第七十五話「冒険を始めて5年、変わったのは見た目と発育」
アーサー王国からの一時勇退という異例中の異例の対応が行われて五年の歳月が経過。
俺は何も無い砂漠地帯にいる。
なぜいるのか?
なぜ辺鄙な場所にいるのか。
旅をしているからだ。
白いフード付きのマントに身を寄せる。
砂埃や上下から来る熱に対抗する砂漠地帯本来の着飾りと言っても良い。
旅の道中で購入したものだ。
旅をするということは、床が必要だ。
野宿でも最悪大丈夫なのだが、一緒に旅をする女の子もいる。
できるだけ、屋根のある所で寝泊まりがしたい。
こういった砂漠地帯などに点在する場合を除き、どこかの都市に到着した場合、寝床が必要になる。
それに、食料。
つまり、飲食をするということ。
ライフラインが必要になる。
そうなってくると、まず何が必要なのか。
バーターとして、つまり金銭が必要だ。
そのため、冒険の始まりの際にまず近場の都市へ赴き、冒険者としてのギルド(自治団体)への登録を行った。
登録を行うことにより、冒険者ギルドが提示するクエストや依頼などを経て報酬を得ることができる。
冒険者ギルドに明確なルールというのは大まかにざっくりとしている。
①冒険者ギルドで危険度によってランク分けされた依頼を受け報酬を貰う。
②危険度のランクはF、E、D、C、B、A、S 7段階とあり、冒険者達も同じくその実力でランク分けされる。
③パーティー人数の決まりはない。
④冒険者たるもの、犯罪行為を犯した場合、資格の剝奪および永久凍結。
⑤依頼未達成の場合、信頼度の低迷の刻印および報酬は得られない。
⑥依頼時の事故や死亡 全責任が冒険者側。
⑦依頼達成内容や熟練度などにより、冒険者ランクの昇格(ギルド側判断)
現在、俺たちの冒険者ランクはちょうど真ん中の位置しているランクC。
必要最低限の依頼しか受けていないという理由もあるが、まあ、そこそこという立ち位置だ。
真っ白な砂に足跡が永遠に続く中、それは二人分の足跡があり、クッション性のある砂地は一分ほど経過すると足跡の原型がなくなり、更地に戻る。
日中は炎天下。
夜は氷点下。
これも砂漠地帯特有の現象。
こんな何も無い砂漠地帯に、俺と同じく色違いのベージュ色でフード付きのマントを被ったモナ。
モナ・スペルディ 26歳
大人びた表情に微塵と子供っぽさの雰囲気も原型もなくなり、立派な大人という雰囲気だ。
逆に俺の見た目というものは、多少の白髪も窺えるが、ほぼ黒髪一色という、若返り始めている姿。
肉体も筋力が戻りつつあるが、まだ50代ということは体が重くも感じる。
「ねー……」
風を切る音が永遠に続き、それ以外の音が全くしない砂漠地帯でモナが発した。
だが、こんな砂漠地帯を歩きに歩いた状況下で会話をする気力などない。
いいから何も話さず歩こうよ。
「ねーってば!」
「……」
俺は無意味かつ生産性のない会話は極力しないと決めていた。
あなたと違い俺は年寄りなのだから、少しは俺の体のことも考えてくれたまえ。
「うっざっ」
口癖のように聞く「うっざっ」という言葉を聞くと、変わってない、中身は何一つ変わっていないと思い返してしまう。
エンドレス無視を繰り返す俺に対して、流石に我慢できなくなっているようだった。
彼女の性格上、おそらくそろそろ……
ひたすら足元を見ながら歩く俺に対して、正面に躍り出て、顔を近づけて言い放った。
「ねぇ……いい加減その無視やめないと殴るわよ!」
彼女の顔は引きつっていた。
無視ほど苛立ち、溜め込むほどの嫌悪感はないであろう。
この表情を見ると、いつもの光景だ。
正直言って、この状況が楽しいのかもしれない。
小さい頃は好きな子に嫌がらせをしてしまうという考え方があると思うが、それに近いのかもしれない。
確かに、疲れて話す気力がないにも一理あるが、もう半分はこの旅を楽しんでいるとも言える。
やはり彼女はツンデレだな。
気分がいい時は本当にデレデレで可愛いのに。
殴るわよ! という言葉を聞いて、一時停止したが、モナを避けて無言で再び歩き出した。
おそらく、その行動にムカついたのであろう。
殴るという行為には及ばなかったが、次なる一手。
俺の弱点でもある一手に躍り出た。
「あーー暑っつ!」
「もう暑くてどうしようもない」
その言葉に俺は静止してモナの方に視線を寄せた。
するとモナは、マントをバッと脱いでそれを地面に叩きつけた。
マントを取ると、そこに顕になったのは、ビキニスタイルに神々しいほどの巨乳であった。
アラビアンスタイルのビキニスタイル。
マントを脱ぐと一目瞭然。
布の面積が少なく、もはや下着だ。
エロ過ぎる。
こういう砂漠地帯では、アウターで身を隠すが、インナーは薄着という定番。
彼女は仕掛けてきたのだ。
俺があまりに彼女に無関心な為、お色気という弱点を知りながら彼女は俺にしかけてきたのだ。
だが、顔がやけに赤い。
熱でやられていたのかと思ったが違う。
これは照れているのだ。
彼女の切り札。
昔と変わらず、最高のプロポーション。
俺はとりあえず、勃起した。
暑さや疲れなど関係なく、とりあえず勃起した。
「これでも無視するわけ??」
彼女は恥ずかしそうに言った。
俺は生唾を飲んで、いつの間にか両手が彼女の方に向き、勝手に足が歩き始めた。
溜まっている。
俺は非常に溜まっているのだ。
性欲という最強の欲に。
先に行っておこう。
俺は未だに童帝だ。
と、何度も自分に問いかけながら、こんな所でいいのかと思った。
だが、それを邪魔するやつが突然地響きとともに現れた。
「ドドドドドドッ」
地面の砂が振動とともに揺れ始めて大きく木霊する。
そして、音と振動が最大限まで発揮されると、そいつは姿を現した。
それはここら一帯で有名なサソリの魔物だ。




