表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/95

第八十一話「この世界で最も強いと言われる選ばれし者の集会はつらい」


 およそ3000年前。

 かつて、敵対関係にあった人族と魔族はいざこざが続き、戦いという生産性のない日々を暮らしていたという。


 彼らはやがて、戦いに疲れ血を血で洗う復讐の連鎖となり、終わるはずのない戦いが続いていた。


 領土と人権を争うその戦いは、互いに大きな損害と致命傷を負い、それでも自身の力を信じて相手を滅ぼすように力を使い死者が出る。

 それは、悲しみが憎しみ、憎しみが悲しみとなり、どうやったらこの戦いが終わるのか、影ながら思っていたことだ。

 大都市センティアを取り巻く信者。

 現在のベノムという使者の大祖先である一人の男がこれを葬った。


 大きなひとつの大陸を二分化し分け合おうと。

 そうすれば、争いは次第になくなり、憎しみや悲しみはいずれ喜びと助け合いに変わると。


 それから3000年という歳月が経過しても、互いの種族に対しての歴史教育という立場から、恨みや怖さ、差別はあるが、昔ほど強烈なものでは無い。

 それは人族、魔族、それぞれによるもの。


 現在は互いを尊重すること条件に互いの大陸へ自由に旅ができている。


 そして、三つの大陸が生まれ、その三つの大陸を受け持つ中間管理職的な立場が中央大陸という。


「十二時になりました。五年に一度の祭典へようこそ!」


 

 両手を広げて陽気に放った言葉はこの会議をさらに静観にした。

 間接照明が会議室を照らすが、まともに互いの顔すら窺うには難易度が高い。


 序列三位の男は言った。

「あのさー この会議意味あんの?」


 とにかくこの男は態度が最悪だった。

 机に載せる足はこの人物にとってはもしかしたら日常的なものかもしれないが、普通の人族が考えたら嗚咽するだろう。



「ええ!もちろん!」

「五年に一度の会議ですよ!言いたいことを存分に話して、お互いがお互いを尊重できる会議にしていきたいと思います」


「尊重って言うけどよー 見てみ!」


 序列三位は顎で指図。


「あらら、気づきませんでした。いや、気づいていましたけど 笑」

「一週間ほど前に序列一位二位さん方はご用事で出席できないって連絡ありまして 笑」


「……」

 序列三位はイライラしているようだった。


「そんなんで許されんならよー 俺も次から出ないぜ」


「それは困りますー」

「だってあなたは序列三位じゃないですかー」

「もうちょっと立場を考えて下さいよー」


「だったら、ここ十数年一度も出ないってどんな理由だよ!」


「勘弁してください」


 言っている言葉を一位二位に言えと言いたそうな表情で舌打ちをした。


「帰らせて頂きます!」

 序列四位が言った。


 この人物がこの会議に出席しているものの中で一番まともに見えた。


「いやいや、なんでそうなるんですかー」

「まだ議題に入ってないですよ」


「生産性の欠片もございません」

「帰らせて頂きます」


「ごめんなさい! 謝ります!」


「結構です」


「あなたが怒っている理由は分かります」

「ガバリオン殿のことですよね!?」


 図星をつかれたように言葉が駈ける。


「はぁ!?」

 序列四位は睨みを効かした。


「確かにあれは私たちの過ちです。どうかこのとーり……」


 虫唾が走る。


「あの方は嘘をついていたからこうなってしまったのです。四位さんがものすごーく気に入ってらっしゃったルーキーのガバリオン殿が亡くなってしまったことには陳謝します。ただ、ガバリオン殿は嘘をついていた。それは知っていますよね?」

「亡くなってしまって悲しいのは分かりますが、そもそもあなたの眷属でもなんでもないですよね? なら、もうちょっと落ち着いては?」


「私はそんなことで怒っているのではありません。意味が無いと言っているのです」


 うるさいいざこざに五位は言った。


「もういいんじゃねー」

「あいつが嘘つくのが悪いんじゃん?」

「あとから話を聞くと、序列五位とか言って嘘ついてたわけでしょ?」

「あの弱さで五位ってないわー」

「ほんとないわー」


「はぁ!?」


「五年前? その時、俺、五位、健在」

「あいつ、嘘の五位、死んで当然、の弱さ」


 静観な会議から暴走の会議。


 ルーキーの一人がスっと手をあげた。


「あのー…早く会議始めて、手短に済ませて解散でいいのでは……」


「はぁ!?」

「は?」

 四位と五位がルーキーを睨んだ。


 パンッと手を一つ叩いた。

 ものすごく密室の会議室に響いた。

 それは、魔大陸代表の人物であった。


 何も発さずとも静まり返った。


「……始めていいかな?」


「……」


「特に皆から文句が無くなったようなのでこれから本題に入ろうと思う」


 別にこいつが恐ろしく攻撃能力に秀でているという感じではなく、威圧感というものはある人物を圧倒するという。

 例えば、強き者ほど相手の実力に触れなくとも強さがわかると言うが、そもそも戦う前から相手の強さがわかること自体おかしなことだ。

 なぜなら、戦ったことないのだから。


 そんなこんなで、不気味な威圧感で圧倒された会議室でもあった。


 魔大陸代表は進行役をベノムに促した。


「それでは会議を始めたいと思いまーす!」

「勘違いや間違いがないようにここではっきりしておきます。序列一位、二位さんのお二人、今回は、いや、今回も来ません。それから、序列五位という嘘をつきながら世界の一部を震撼させたかもしれないガバリオン殿は死にました。まだ、ここまで来て、一体誰がやったのか分かりません。誰も見ていないという。所属していたエレスティン王国が何らかの理由で蔑ろにしている……まあ、それは本人の姿勢が招いた結果であって、陰謀などの可能性は低く、この事件に関してはこれで終わりです」

「ここからは来週開催されるスカウトコロシアムについてお話します」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