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第四十二話「殺すのね! もういいです……」


 俺の人生は紆余曲折。

 そして、格段に変わって来ている。


 若返る人生。

 捨てたもんじゃない。


 人の倍の人生を生きるということは、それなりの代償もあるだろう。

 だが、それなりの代価も発生する。

 人生って長く生きればいいってものじゃなく、残りの人生をどう活用するかがポイントだ。


 人生の折り返しという検問所にやっと通過を許された俺にとって、この人生というものは大切にしていかなければならないようだ。

 それは、モナから受け取った。


 お互いの気持ちを通して、通じあった俺とモナの結束力は違う。



 部屋に立てこもり、もうすぐ夜になる時間。


 結局のところモナはこの作戦に、協力すると言い出している。

 俺は構わないが反逆罪として裁かれたりしないのか?

 問うたが、そんなの関係なく俺と共にすると誓ってくれた。


 俺の心情はモナを必ず守るという名目の元、任務遂行することに徹した。


 そして、総勢たったの二名。

 第二回作戦会議が始まった。



 モナはベッドに胡坐をかいて話を聞く態勢へ。

 俺はそばにあった椅子へ腰かけた。


「ドワールという男と話しました」


「ああ、あの陰気臭い研究者ね。私大っ嫌い」


 モナはどうやら人嫌いが激しいようだ。

 ドワールという名を出すと、眉がキリッとなる。

 俺が話し出すと口角が上がって幸せそう。

 どうやら、頼れる俺という存在が見つかり安堵と自信が満ちているようだ。



 俺はドワールが提示した二つの選択肢について伝えた。



「その選択肢について何を持って選択するのか理解できません」

「ただ、彼らの目的が私。それならどっぷり浸かってみよう思っています」


「相手の作戦にハマるってこと?」


「まあ、ハマるというかこっちから出向きましょうということ」

「ドワールが主犯格と考えれば、元を刈り取ればいいのではないか。相手が私を求めているのなら、私が直接ドワールのもとへ行き、作戦を潰すのです」


「つまり全員殺すってことね!」


 モナは実に攻撃的だ。


「なるべく殺さないで行きます」


「なんだ。別にいいじゃない殺しても」


「そんなことをしたら僕らが悪い人みたいになります」


「そうかしら……」


 扱い難しいなー。

 モナが仮に俺の彼女になった場合、どれだけ俺は尻に敷かれるのやら。

 そんなことを考えてしまう。


「具体的には?」


「今夜、ドワールの研究施設に忍び込んで直接話します」


「ああ、そこで殺すのね」


 いやいや、だから何度も言っているじゃないか。

 殺さないって。


 どうやらモナは極端にドワールのことが嫌いなようだ。


「ところで、アーサーがここにいるってことは今牢獄にいるのは誰よ」


「ああ、それは私の魔法で……」

「!!」


 俺は目を見開いてモナに視線を送った。

 数秒間固まった。


「なっなによ」


 俺はこれが恋愛なのだというリア充を覚えた。


 今まで村人やエバから普通に言われていたものだから、気づきも感じることもしなかったが、恋という嘘偽りのない真実の愛が芽生えているこの状況下において、それはリア充の証だ。


「名前で呼んでくれた……」


「な、なんで……ダメなの?」


 モナは赤面して言った。


 おそらく初めてであろう。

 こんなにドキドキしたのは。


 モナ自身も普通に呼んだであろうが、どこか意識していたようだ。

 表情でわかる。


 俺は高揚感に浸った。

 ありがとうモナ。

 これがリア充というものなのですね。


 今までにない感覚に俺は全身に鳥肌が立ち始めた。


 俺は首を激しく横に振ってこれからも名前で呼んで欲しいと懇願した。


「当然でしょ名前なんて」


 腕組みして言った。


「それより話を進めて」


 そうでした。

 この高揚感の続きは作戦が終わってからじっくり楽しもう。


「話をした後、吐かないようならば力を持って無理やり吐かせます。企みの全容を」

「私の無詠唱が望みでしょうが、私が手伝わない限り無詠唱を人に付与することはできませんしね」

「それに気になるんですよ。二つの選択肢について」


 モナは至って平然だった。

 無詠唱を人に付与する力を持っていることをそこまで驚きはしなかった。

 もしかしたら、好きな人だから驚きはしないのか、無詠唱魔法使いに対して驚きの連続でそこまで驚かなくなっているのか。


「まあ、要するに研究施設に行って殺すってことね」


 だから違うって言ってるでしょ。

 コントかよ。


「でも、わたし、その研究施設の場所わからないわ」


「それなら大丈夫です」

「私が何も考えずに潜入したと思いますか?」


 モナはポカーンとしていた。


「研究施設の場所は地下深くです」


 空間認識魔法で把握したのだ。

 とっても便利な魔法である。


「ただ地下への入口がわかりません。まずはその入口を見つけないと」


「地面を突き破ればいいじゃない」


 どうやって!?

 魔法でか?

 そんなことしたら兵士が集まって戦争が始まるわ!


 モナは天然なのか真面目なのか正直わからん。


「一つだけ可能性がある場所があるのですが、ただ可能性なので……」


「行ってみるしかないじゃない」


 確かにそうだ。

 分からないんじゃあ可能性があるところに行ってみるしかないな。


「オッケー じゃあ今夜寝静まったら作戦開始だ」


「了解」


 モナは敬礼して俺の言葉に答えた。


「まあ、今の話よく分からなかったけど、入口見つけて敵見つけて吐かせて、殺すのね。了解」


 もういいです……



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