第六十八話「再び暗闇に現れた女性の根端」
炎系魔法と土系魔法の混合魔法。
「天級魔法 メテオストーン!!!」
天級レベルの攻撃魔法をそう易々と破られる代物では無い。
そもそも、一度目の人生で使ったことは……あるのか無いのか正直この生死を彷徨う最中、そんなことを考えてる場合じゃない。
せっかくMPが満タン以上になった所をすぐに全消費。
いくらなんでも、負担が大きすぎる。
これから先、どれほどの代償を背負うことになるのだろうか!?
それに貫かれた肩は案外致命傷に近い。
筋肉を凝縮して出血を止めればいいものの、そこまでの力も残っていない。
そもそも、俺はみんなを守れたのか?
天級魔法を駆使してなお、後ろに構えている無幻樹。
設置している魔法は維持できているのか!?
力が有り余っている普段の状態なら振り向かず、確認することなく、維持しているのか否か判断できるが……
俺はどれだけいい大人なのだ。
死にかけの老害の命など後回しに村人、いや、仲間の命を最優先に考えてやがる。
なんて良い老害になったものなのだ。
俺は次第にニヤけてきた。
自然と……
さて、話は戻そう。
天級魔法が刀剣とガバリオンに衝突後、まるで核爆弾が落ちたように甚大な被害をもたらす。
震源地から俺と無幻樹の位置までの距離だと余裕で攻撃範囲内。
自爆と思われる攻撃。
俺は一瞬にして爆風により宙を舞いながら姿を消した。
自分の意思ではない。
俺に意識は無い。
周囲がどうなったのかすらもう分からない。
なぜなら、意識があるのかすら分からず、ただ暗闇が見渡せるだけだからだ。
恐らくこれでやっと人生終了なのかもしれない。
それでもいいかもしれない。
でも、心残りがあるとしたら……
めちゃくちゃあるな……
まだ、初体験迎えてない。
モナはどうなった?
アナは?
やりたいことまだまだ、変わらずいっぱいあったのに……
それに夢?の中で話した女性は誰なんだ?
せきばん?
気になってしょうがない。
せめて、せめてわがままを言わせて欲しい。
二度目の人生まだ終わりたくない。
これからじゃないのか?
俺の人生。
なんで、こんな中途半端に終わろうとしている?
目覚めようぜ俺。
×××
一個人の感覚的にあの瞬間から数時間は経ったと思われる。
いや、正直分からないがあくまで感覚だ。
そして、俺は目覚めた――
また、あの空間か……
【アーサーの心の中】
またもや暗闇一色の空間に俺はいた。
前回はこの暗闇に恐怖したが今はもう怖くない。
なんせここは夢だ。
死後の世界かもな。
上体を起こして、胡座をかいた。
この暗闇にいるということは彼女もいるのであろう。
俺はなぜか独り言のようにため息をした後、呼びかけてしまった。
「あのーいるなら出てきて欲しいです……」
ホントにあの女性がいるのか?
俺あくまでそんなことお見通しのように言い放ち、スカした。
しばらく待った……
「……」
実際は暗闇を目視で探っているがどこにも現れない。
再びため息。
そもそも彼女から助言を貰ったこと自体、夢の中の夢なのかもしれない。
それもそうか、だって意味わかんないもん。
以前と違うところは、体の痛さやMPが回復してないと窺える。
仰向けで手を頭の後ろに組んだ。
天井がそもそもあるのか分からないが、真っ暗な頭上を見つめた。
「よっ!」
俺の眼前にあの女性がひょこっと顔を覗かせてきた。
顔は暗すぎて見えない。




