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第九十三話「夢と現実と惨状」



【モナの夢】


 いま私がいるのは夢の中?

 それとも現実?

 真っ白な空間に、生まれた姿の私。

 キャッ!

 こんな格好恥ずかしい。

 でも、自然と何も感じない感情。

 そっか、夢の中なのね。

 じゃあそうなるよね。

 って、それを考える私もどうかしてる。

 夢の中とはいえ、この格好はどこか恥ずかしい気がする。

 けど、夢の中なら何しても許されるし、何も恥じることは本当はない。

 私自身の夢の中であれば、全て私の自由ということ。

 理想、想像、展望。

 全て叶えることが出来るのでは無いのか。

 ググググググっと夢の中でさらに頭の中を想像。

 何も起こりはしない。

 夢を操作することって果たしてできるのか!?

 できない。


 そんなことよりも、先程から聞こえてくる小さな声。

 聞き取れない。

 ん?

 徐々に大きくなっていく声。

 なんて?


 それは私の名前を呼ぶ声だった。

 この声って、アーサー!?


 辺りを見渡した。

 大きく手を振って小走りで近づいてくるアーサー。

 あれも全裸だった。


 どういう状況?

 と、考えるのが普通なのだが、その感情は無い。

 私は彼の問に答えるように手を振ってアーサーの呼びかけた。

 考えることなんてない。

 私が望んでいたことが今夢の中で起きているのだから。


 そうすると再び彼は呼びかける。

 その繰り返し。

 私と彼が手を繋ぐことができる距離にまで縮まるまで続く永遠のループであろう。

 この瞬間が楽しい。


 夢だからであろう。

 アーサーの出てはいけない下半身の部分は白いモヤがかかり見えない。

 私の二箇所の大事な部分も白いモヤ。


 もういいって、モヤなんてなくていいって。

 そう思う反面。

 彼との距離は徐々に近づいてくる。

 手の届く距離に近づいた時、彼はどんな言葉をかけてくれて、どんな動きを見せてくれるのか、少しワクワク感が心臓をバクバクさせているところだ。


 夢でもいい。

 どうなっても良いのだ。


 今日も可愛いね。

 あれ、顔が疲れてるよ、ちゃんと休んでね。

 何かあったら私に言ってね。

 何でも言ってね。

 ずっとそばにいるね。

 私がいるから大丈夫だよ。


 理想と現実は違うという。

 でも、今考えた言葉までとは言わないけど、少しばかり嬉しい、幸せになる言葉は投げかけてくれると思う。

 だってアーサーだから。


 私は再び彼の名を呼んだ。


「??」


 なぜか彼からの言葉の返答はなかった。

 それに表情も渋くなっていく。

 私と彼の距離、2メートルほど。

 動きも止まった。


 なんで止まるの?

 えっ!?

 なんで?


 ねえ、アーサー!?


「こいつこんな時間まで寝てんのか!?」


 アーサーからの問いかけであった。

 今なんて?


「全裸じゃねーか、みっともねー」


 うそでしょ!?


「ハレンチな女め 笑」

 違う。

 違う。

 待ってだれ?

 顔はアーサーだよね。

 でも違う。


「こいつほんとに寝てんだよな!? 寝てるやつに自己紹介って言うのも変だが、大泥棒とは俺の事さ!」


 声が違う。

 えっ!?


 そんなのアーサーじゃない。


 そう思った途端。

 彼の顔は変形する。


「??」


 頬は膨れ。

 たらこ唇。

 眉毛は繋がり、不潔。


 アーサーの顔は変形を繰り返し、ブ男へ。


「ど、どういうこと……?」


 自然と涙が出てきた。

 理想と現実は違うってよく言うけど、この間で違うって何なの?


 ブ男はまたも話しかけてきた。


「大人しく寝てな。そしたら何もしねーから 笑」


 涙を通り越して、怒りが湧いてくる。

 フツフツフツフツと。


 悲怒。



【現実】


 ホテル――


 ブ男は部屋を物色して金品狙う泥棒であった。

 彼はとにかくブサイクだった。


 金品を物色しているといきなりだ。


 まだ夢と現実の狭間を彷徨うモナは左ストレート思いっきり込めて、爆裂した。


「こんなのアーサーじゃないーーー!!!」


 その左ストレートはブ男の右顎にクリーンヒットと共に壁に向かって反動で飛ばされる。

 壁に大きな穴。

 その衝撃の振動と衝撃音はホテル全体に響き渡った。


 夢から目覚めたモナであった。




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