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第六十三話「炎系魔法と土系魔法の混合魔法 天級魔法 メテオストーン」


 氷のつららは俺を貫いた。

 心臓、首、腰と体の至る所だ。

 死んだ。

 俺は死んだ。

 と、はたから見たらそうであろう。


 だが、それは全くの誤解だ。

 それは俺の分身だ。


 突き刺された俺の分身はホログラム化されて力尽きるように消滅。

 自分が殺傷されてやられているところを見るのは不快だがしょうがない。

 分身とはいえ、申し訳ないことをした。


 だが、その間に時間はもらえた。


 氷のつららが分身に着目している間、俺は次なる手を打った。


 歴史のあるこの森林、無幻樹には申し訳ないが

 有り余った魔力を消費したい。

 それに、この極寒に冷やされた土地を解放したい思いだ。


 全てを焼き払い、空気、地を温めるために。


 多少の犠牲も出したくは無いが、出すしかない。

 しかし、村人までは危害を加えない。


 周囲の雪を溶かす。


 俺は刀剣を中心に直径100メートル程の魔法陣を地面に発生させて、雪が積もり、冷え上がった森林の雪を溶かすため、森林に炎の陣を作った。

 森中に放たれた小さな炎。

 それは、森林を脅かす雪にとって天敵だった。


 みるみるうちに溶け始める積雪。


 空気も暑い。

 まるで、サウナにいるようだ。

 その温度上昇のおかげで刀剣の周囲以外の積雪は全て溶け始めている。

 無幻樹も同じことを言える。


 刀剣にとって厄介な相手であろう。

 俺が炎系魔法を使えるということ。


 結果的に氷と炎、対等な立場にある。

 どちらが勝っていて、どちらが強いなど誰もわからない。

 炎は氷を解かすが、逆に氷も炎を鎮火させるであろう。

 最終的にはどちらの力量が勝るかによる。

 いわゆる、使用者がどれほどの力を宿して駆使するかで勝敗は決まる。



 とりあえず、周囲を温めたことはいいが、肝心の刀剣とガバリオンを纏う氷はどうすれば良い?


 正直言ってあちらから仕掛けてこない。

 動作もない。

 ただ一方的な状況に不安も抱いていることは確かだ。 

 単純に身動きが取れないということなのか?

 なら、一体何がしたいのか?

 唯一の動作としてガバリオンを氷で封じているところを見て、意味がわからない。


 周囲が炎に囲われているこの状況、俺はずっと刀剣を眺めていた。

 時間が経つにつれて、氷が完全に溶け始めていき、樹木に移り、山火事になるかもしれないであろう。


 だが、当分の間、大丈夫だ。

 なぜなら、溶かされた雪が水分となり、樹木に吸収された水分で燃え上がるのに時間がかかるからだ。

 それはまだ心配はいらない。


 ……何か嫌な予感もする。

 そんな刀剣の不気味さ。


 俺は何か、と、一手を探す。


 自分の力を信じてみたいと拳を握った。

 賭けになるかもしれない。

 こんなに大きな魔法、今の俺に使いこなせるのか?

 多少の犠牲と言ったが、多少の犠牲では済まないと思う。


 でも、このまま対峙する戦い、なんの意味もない。

 ならば、やってみる価値はある。

 今すぐこの腐れ切った戦いを終わらせて終焉を迎えたい。


 炎系魔法と土系魔法の混合魔法。

 名は【天級魔法 メテオストーン】



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