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第五十三話「戦友の再来」

 

 エバと再開し、またすぐ別れ。

 その時からおよそ五分が経過していた。

 無幻樹までの道のりは平坦で、それほど苦労しない。

 それに距離もない。

 途中、荒らされた森林が待ち受けたり、泥沼に足を取られて走りずらかったが何とか敵の所までたどり着けた。


 松明で辺りが照らされて、その兵士の数が顕になっていた。

 かなりの数に直接叩くのは一旦やめた。

 まずは様子を窺う。



 


 無幻樹――


 少し離れた、木の上から兵士の様子を窺った。

 その位置からは全ての兵を満遍なく見渡せる位置。

 相手は俺に気づいていない。


 甲冑を着た兵士らが大きな樹木の周りを取り囲んでいた。

 見るからに、無幻樹に集められた村人は隔離されている状態であった。

 おそらく、様子を窺うに、無幻樹への入口の門を閉ざされ、兵が入って来れないように細工しているのだろう。

 せめての抵抗だ。


 兵はと言うと、

 槍を持った兵士が地面にドシンドシンと何度も槍を打ち込んでいる。

 振動と大きな音。

 わざと大きな音を立てて、こちらの攻撃本能と闘争心を上げているようだった。

 こちらの人数の方が明らかに多勢ということを印象付けるためであろう。


 こんな事をやっていると村人は恐怖するだろう。


 少し様子を窺っていると兵に動きがあった。

 兵士の隊長であろう髭の男が、代表して周囲の状況を中にいる村人へ大声で伝えているのが窺えた。


「今すぐ投降するんだ。君たちはもう逃げれない。こちらは殺すつもりもない。今出てくれば我々は何もしない」


 と、敵に対しての降参を促していた。


 それは、真っ赤な嘘だ。

 何よりこれは戦争であって、捕虜ということも考えられるが、生かす理由も特にない。

 それに、隊長以外の兵士がクスクスと笑っている。

 おそらく、隊長が明らかな嘘をついていることに対し、笑っているのであろう。

 性悪。


 夜の暗闇と大雨のおかげか、ある程度の距離まで詰められている。


 俺はここからどういう作戦で、どういう手順で敵を葬るとするのか考えていた。


 これから一人も犠牲者を出さず、救出する方法。

 運良く、無幻樹内部にいるため、俺が莫大な魔力を駆使し攻撃したところで仲間に被害はないと思う。

 多分。

 確実ではないが、やってみる価値はある。

 でも、疑わしいところだ。


 俺がそうこうしている間に、再び動きがあった。




 隊長の声にも反応がない村人たち。

 おそらく本人たちもわかっているのであろう。

 殺すつもりは無い。

 そんなことは嘘であるということを。


 反応のないことに隊長はイライラしていた。

 隊長は部下へ指示。

 指示された部下の兵二十人が7メートル程の極太の木の丸太を後方から運んで前線へ。


 勢いをつけると、丸太を無幻樹内部へ続く入口の門へ打撃を加え始めた。

 ドゴン。

 鈍い太い音が奏でられた。


 樹木に多少の振動が見えた。

 金属でできているため、あまり効果がないと見える。

 ビクともしない。

 一度程度では耐久率もそれほど変わることもないだろうから、隊長は舌打ちをして、打ち続けることを兵士へ命令。

 そして、次の手に打って出た。


 後部にいる弓兵を前線へ行くように指示。

 およそ、二十人の弓兵。


 弓兵は矢先に布切れを巻き、そこへ油を染み込ませ火を着火。

 無幻樹へ構え、発射。


 無幻樹へ火が灯された。

 油の影響で樹木に炎が渡りやすくなって、広がっていく。

 水分を多く含む無幻樹のため、それほど広がる炎ではない。

 生命力と巨大な大きさからゆえに、樹木内部へ炎が行き渡るまで時間のかかることだが、最終的には時間の問題だ。


 隊長は炎の矢を放ち続る指示。

 矢の数イコール炎の大きさを表すように、火力が増し、徐々に炎が行き渡り始めた。


 隊長は高笑い。

 事が上手くいっていると感じているのであろう。


 高笑いが轟く中、後方深くから兵士の声が。


「おやめください」

「なぜここへいらっしゃるのです?」


 誰かを静止する声であった。


 俺は目を凝らしてみると、どこからともかく、人型のガバリオンが兵を押しのけて前線へ歩いてきた。


「どけ! 邪魔だ!」


 兵士が静止している状況を見るからにここへ来る予定はなかったようだ。


 ガバリオンの無鉄砲さに兵もげんなりしているようだった。



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