第七十二話「事実上の戦争終結」
戦争時の爪痕とは悲惨だった。
半年が経過した今もなお、体の治療をおこなうもの。
手足を失ったもの、松葉杖の者がちらほら見える。
エレスティン王国ほどでは無いが犠牲者というものはこの国にとって悲惨だ。
村にある診療所にはアナを筆頭に兵士の回復が未だ行われていた。
のちにちの話だが、エレスティン王国はこの戦争での被害、犠牲、産物という全ての原理をドワールの責任とし丸く収めようとした。
エレスティンからしても被害というのは甚大で今後に関わると踏んでいるようだった。
とはいえ、国直属のドワールという絡みが国の責任ということで、エレスティン王国はアーサー王国に対し、戦争賠償ならびに戦後補償がアーサー王国に与えられた。
恐らくだが、このアーサー王国という得体の知れない無詠唱集団国家とする強国にこれ以上敵対されないための、せめてもの償いと踏んでいる。
明らかな怯えと恐怖を取られている。
それは逆に言えば良いことで平和と安全が保証されているようなものだ。
それに加え、我々アーサー王国はさらなる要求をした。
物流経路の確保と一刻も早いガス、電気の動線の繋がりだ。
更には国家と推奨し、平和条約の締結だ。
エレスティン王国からすれば、その要求はさらなる国強化への地盤となるということで不満顔を浮かべていたが、それは俺が断ち切った。
恐怖という脅しで。
どちらがいま、力が上なのかもう一度分からすこと。
脅しも込めた。
エレスティン王宮内――
中世ヨーロッパの内装がアーサー王国との格差をものがだっていた。
並べられた机に各国の代表と直属の部下が並んだ。
アーサー王国からは俺とアナ、長老だ。
エレスティン王国からは現国王エレスティン23世とその他部下。
「これが我々、アーサー王国からの要求です」
「承諾するのも何も申し分ないですが、拒否も可能としましょう」
俺は机に大胆に肘をついて、威圧感を示した。
両サイドに構えるエレスティン王の部下が構えた。
そして、俺の前に証書が国王から受け渡された。
このおっさん(国王)は凛々しい顔で俺の瞳をずっと見つめていた。
白髪に白髭が繋がり、威厳がある。
こちらとは違い、まさに一国の王という象徴だった。
「要求は全て呑みましょう」
受け渡しの際、おっちゃんから伝わってきた。
証書から伝わる震えに握る握力の強さ。
それは果たして、怯えているのか、怒りを示しているのか俺に解読は不可能だった。
俺が安易に受け取り証書を見ると、見事まあ達筆なサインが描かれていた。
そして、内容はこうだった。
①戦争や武力紛争に対する事実上の終戦合意および平和条約の締結
②賠償金、国の被害への補償
③ライフラインの拡充
④物流経路の締結
「では、エレスティン王 あなたが望む条件も聞きましょう」
少し時間を開けて王は言葉を発した。
「条件? そんなこと我々から申し上げるには労しい。我々は戦犯。そちらの条件を全て呑む事を条件としましょう」
気前が良すぎる対話に裏があるんじゃないかと疑いたい。
「わかりました……では……」
「あえて、条件を言うのであれば……」
「無詠唱の譲渡……と言いましょう」
俺は至って冷静だ。
両サイドにいる長老とアナも冷静沈着。
「戦争を仕掛けられ、勝者の立場から言いましょう。それはできません」
「なぜなら、この平和条約はただの紙切れ一枚に過ぎない約束と現段階では考えているからです」
俺は睨んだ。
「今後の互いの国の関係、賠償、補償などを含めて考えたい」
「無詠唱とは我々にとって切り札。国の名声でもありますから」
会合がピリつき始めた。
「わかりました。何年かかるかわかりませんが互いの平和と尊重を願いましょう」
内容を確認後、俺はおっちゃんを一瞥し、机に置かれた羽根ペンでサイン。
達筆とはいかなかったけど。
そして、我ら三人とエレスティンの代表三人は起立し、握手を交わし、交渉は受諾された。
握手された時、おっちゃんは俺に対し言葉を交わした。
「どうか我らに神の御加護を」
果たして、それはどういう意味なのか。
それに加えて、もうひとつ言葉を加えた。
「お互い国同士の争いは消えるものでは無いかもしれない。だが、これは歴史的な瞬間でもある。後世に繋げ、以後お互いの尊厳を協力し守りましょう」
「ええ、我々からしてもこれ以上国に被害を出したくない。対等で大人な対応を願い誓います」
我々は固く握手した。
そして、国王含め、左右にいる部下が頭を下げた。
真意は分からないが誠意は伝わった。
これにて、戦争は終結。
平和と安全が今後続くように願う。




