第六十五話「最後の力を使い切った……」
メテオストーンのスピードは氷山の比じゃない。
宇宙から舞い降りた隕石。
落下速度は尋常ではない。
それに熱を発しながら、炎を帯ながら高速落下。
氷山をことごとく破壊すると考えている。
俺はニヤついてしまった。
氷山が俺に衝突する前に、メテオストーンは氷山に衝突した。
その瞬間、蒸発の水蒸気が発せられ、氷山に大きな亀裂が入り始めた。
一面、雲が出現したように白い水蒸気が空を括った。
何も見えなくなった。
わかるのは音だけ。
次に確認できたのが、バキバキバキという気持ちの良い音。
おそらく、メテオストーンが氷山を砕いている音。
そして、いよいよ姿を表す。
炎が勝つか氷が勝つか。
それは明白だ。
高熱に勝てない氷山は徐々にその勢いと、大きさを縮小させて行った。
姿が見えた。
俺はそのままの勢いで、メテオストーンを刀剣に向けて操作し、真下に位置する刀剣に向けて放った。
これで終わって欲しい。
俺に残された、今できる攻撃だ。
そして、ガバリオンと刀剣はもちろん身動きが取れないまま、刀剣が奇声を発しながら、メテオストーンと衝突した。
爆風、熱発、衝撃、振動。
どれも全てが俺に注がれた。
防御魔法陣を自信に纏ってなかった分、俺にも甚大な被害が被ることは想定済み。
俺は両腕を顔の前に、両足を踏ん張って耐えたが、吹き飛ばされた。
× × ×
どれくらい時間が経過したのか分からない。
俺は気を失っていたようだった。
辺りは隕石が落ちて大きなクレーターが発生していた。
俺はうつ伏せで、土が覆いかぶさっていた。
すぐに状況判断。
周囲を確認。
周囲の樹木は焼け野原。
黒焦げになった樹木。
無限樹は俺の魔法陣でどうにか耐えていた。
そして、魔法陣は効果を消していた。
終わった? のか?
MP消費が半端ない。
この年齢、この体。
これが限度というもののようだ。
だが、終わった。
これでようやく、ガバリオンと刀剣との因縁も終焉だ。
と、思いたいのだが……
しぶとい、しつこい、ウザすぎる。
もう何物でもない。
真っ白な氷に覆われ、その体に纏う氷は剣山の如く尖りに尖りまくった、もはやハリネズミ。
ガバリオンの原型などないでは無いか。
ただ、刀剣が動作をするためだけに利用されている器に過ぎない。
真っ白な色に、赤く光る二つの目。
ガバリオンの目であろう。
でも、それは偽りであって、右手に抱えている刀剣が本体。
ガバリオンの原型のない人間の形をした物体がこちらにノシノシと押し寄せてくる。
刀剣を注意深く観察するとガタは来ている。
ひび割れや箇所の欠け。
メテオストーンが効いていない訳ではない。
確実に効いているが、核を破壊するとまではいっていないだけ。
どの道、刀剣のどこにその核があるのか分からないが、とりあえずぶっ壊せば終わりということはわかった。
もう一押ししたいところ。
俺はうつ伏せになった体を腕に力を入れて起こそうとするが、中々起きることが出来なかった。
力が入らないのだ。
MP消費というのは体に影響が大きいのだ。
そもそも、ガバリオン。
あれは生きているのか?
いや、確実に死んでいるか。
なら、俺ももったいぶらず思いっきりやれるってもんだ。
俺の体は何とか言うことを聞いてくれた。
刀剣に操作されたガバリオンはゆっくりと俺に向かって歩いてきた。
こちらに向かってくる足取りからして、刀剣も最後の力と言える。
と、思った矢先のこと。
安堵したやつが悪い。
一時の安心が、全ての決着をつける時でもある。
いやいや、こんなのありかよ。
だって、あの足取りからしてこんな事ありえる?
刀剣が無理やりガバリオンを引っ張って猛スピードで走ってきて、その刀剣がは身動きがほとんど取れない俺に向かって俺の右胸を貫いてきた。
侮っていたからか、俺の体は貫かれた。
分身ではなく、本体だ。




