第八十話「神強五大序列会議」
そういえば、ここ五年、モナと一緒に旅をしていてこの世界のことを聞くことがなかった。
俺の記憶と言うのは正直曖昧な部分も少なからず存在する。
覚えていることと覚えていないことがまちまちなのだ。
これといって覚えていることが鮮明ではなく、時折、敵と戦う時とか、気持ちが入っている時にフワッと出てきて俺が過去に使っていたと思われる技が淡々と出てくることがある。
もしかしたら、戦闘によって記憶が徐々に蘇り始めているのかもしれない。
でないと、技をパッと出すことは出来ないのかもしれない。
この世界は一度体験したことは覚えているが、どんな都市があり、どんな現象が起こり、なぜ俺は今ここにいるのかとても曖昧な部分もある。
年の影響かもしれない。
だったら何も考えず、
老人から一度無にして、ゼロから冒険を楽しむことに決めたのだ。
トカゲに乗りながらモナはこの大陸について話してくれた。
五年という歳月は経過したが、ようやくセンティアに到着しそうだった。
実はわけも分からず、旅をしていたのではなく、わざと遠回りをしてここセンティアに向かっていたのだという。
それをモナに問いただすと、彼女は俺が旅をしたがっていたから、という理由と自身の力を付けるためという。
人大陸と違い、魔大陸に近づくほど極端に戦闘のレベルというものが上がるらしく、それに対抗するためだったという。
安全がモットーの旅。
自身の力を把握しながらの旅。
この世界では大きくわけて三つの大陸に分けられている。
人大陸。
中央大陸。
魔大陸。
人大陸――
一年を通して四季があり、比較的住みやすい位置に配置している大陸とも言われている。
人口種として人族が大半を占めており、世界で一番安全な大陸と考えられているが、その真偽はわからない。
中央大陸――
人大陸と魔大陸の丁度中央に属する陸地。
人間はもちろん、魔族、その他他種族が生息地として、大半を占めている。
人大陸から魔大陸に渡るためには、中央大陸を通る必要があり、ふたつの大陸の中立な立場に位置している。
名前故に、様々な種族が行き来していることもあり、治安が悪い場所も多々。
ただ、ここ中央大陸に住む住人というのはそんないざこざを把握の後、暮らしているという。
中央大陸はもはや、他種族同士の愛を産む所でもあり、他種族同士の結婚が認められ、ハーフはもちろんクォーターがよく見かける大陸。
中央大陸・大都市センティア――
太古から水の神が宿る中心と言われているここセンティア。
海に面したこの大都市は主に漁業や太古から伝わる水の工芸品を産業としている。
国家の予算としてはかなりのものになるという。
水の都市ともあって、センティアに住む住人は皆水道代がただという。
海に面しているため、漁業はもちろん。
山にも面しているため、山から得られた水が都市を潤し、いわば、汚点がない..
気候は1年を通して20度前後と住みやすく、雨も晴れも偏ることなく。
住みたい街ランキング上位。
そんな大都市センティアは王国国家という独裁的な機関は存在しなく、人大陸、中央大陸、魔大陸の三人の代表がこの都市を維持し保っている。
つまり、このセンティアは共同国家という。
三大陸の代表が金銭を出し合いできた都市。
つまり、ここでは三大陸の意見を尊重し、全ての権利を中立に保つ都市と言える。
ここセンティアでは五年に一度行われる会議がある。
神強五大序列会議。
つまり、この世で最強と言われる五人が集まり今後の行く末を話し合うという会議だ。
正直意味の無いことと言える。
※※※
センティア・部屋――
席は全部で10席。
非常に背が長い椅子。
背板には1~5の番号が記され、それ以外は何も書かれていない。
10席のうち五つは上位5番まで。
その他3席は各大陸の代表。
残り2枠は期待の新生ルーキー座位する。
それぞれ、眷属と思われる人物を椅子の背に立たせ待つ。
【部屋の相関図】
各大陸代表
―――――
1 | | 2
3 | | 4
5 | |
―――――
ルーキー
というのも、そもそも全員が集まる確率というのは決して高くない。
それぞれ個人の理由が存在してはいるが、この会議になんの意味があるのかと言うものが多数。
この会議では1、2番を除く全員が出席。
あと、ルーキー枠は一つ空席だった。
とにかく静観な雰囲気が漂いつつ、イライラが増している感じもする。
高貴ある机に足を乗せて眠っている者、真面目に正面を向いて始まるのを待つ者、己の剣を磨いている者、ルーキーはと言うと、表情は真面目だが、どことなく引きつっているように感じる。
昼十二時――
センティアが昼の十二時に知らせる鐘が街中を震わした。
会議の開始時間が十二時ということで、ここから会議が始まる。
仕切りは中央大陸代表・ベノムという男だった。
まだ見た目は若く、ブロンドヘアにイケメン。
服装は黒の祭服。
この都市を統治する使者。
穏やかそうな顔で言った。
「十二時になりました。五年に一度の祭典にようこそ!」
場違いなテンションということは誰が見てもわかる事だ。




