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第五十二話「接吻ではないキスだ! 俺のテクニックとは」

 

 一度目の人生、幼少期の時に思ったこと。

 思春期になるにつれ、果たして俺の初体験の相手とは一体どんな人なのだろうか?

 接吻の相手とは、一体どんな人なのだろうか?

 そんなことを考えていたこともあった。


 周囲の大人たちがそういった行為を行っていることに対し、疑問を持っていたこともあった。

 なぜ、接吻という行為を行う必要があるのか。

 意味とは、意図とは。

 しなければいけないことなのか。


 思春期真っ只中の時だ。

 俺はある時、欲に芽生えた時があった。


 性欲だ――  

 

 朝起きた時、それは驚きだった。

 変な匂い。

 ネバネバしている液体。

 それにいつもより大きく発達した俺の股間。

 

 夢精、朝立ち――

 というものらしい。


 体の異常が起こった時から感情が何かに蝕まれる感覚。

 女性を見ると、必然的に発達した胸やスラっとした足、引き締まったお尻に、自然と着目していった。


 そのたびに勃起という体の変化が起こった。

 それに感情は見たい、触りたいという脳裏に焼き付く考え。


 これが性欲という人間の原理の症状であることが分かった。


 それからというもの。

 俺はひたすら、いずれ訪れるであろう接吻という行為にワクワクとドキドキに胸がいっぱいだった。


 だが――

 そんなことを考えてしまったせいか、

 結果的に、幸福と言われていた感覚は今の今まで出来ずじまいで、一度目の人生で訪れることはなかった。




 長生きしすぎて、合計100年以上が経過した中で、やっとの思いで獲得した接吻。

 いや、接吻と言う言葉はもうやめよう。

 古臭い。

 俺はキスをしたんだ。

 ファーストキスを獲得したんだ。

 ハーレムに一歩、近づけたんだ。

 俺の人生は再スタートしたんだ。

 あの時の俺ではない。


 ところで、ファーストキスの味は、苺のように甘酸っぱいという表現がよくあるが、そんなものは嘘だ。

 味なんてしなかった。


 でも、それは俺だけなのか?

 エバからしたらキスはどんな味なんだ?

 苺? 檸檬? それともなんだ?

 もしかして、俺の口臭きつい?

 老害だしな、それはあり得る。

 って言っても、自身の口臭なんぞわからん。


 まあ、それは落ち着いたらゆっくり聞き出そう。


 たかが粘膜と粘膜の接触。

 そんなものに意味があるのかという古臭い考えも終わりだ。


 手と手が重なるということよりも、唇と唇が重なるということを体験して、初めて意味があることがわかった。

 重みが違う。

 感情も違うし、興奮度も違う。

 いわゆる、相手に対しての愛情表現ということだ。


 なぜなら、体が反応したからだ。

 そう俺はフル勃起したのだ。

 体は正直だ。

 興奮したら立つ。

 ということは、キスは人を幸せにする行為だ。


 今ここでファーストキスをした俺は、レベルアップした。


 でも、そう考えるとなぜエバは俺にキスをしたんだ?

 って、そんなことすぐにわかることではないか。

 俺のことが好きなんだよ!

 今まで一つ屋根の下で共にして、気づけなかった思い。

 申し訳ない。

 

 俺もエバが好きだ。

 でも、恋愛感情として……?

 それはまだわからない。

 

 モナも俺のことを好いてくれている。


 「……」

 



 ところで……

 エバのキスは長かった。


 思う存分、遊ばれている気もした。

 俺はエバに対して、思うところがある。

 この子、キスうまっ!!

 舌を入れてきたり、舌を俺の舌に巻き付けて唾液を俺に注入してきたり……もうワケわからん!!


 初めてではないと見た。


 防戦一方の戦い方は好きではない。

 でも、ここで下がったら男ではないと、なぜかおかしな考えが芽生えてきた。

 なぜか、エバに……キス下手ね。

 とか思われたくない。


 もしかして……キス初めて? 

 なんてことも言われたくなかった。


 攻めてくるエバにお返しと考えた。

 どちらかと言うと、一方的にやるほうが好きだ。

 とりあえず、俺はSだ。


 俺は見よう見まね。

 想像でエバの後頭部を両手で持ち、グッと近づけた。

 そうすることにより、舌が口内の奥まで届くことがわかった。


 次はエバの舌を吸い取ったり、舌をテロテロさせたり、下唇、上唇を交互に吸い取ったり、口でできるあらゆるキスの方法を瞬時に独学でいま行った。


 エバは俺の繰り出すテクニックに、変な声がやたらに出ていた。



 効いている!

 効果は抜群だ!


 俺はさらに攻めた。

 力強く。

 激しく。

 高速ピストン!


 これで合っているのか?

 と、エバの表情を窺いながら行ったが、エバの表情から次第に生気が薄れているのが感じ取れた。


 よしっ!

 急所に入った。

 ダウンだ!


 そして、エバは力尽きるように地面に膝を着いてぐったり。

 力が抜けて、顔が真っ赤。

 足はガクガク、産まれたての小鹿のようだ。

 息を大きく切らせていた。


 俺は真顔でエバに声掛けた。


「大丈夫?」


 エバから見れば、俺は至って冷静に見えていることであろう。

 でも内心はそうでは無い。

 ただ、単純に初めてではないということをアピールしているのだ。

 俺は童貞では無いということを。


「はぁーはぁー……アーサー様……すごい吸引力……」

「最高……」


 エバは垂れたヨダレを拭いながら、俺をトロッとしたエロい目で見ていた。


 それでも俺は真顔を通した。

 彼女はどうやら続きを楽しみたいように見えた。


 俺のファーストキスは濃厚だった。

 完璧に主導権を握り、確実な勝利をおさめた。


 キス経験者に遅れを取らない。

 自分には才能があると思った。

 この勢いで、さっさと童貞も卒業したい。


 流れ的に、この後ベッドに連れ込んでセックスという流れのはずだが、かなり路線がズレたようだ。


 とりあえず、路線を戻そう。

 今は戦争だ。

 続きはあと。


「エバさん、それじゃあ私は行きます」


「はっ……はい~……」


 脱力感のある声の返事だった。

 エバは赤面して、汗が全身から流れ出していた。


 俺は真顔で笑顔を振りまいてここを後にした。

 やり捨てとは言わせない。



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