい。私にそれを見せないで欲しい』
と思っただろうけど、何故だろう。
『その笑顔を守りたい。もっと見たい』
と思ってしまう。
リキだけは、この世界で唯一信用できるかもしれない。
第1話でした!対戦ありがとうございました
プロローグは前日譚の感覚で書いたので短めだったけど、第1話からは2500〜3000を目安に書いていこうと思います!