第七十六話「成長」
俺たち二人の前に忽然と姿を現した紅色サソリの化け物。
そいつの特徴はとにかくデカかった。
サソリというのは本来10センチ程の大きさであろう。
だが、こいつの体長はゆうに2メートルを超えていた。
デカすぎだろ!
それに、サソリの尻尾つまり毒が仕込まれている部分、尾節は三本も存在。
さらにはうぶ毛というのか、毛が生えていた。
そもそも、魔物というのはこういうものであろうという認識でそこまで驚きはしなかった。
「キッモッ!!」
あまりのキモさにモナがディスり始めた。
お口の悪いことで。
まあ、確かに貶したくなるフォルムに皮膚。
普通にキモイ。
モナの一言で、感情が合致してしまった。
「キッモッ!」
思わず俺も言葉に発してしまった。
たとえ、こんなことをサソリに対して放ったとて、魔物に感情などなく、そもそも言葉は通じないところであろう。
という的確な分析?
と、まではいかないが、そんなことを考えているとサソリの魔物は俺たちを捕食するためなのだろうか、当然のように襲ってきた。
三本ある尾節のうち、二本を俺たち二人に走らせて、毒矢でいるようにいる、垂直に攻撃。
遅すぎる攻撃に軽々避けることに成功後、モナはお得意のダガーナイフを抜剣し構える。
この五年という歳月を無駄にした訳ではなく、旅をするにあたり、敵、魔物と遭遇することは必須であろうと考えている。
そのため、二人で旅をするにあたり、攻撃、守備の連携というのは確実なものにしておかないといけなかった。
この五年間、モナと旅をするにあたり、俺を中心に攻撃パターンや防御、緊急時の逃走パターンなど、あらゆる戦法を考え、挑戦してきている、
たかが、砂漠地帯の主であろうと、今の俺たちに適う相手では無い。
まず、こういった敵が一人のパターンの場合、または、周囲に増援などもいなく、本体のみだった場合、攻撃は単純でいい。
特攻隊の(前線)モナが切り込み、魔法使いである俺が後方支援。
こういった毒などによる状態異常を起こす武器を所持していると思われる相手に対しては、的確な分析のもと、それ相応の対応を行うことを心掛けている。
そもそも、見た目などで判断というより、現実に考えることと、そういった武器を所持している前提で戦うという姿勢が大事になる。
この程度の相手なら、俺が前線に躍り出る必要も到底ない。
モナもこの五年間、俺が一国の王であった時期を含めれば丸9年。
スピード、判断力、筋力ともに桁違いであろう。
ダガーナイフ使いのモナだが剣士の分類に入る。
剣士にも強さの段階というものが存在し、それは魔法使いと同じ。
単純にどのレベルのランク技が使えるということで判断する。
自身の独自の技など、ランクが判断しにくいという場面も発生するが、それは、強き者であれば感覚で、その者がどのレベルに属するのか、分かるものだという。
【剣士ランク】
初級
中級
上級★
王級
天級
悪級
神級
モナはもはやこの時点で伸びしろがある。
現段階で上級ランクの強さと窺えるのだ。
サソリを相手に苦戦するはずもなく、俺はもしものために後方で構えるスタイル。
モナに任せても倒せる魔物だと判断しているのだ。
サソリ自体も俺に見る気もせず、アナの攻撃に防戦一方になっていた。
ダガーナイフは決して殺傷能力は高くない。
ただ、モナの攻撃スタイルというものは近年でとても進化した。
どの種族にも当てはまることだが、敵を目の前にした時、男性と女性では腕力では差が出てきてしまう。
ならば、アジリティを最大限まで高めつつ筋力を二番手に回せば、いくら力が適わない相手でも対応できるという判断を行ったのだ。
戦闘自体に時間経過というものは発生してくる。
その分、相手は攻撃をこちらに与えれなく、徐々に削られる長期戦法というスタイルを得意としている。
この攻撃スタイルといえば、暗殺者、サイレントスレイヤーと言える部類にあたる。
サソリの魔物の攻撃は単調で前足であるハサミで攻撃か、三本の尾節で射抜くかの二択であろう。
そんな単純攻撃はモナにとって朝飯前だ。
それとは別に、三本のうち一本を密かに地中に潜ませて、砂地の地面から俺に狙い撃ちしようが、俺とサソリには圧倒的な力の差というものが存在している。
「やはりそう来ますよね」
サソリの尾は地面深くから俺に目掛けて真下から差し込まれる。
だが、予想を立てられた攻撃に瞬時に攻撃を躱し、地面から出る尻尾を掴み、握りつぶした。
サソリの悲鳴と紫色の血液が白い砂地に散らばった。




