第六十六話「黄金の輝き、漆黒の宝玉は新たな杖に……」
どうやら洞窟と同じ形であろう。
弱々しい力で突き攻撃というものは、簡単に急所を避けれるものだ。
完全に避けれると言うまではいかないが、右肩を貫く。
正直この状況。
アドレナリンが出切っている俺に対し、痛みなどほとんど感じなかった。
いくらでも攻撃してくるがいい。
そんなことよりもMP切れによる体のだるさがものを言う。
でも、体は正直だ。
吐血した。
自分の体なのに気づけていないこのダメージ量。
なんて不便なんだ。
ガバリオンと刀剣は次なる攻撃に移行しようとしていた。
それを感とって、刺しこまれた右肩の筋肉を硬直させて、刀剣を引き抜かせないように試みた。
ギュギュギュっと筋肉が右肩一点に収縮。
ガバリオンと刀剣は俺に突き刺さった刃を力いっぱい抜こうとするが、あえて硬直させた俺の筋肉の前に、刃を抜くことが出来なかった。
ガバリオンは刀剣を離すことができない。
刀剣は逆に離されては困る。
ならこの状況でお前らは身動きが取れないと言うこと。
それはガバリオンと刀剣も同じ気持ちのようだった。
それが分かるようにガバリオンの牙。
今や氷と化した氷の牙が俺の左肩に噛み付いた。
血が吹きでた。
でも痛みはほとんどない。
こちらにいくら攻撃しようと無意味なのさ。
お前らはもう終わり。
そう感じているのは俺だけだ。
お前らはまだ敗北を知らない。
俺は勝利を確信している。
右腕を高くあげて、数分前から迫り来る追い風に期待を寄せた。
その追い風というのは俺に向かって来ているのは明らかだ。
それが一体何なのか。
のちのち分かる。
もう、すぐ側まで来ている。
タッタッタッと、爽快な足音とも共にやってきた。
「アーサー様!!」
フォーに乗ったメイだ。
やっと来た。
俺の追い風が。
俺は確認するとクレーターの頂上からメイが呼びかけていた。
その手には俺が製作をお願いした杖。
黄金に輝くその杖は暗い周囲を輝かせるほどの物。
美しき杖だった。
中央に漆黒の宝玉を囲い黄金の杖。
長さおよそ1.5メートル。
名は【デンジャスデペンダブル】
危険で頼もしいという意味だ。
メイは周囲の状況を意図し、俺がその杖を欲していることを瞬時に理解したあと、杖を強引に俺へ投げた。
右腕をあげていた俺にピッタリ杖は収まった瞬間。
俺の体は黄金色にオーラーを発した。
杖は使用者を選ぶという。
俺にマッチした瞬間で、俺を主人と認めたことになる。
杖から流れ出る生命力を感じた。
それはそれは恐ろしいものだ。
体が軽く、ダルさも消える。
MP、HPが回復しているのが感じ取れた。
傷ついた体に失った魔力が戻ってきた。
俺は大きくニヤけてガバリオンと刀剣を一瞥後、杖をさらに天高く掲げて俺は大きな声で叫んだ。
その状況を確認するや、メイはその場を走り去って避難。
「対物理魔法陣!」
無幻樹の周りに囲った。
それは先程の比じゃない厚みに大きさ。
「ガバリオン、長い戦いもようやく俺の勝利の元へ。安らかに眠れ!」
刀剣にはかける言葉などない。
ガバリオンは無表情。
刀剣は大きな奇声を発した。
杖を使った魔法使いというものは、杖無しの魔法とでは魔力の威力が格段に違う。
魔力を杖に通し、発散させることにより、杖本来の力を宿し、その力は2倍~4倍と聞いたことがある。
なら、さっきの攻撃よりさらに巨大で最強の技を……
これで本当の終いだ。
杖の宝玉は俺の次の行動を意図したように輝きを増していく。
眩しいほどに黄金に輝き始めて、使用者の俺ですら眩しい。
だが、どうだっていい。
最後の魔法だ。
炎系魔法と土系魔法の混合魔法。
「天級魔法 メテオストーン!!!」




