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3/36

ゲームのあらすじですよ。ここ大事!試験にでます!(嘘です)

「奇跡の光に包まれて〜精霊の加護を貴方に〜(通称 きせひか)」は、私が死亡する数年前に流行った乙女ゲームです。

 私はゲームの人気にあやかって派生した小説「貴方を奇跡の光で包んじゃうぞ。聖女奮闘記」を先に読んだ珍しい人でしたが…。まぁ、ゲームもほんの少しだけ齧ってはいます。

 私はゲームよりもちろん本派です。ゲームは分岐で何度も選択をしなければならなくて、面倒といいますか…。本ならサクサクと読み終えますし、あのとき間違った答えを選んだのかっ

「きぃー‼︎」

 って、逐一、地団駄踏まなくていいですから。

 この小説は正規ルートのあらすじになっていまして、メイン攻略対象の王子様との恋物語を綴っています。女の子の憧れって、やっぱり王子様なのでしょうか。

 ヒロインのオリヴィアは精霊に愛されし少女。

 攻略対象は全部で5人。

 隠れ対象キャラもいるらしく、それについて小説では詳しく書かれていなかったので、知識がありません。攻略対象は髪の色で自身が受けている精霊の加護を表現されています。

 王子様、騎士様…。あと…。何だっけなぁ…。

 私は攻略対象でも何でもない騎士団副団長のアルテミス様が、いわゆる推しでして…。

 他の方々は記憶に余りなく…。

 アルテミス様は青髪隻眼の女騎士でしたが、作者さん曰く

「私の頭の中では男性として変換している。家門の問題で致し方なく女騎士と偽って活躍していると勝手に私の一存で設定を付け加えた」

なんて後書きに記してましたので、腐女子の皆さまから、本編にほとんど絡んでないのに絶大な人気者だったんです。

 私としては、副団長(男設定)もヒロインへ好意を抱き、想いを隠しながら騎士様こと団長との掛け渡しをしてくれるという切ないイメージだったんですけど…。

 皆さまの中は騎士様へ密かに恋慕しながら、ヒロインとの恋を応援しているという健気な姿を妄想したのでしょうね。

 私はアルテミス様をお姿を拝見したくて、ゲームを購入して、王子様と騎士様ルートだけ挑戦したんです。

 王子様とは友情完結。騎士様は一番落としやすいキャラとかでハッピーエンドで終了しました。アルテミス様は王子様と騎士様ルートでしかお目にかかれないので、それで十分満足しました。

 だから、後はというと…。えへっ…。

 笑ってごまかします。

 正規ルートでも他の攻略対象の皆さんがご登場してたのは覚えてます。そのうち、何処かでお会いするかもですし、思いだすでしょう。

 アルテミス様以外、思い入れがないのです。

 小説も読んでて

「何じゃぁこりゃ‼︎」

 って思ったぐらいですからね。

 高感度があがるとヒロインの髪が攻略対象の髪色へ変わるんです。

 因みに王子様が恋人になると金髪へと変化します。騎士様なら赤髪と銀髪が混じってピンク色へ染まります。

 キャッチーコピーの

「貴方色に染まります…」

 って、自分ってものがないのか!オリヴィア!って、何度も突っ込みをいれてしまいました。

 オリヴィアの初期の設定は水の精霊に愛されてとありましたので銀髪に青味がかった色で表現されていたのでしょう。

 実際、私が転生したオリヴィアは四大精霊の加護を得てます。水の加護が火風土よりは強いようなので、この髪の色なのでしょうか。えっと、光と闇の加護もあるみたいなので、私はチートなんでしょうね。

