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第七十七話「トカゲの頭と尻尾を持つ半人半獣」


 ここら一帯では飲み物はもちろん食べ物も枯渇する。

 ならばいくらゲテモノ食材であろうと、食うということは生きることに繋がる。

 ならば食うしかない。

 いま眼前に存在し、構えている食材はサソリ焼き。

 なんという美味な名前、イントネーション。

 馬鹿か、そんなこと思うわけなかろう。


 紅色の甲羅とでも言うのか、茹で上がったカニに近い。

 それが焼けて黒く変色。

 食欲という概念すら湧かない。

 調理方法間違っている気もするが、そもそもあるのか?

 生食はさすがにないと思うが、原形がなくなるまで刻み、上げるとか、もっと調理方法はあるはずだと思う。

 そんな流暢なことは言ってられない。

 ここは砂漠地帯だぞ。

 調理器具すらないのだから。

 今度ちゃんとそろえよう。

 そんな食との戦いを知ったのは、旅を始めて五年後だった。 


 一時、ゲテモノほど美味という表現もするが、とても見た目から食えたものでは無い。

 ならどうする?

 食わずにここで人生終焉……?

 餓死。

 お腹は空いている。

 ただ、眼前にある食べ物を前に、美味しそうという感情はもちろんなぜかお腹が鳴ることもない。

 でも、生と死を彷徨う今、決めるしかない。


 よし食おう!


 「これ結構いけるわね!!」


 辺りはすっかり真っ暗に。

 つまり夜だ。


 砂漠地帯の真ん中で焚き火をし、暖を取る。

 砂漠地帯の夜はとても冷えるため、焚き火をするのだ。

 その焚き火を利用し、サソリの魔物を焼いて食べる。


 あれだけ、キモいと豪語していたモナが、サソリの身を頬張る姿は何とも異界。

 焼いてあるとはいえ、サソリだぞ?

 俺は全面に表情から出ていたようだ。


「早く食べないと私全部食べるわよ」


 モナが言うには、外はカリカリ、身はプリプリ、焼いた海老のようだという。

 美味そうな表現のおかげで、微量の食欲は湧いた。

 肉片片手にガン見して、サソリということを考えないようにしているが、背に余っているサソリの死骸から怨念が伝わるような気がした。

 これだけの量を二人で食べることはできないであろう。

 久々のちゃんとした食事でもある。


 背後からやたら強い怨念が襲う。


 食えと。

 食わないと俺は無駄死にかと。


 生きるためにも必須のことだと思い、俺は諦めて一口パクリ。

 とにかく、大きなエビを食べていると考えながら食したが、食べた部位が悪かったらしい、グチュグチュっと噛んだ瞬間に液体が漏れ出た。

 口からも、身からも。


 味は……うん!いけなくはない!

 ところが、漏れ出た液体を確認したモナが指さしながら嘲笑った。


「あははは、それハズレね(笑)」


「ハズレとは?」


 よく見ると、モナが持っているサソリの部位と俺の部位の形状が異なった。

 何が違うのか、単純にドロドロした液体かプリプリした固体化の違いというわけだ。


「なんだこれ? モナのと違う……」


 液体はドス緑色で全く食がわかない色合い。



 どうやら、適当にサソリをバラバラにして、適当に焼いたことにより、どこの部位を食べているのかは把握していななかったようだった。

 見分けがつかないのだ。


「それ多分、つぶつぶした液体出てきたでしょ?」


 眼前の身を確認。

 確かに粒粒していてキモい。


「……?」


 モナは唐突に、俺の気持ちも考えず言った。


「それ脳みそよ」


 とりあえず俺は全力で吐いた。




 次の朝だった――

 ここ数週間変わらない景色、気温、空間。

 いつものように日差しが照りつける中、歩く俺たちの前に、それは突然起こった。


 俺たちは足を止めて、前方を確認。


 これまで、出会った砂漠の魔物とは違う感覚。

 戦闘に慣れている雰囲気を醸し出していた。

 二足歩行。

 人間?

 いや、そんな感じでは無い。

 およそ、100メートルほど前方に五体の物体が並列していた。

 それは、筋肉質の魔物。


 こちらから見て下手から

 ①片手直剣

 ②ソードシールド

 ③ハンドガン(二丁拳銃)

 ④大鎌

 ⑤片手直剣


 武装した魔物であった。


 こちらに一歩一歩足を進める。


「モナ……」


 俺たちも足を止めてた。

 モナも違和感というか危機感というかそんなものを感じ取っていた。


「ええ、わかってるわ」

 モナが頷く。


 極端に戦闘に慣れている

 それに五体……

 武器の種類からして、近距離、中距離どちらも得意としている


 とにかく、俺は考えた。

 遮蔽物も少ないこの空間で正面から来る五体の魔物は敵なのか?

 敵だった場合、どう対処すれば良いのか。


「50メートル下がって様子を見ていてくれ」


「いや、私も戦う」


「今回は俺が前衛、モナが後衛だ」


「わかったわ……」

 

 モナは素直だった。

 前衛が得意なモナにとって、後衛という立場を取るということは、それほどモナ一人で対応は難しい相手ということ。

 それは俺たちの間で決めていた約束。


 今から戦うことになるかもしれない相手は難しいということだ。


 そして、前方から来る五人の魔物は

 

 ロードオブリザードマンという。

 薄茶色に光るうろこ状の皮膚と長い腕、トカゲの頭と尻尾を持つ半人半獣。

 一般的な情報として群れを嫌い、単独で生活、狩りをする魔物。

 知能は並大抵以上あり、感情も持ち合わせている。

 戦闘種族であり、とにかく喧嘩早いと聞いたことがある。


 そもそも、今ここで群れでいることが考えても考えにくかった。


 



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