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第六十四話「氷山 対 隕石」


 俺の感は的中した。

 やはり刀剣はじっーと動かないまま何かを企んでいた。

 代わり映えのない状況に嫌気を指した?

 そんなことでは無い。

 ガバリオンを取り込んだ時にもう既に考えていたことなのであろう。


 天候をも操るほどのその魔力。

 元来、刀剣の魔力者というものはどれだけの力を保有していたのであろうか?

 そもそも、これは刀剣が操るだけの魔力に過ぎないのであろうか?

 謎が深まる中、俺は空を見上げた。


 雹。

 それは徐々に大きくなるものである。

 天候が不気味なほど灰色の雲から注がれる。


 雲の中にある細かい水の粒が付着すると氷の結晶は少しずつ成長。

 そして雹となる。


 だがなんだ?

 様子がおかしい。

 手に取って見た雹はそれほどの大きさでは無い。

 ごくまれに天候の左右によって発生し、降ってくる雹そのもの。

 だが、時間が経つにつれて、五秒後、三十秒後、一分後。

 明らかな大きさの変化。

 

 このデカさは。

 なんだ……


 数秒前の雹は1センチにも満たない小さなもの。

 今となっては、人体や農作物、建物への被害を雹害。


 一分後には拳サイズの雹。


 いや待て待て、この流れ……

 嫌な予感しかしない。


 徐々に大きく降ってくる雹は、周囲の樹木や無幻樹への被害も被った。


 空からの雹は空中から勢い良く落下。

 その衝撃というものは計り知れない。

 雹自体の大きさが大きければ、それは図ることのしれない衝撃であろう。



 衝撃で樹木の枝が破壊してきたり、地面にクレーターを開けたり、雹が地面に衝突する度、振動もしてくる。

 危険だ。

 それに俺にも襲いかかってくる。

 こんなもの避けるのは造作のない事だが……


 そして、小さな雹が降り始めて二分が経過後、辺りが暗くなった。

 無幻樹を含める、周囲100メートルを覆う影が包み込んだ。


 いや、もはやこれは雹ではない。


 俺は、予想と仮説を立てながら頭上を見上げた。

 影の正体が姿を表す瞬間であった。


 その物体は先程まで見えていた空を覆い隠し、暗闇を与えながら一直線に俺へ向かってきた。


 おそらく、直径100メートルはあるであろう。

 巨大な、巨大すぎる雹。

 いや、氷の塊だ。

 丸みを帯びた雹はおそらくこの辺一帯を破壊する。

 どこからこれほどの氷の山が作られたものなのかは既にどうでもいい。

 これほどの氷山が仮にここへ落ちた時、どうなる?

 周りの樹木、無幻樹、俺も含めて、村人も、そもそも刀剣自身も……


 死ぬ!?

 再三起こりいる死への誘いは過酷だ。


 俺は動けなかった。

 今のこの状況を処理するのに時間がかかったからだ。


 いや、そもそも俺も似たようなことをするつもりだった。

 なら、かなりの魔力消費は覚悟の元。


 俺はすぐに無幻樹全体に対物理魔法陣を敷いて言葉を発した。


 炎系魔法と土系魔法の混合魔法。

 【天級魔法 メテオストーン】


 両手を空へ掲げて祈った。


 間に合え!

 間に合ってくれ!


 巨大な氷山は勢いを留まることなく、俺に向かってくる。


 ゴーゴーと飛沫を上げながら迫ってくる。

 俺を、この地一体を破壊するには十分すぎる大きさ。

 それに、村人というハンデを背負っている俺に対しての効率かつ優勢な力技だ。

 俺が逃げれないことをわかっていやがる。


 氷山と俺との距離およそ1キロ。

 速度はわからない。


 もう時間が無い……


 そんなことは無い。

 俺の攻撃の方が早い!


 氷山のゴーゴーという音とは別に、ガーガーという音が後者に聞こえてきた。

 そのガーガーという音は、氷山を作り出した積乱雲を粉砕し、空高くから姿を表した。


 氷山の大きさには満たないものの十分の威力を発することができる。



 【天級魔法 メテオストーン】とは

 隕石のことだ。



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