 今まで聖女なんて考えたこともなかったけど、スフェン村の子供たちは生まれた時から精霊と話ができるそうで自分だけが特別だとは思いませんでした。

 ゲームと同じく小説も売れました。私も人気があるのなら面白いだろうと一作目を手にとった記憶があります。

 私が続編を購入したのは

「魅惑の騎士アルテミスが再び登場。あなたを虜にしちゃう続編決定。一作目を読み返そう」

一作目のポップで紹介されてましたから…。

 作者の後書きは個人的願望に近かったので、製作者側より、女性か、男性か、正式な発表をされておらず、この度の続編で正式に決まりそうだったのに…。

 私はもちろん男性であってほしいのですが、性別の決定は製作者側にお任せするしかありません。女性でも申し分ないくらい素敵なキャラクターではあります。

 発売日当日、胸いっぱいで買ったのはいいですけど、アルテミス様のページを読む前に刺されちゃいました。

 はぁ…。

 ゲームでは、世界を破滅から守るため、各攻略対象と好感度をあげていき、それなりに仲良しにならないといけなかったですよね。その中から本命を選ぶんです。

 おいおい、色んな男に気を持たせておいて、どうよそれ、なんて思いましたね。

 確か魔族が襲ってくるんです。最終目的は人類と魔族との争いの終結を目指します。攻略対象を仲間として集い、結果、何人か倒れていったような…。全員生還がとても難しく、真の意味でのハッピーエンドの確率が低いのです。

 ただの乙ゲーではないんですよね。RPG要素も満載でした。

 小説は無事に皆んな生存していましたよ。

 そうそう、悪役令嬢なんてのもいましたっけ?

 断罪イベントもありました。

 はっ!悪役令嬢と言えば、ヒロインへざまぁ返しするのが、若葉生前時には小説で流行ってました。

 太刀打ちできるかしら…。私…。

 小説では、ヒロインがヒロインでないぐらいに醜悪な性格な人が多くて…。

 後から登場するヒロインに婚約者を奪われる悪役令嬢の怒り、私は分かりますよ。

 けど、若葉なら

「私の容姿なら仕方ないかぁ。あの人、めっちゃ美人だったしなぁっ」

って、諦めちゃうかもですね。

 しかし、断罪イベントはどうですかね。

 確か、この小説の悪役令嬢は未遂に終わるんですけど、ヒロインの命まで狙っちゃうんですよね。

 だから、身分剥奪の国外追放になっちゃうんですよ。バッドエンドなら、怒りで我を忘れ魔法を暴走された王子様に殺されてしまうんですけど…。

 王子よ。武器を持たない女子にそこまでするのか?婚約者を略奪したヒロインに罪はないのか?

 冷静に考えたら奇妙な展開ですよね。

 そうなると、悪役令嬢も転生者になるの?

 うーん。

 前世で、徹底してモブキャラとして生きてきた私は目立ちたくありません。

 …。

 そうか、ヒロインじゃなくて、モブキャラとして生きていけばいいんだ‼︎

 この容姿で、モブいけるかしら?

 多少、不安は残りますが、そうとなれば対策を立てなければなりません。

 難しいけど、表舞台に登場せずに世界を救う方法も考えないと…。

 話をきちんと把握し直さなければ…。

 確か、遠く離れた孤児院から首都にある国立魔法学園へ入学するのが始まりで…。

 孤児院…。

 なんで…。

 そうだ!大切なことが抜けていた!


「うっうっうっわーーーーーーん‼︎」

 私の目から突然大粒の涙が溢れだしたのに、両親が驚いています。

「どうしたんだ⁉︎さっきまで鏡の前でクルクルと表情変えてて可愛かったのに…」

「ひっ、ひくっ、パッ、マッ、しんちゃ…」

 優しくて誰よりも私を愛してくれている両親がいなくなってしまう。

 前世でも、大学生のとき父母を飛行機事故で亡くしたのに…。あれほど辛い想いは二度としたくない。

 パパが両手を伸ばして、私の脇下へ手を差し込み抱きあげます。パパは私の背中あたりをリズミカルにトントンと指先で柔らかく叩きます。

 私はパパの胸板あたりの服を掻きよせギュッと握りしめて泣きじゃくりました。

「おいおい、頭をグリグリするなよ。痛くはないけど?ハゲるぞ」

 場を和ませたかったんでしょうけど、デリカシーがありませんよ。パパ…。

「大丈夫よ。幼いあなたを残して、パパもママも先に死んだりはしないから…」

 ママが私の拳をそっと手で包んでくれました。ママは私の言葉をいつも理解しています。

「オレたちが死ぬって思ってるのか?」

「みたいね…」

 そうです。

 このまま私が8…。9歳…。10歳だっけ?肝心なところの記憶が欠落してます。けど、その辺りの私が誕生日を迎える日に魔族が突如出現。発狂して大爆発が起こりスウェン村は跡形もなく消えてしまうのです。

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