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第六十二話「本当に本当の最終決戦」


 とにかく体が軽かった。

 いくらでも、かるーく体を動かせる。

 MPが満タン、体力全開という状況。

 気分もすこぶる良い。

 傷も治癒。

 全くもって正常なこの体にできないことは無いという程の俺の体だ。

 逆にMPが有り余りすぎて、放出しないと魔力漏れで逆に暴走してしまうのではと感じるほどだ。


 そして、ガバリオンを倒したはずでは?

 殺す勢いで放った魔法は通じなかったのか?

 そう考えさせるほど、周囲の森は寒さをまして、俺が歩いて向かう方向はさらに寒さを引き立てているように感じた。


 俺がとりあえず向かったのは、無幻樹だ。

 取り残された村の人たちを救う必要がある。

 でも、待てよ。

 明らかにおかしいこの天候。

 俺の体に雪が舞い降りてきた。

 雨はやんだ。


 走って無幻樹に近づけば近づく程、増してくる。

 シンシンな雪の降りからゴーゴーの雪の降りへ。

 言ってしまえば、吹雪だ。

 俺の顔に吹雪が散って、攻撃してくる。

 腕で簡単にガードできるが、風と混合した雪が俺の走りを邪魔する。


 だるい。


 こんなん分かりきっているではないか。

 明らかにガバリオン、いや、刀剣はまだ意識を保ち、攻撃を仕掛けてきている。

 やはり、破壊的なダメージを加えるには刀剣自体に。


 なんの造作もないが、吹雪をくぐり抜けて、無幻樹前の広場に到着した。

 ここへ来る途中も、あまりの吹雪、気温の低下の影響で足元に雪が積もってきたが、元凶となる核の部分になると膝の辺りまで雪が埋まっていた。


 俺はとりあえず、木の陰に隠れて広場を窺った。


 中央に完全凍結したガバリオンが瞳を閉じて仁王立ち。

 右手には元凶の刀剣が、赤く光って魔力を発していた。


 これからどうするのか、今までなら考えて動いていたが、魔力が有り余るこの状況に、いてもたってもいられなかった。

 

 下級炎系魔法【ファイヤーボール】を連発させて、刀剣に放った。

 まずは様子見だ。


 だが、俺のファイヤーボールは刀剣に到着する前に、鎮火。

 温度差が格段に違う。

 刀剣の周りとなれば、ファイヤーボールをいとも簡単に鎮火させるほどの冷気を持っているのだろう。


 さすがに手が悴んできた。

 体を温めるのと、撹乱するために刀剣の周りを走った。

 その間、ファイヤーボールを走りながら連発させても鎮火、隙を見て刀剣の頭上に高速移動後、刀剣の背後に着地。

 地面に手をバンッと合わせた。

 魔法陣を発生させ、それは刀剣を包み込んだ。


 上級炎系魔法【ボルテックスファイヤー】


 魔法陣内から炎の渦を巻きながら上空に炎柱あげた。


 高熱で包み込むガバリオンと刀剣。

 襲いかかる吹雪と地面につもる雪を溶かす。

 と俺は想定していたが、溶けたのは【ボルテックスファイヤー】に衝突する吹雪と地面の雪。

 ガバリオンと刀剣を囲う氷は少しも解けているようには感じなかった。


 俺は舌打ちし、渦巻く炎にさらに魔力を高めて、赤い炎から黄色い炎、青い炎に続き、紫の炎へと火力をあげていった。

 凄まじい轟音を立てて燃え盛る炎。


 雄叫びを上げて、火力を増した。


 すると、炎が効いたのか、金属音が?

 聞いた事のない金属音が鳴り響いた。


「チィーギィーー」


 俺は刀剣の鳴き声とみた。

 やはり効いている。


 さらに魔力を加えるため、両手で地面に手を合わせた。


「おおーーー!!」


 すると、魔法陣外の空中に冷気が集まった。

 その集まった冷気は鋭くとがったつららに変貌。

 ゆうに2メートルの長さをこえる。


 その数、いや、数え切れない。

 俺に向かって来た。


 すぐさま魔法陣を解除し、飛び突き刺してくるつららを簡単に避けた。

 何度来るんだと思うほど俺を攻撃してくる。

 後ろからも上空からも。

 そして、最後の一本を避けたあと、俺はしくじった。

 地面に違和感を感じた。

 地面の雪が盛り上がり、つららの剣山が俺の足元、いや、刀剣の周囲50メートルを氷の剣山とかした。


 俺の右足に一本突き刺してきた。

 思わず声を上げてしまったが、集中すれば避けれる。

 一直線に下から上に来るだけ。


 と、思っていたが、2メートルの高さまで伸び上がったつららは、操作されているように、ぐにゃっと、曲がり、氷の意を反してきた。


 そして、複数のつららは俺の体を何本も突き刺した。



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