第八十九話「浮遊する死神」
ミナは気を失っていた。
辺りは真っ暗。
それもそのはずだ。
俺の時空間の中なのだから。
ここへ連れ込んだ理由は乱交するためでは無い。
別に全てを彼女の言いなりになる必要もなく、強いものが主導権を握る秩序に学んだのだ。
いわばここは俺だけの空間。
連れ込まれたものに何をしようがバレることも無く全てが無となる空間。
気を失っている彼女の衣服を脱がそうが、お触りしようが、精○をかけようが……
おっと、彼女が目を覚ましそうだ。
始めるとしよう。
ミナに頭痛が走っているようだった。
頭を押えて瞬時に辺りを把握することに試みようとしていた。
無駄なことを……探知すらできないはず。
そもそもこの空間はこの世界に存在しない異空間と繋がっている。
体積も、面積も俺にすら分からないほどの大きさ。
ここでは収納としても応用できるのだ。
製作してもらった杖や剣も全てここへ収納し、すぐさま展開できるように構造も練っているところだ。
「ここは……どこ……」
「何も見えない。何も感じない」
「彼はどこ?」
勝手に先手を打ってきたのは君の方だ。
少し恐怖を与えよう。
「君は……」
ミナは俺の声に反応した。
大鎌を構える。
「ここは私が作り出した空間です。どうすることも出来ず、出来ることすら全て私のありのまま。君は願うしかない。ここから出してと」
「そんな脅し、別に怖くない」
「その自身、その心構え、いくら鍛えようと時間とともに朽ちていく。 そんな場所。 君が全てを打ち明けるまで出すつもりもない」
「私に脅しは効かない」
「ふっそうか、ならば少し恐怖を見てもらう」
「君の大鎌は死神にでもなったつもりなのだろうか?」
「私は死神でもなんでもない。 大鎌は私を守るただの道具」
「死神の存在など信じない」
「死神が大鎌を扱うと言うならば私が死神になる」
「なら、その道具がなければ君自身を守るものがいなくなるということ……」
「そうかもしれない。けど、私は負けない。強いから」
「ケケケケケケッ」
どこからか薄汚い乾いた声が響いた。
それは一つではなく二つ。
ミナにの髪の毛が靡いた。
「なに……?」
真っ暗な暗闇は光も通さず刃の反射光も見えない。
ミナが構えた大鎌が大きく揺さぶられた、
「なに?」
「ケケケケケケッ」
何度も何度も迫り来る大鎌に来る思い一撃。
「キンッ」
と刃音が聞こえる。
気配すら察知が難しい。
「これが本当の死神というものです。今は手加減しているのです。あなたの大鎌に目掛けて攻撃をしているだけなのですから」
「親切に……」
「このくらいよめる」
二つの攻撃が暗闇から迫り来る。
目視できない状況下で的確に判断。
徐々に攻撃の糸口を見出してきている。
「簡単ね」
「だいぶ感覚が鋭くなってきたようですね」
「ですが、相手に攻撃を与えないとただの消耗戦ですね」
立て続けに迫り来る攻撃をかわし、受けきったりと、ただ息が上がってきている。
「息が上がってきてますね」
「……」
ここからおよそ20秒。
お互い何も発さず、ただ無が続いた。
聞こえるのは喘ぐ音。
暗闇解放。
辺りは漆黒から純白。
横溢する光。
ミナは溢れ出る光量に耐えきれず瞬き。
いち、に、さん。
三回目の瞬き後眼前には、黒を基調にした傷んだローブを身にまとった人間の白骨の姿。
身長2メートルはある。
両手に漆黒の大鎌。
いわゆる死神だ。
これが恐怖。
ミナの見開いた目は恐怖を第三者から感じ取れるものであった。
ミナ自身の大鎌を振り撒き、やっと目視できた敵に攻撃を食らわそうにも全身が震えて動けない。
これが本当の恐怖。
本当の死神。
身震。
尻もちを着いて何も出来なくなっているようだった。
その間にも、二体の死神はローブをユラユラ揺らしながらミナの上空を浮遊。




