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第三十九話「わたしの想いって……」


 王宮

 ある部屋―

 次の日。


 アナログ時計が12時12分を示し、時刻はお昼を回ろうとしていた。

 チクタク、チクタクと秒針の音が部屋中に行き渡らせていた。

 外からの騒音もない。

 それに日差しがとても入ってくる部屋だ。

 間取りとしては申し分ない。

 逆に暑いぐらいと言えるだろう。

 大きな窓があり、外の庭園が絶景だ。


 庭園には色とりどりの花壇が並び中央には噴水が待ち構える。

 芝生でフカフカな絨毯でそこで寝たら気持ちの良いことだろう。


 王宮そのものはと言うと、さすがは一国の王宮と言える代物数々。

 中世ヨーロッパに相似している王宮では、白を基調とした外壁に、所々高い塔も伺える。

 民衆が暮らす場所とは建物の大きさが違う。

 どれだけ国の財力があるか窺える。


 部屋の飾りや模様も含めて全てが豪華だ。

 アンティークなベッドがおよそ二十畳ある私の部屋の十分の二を占めている。

 そんな豪華なベッドに仰向けで横たわるわたし、モナだ。



 髪の毛は後ろで括られポニーテール。

 胸には鉄のアーマーを防具とし、下半身はミニスカートという軽装。

 ハイソックスを足のもも下まで伸ばす少しセクシーなスタイルでもあるだろう。

 身を守るとして胸にアーマーを装備している。

 私の生まれつきの武器でもある巨乳はアーマーないに隠しておこう。


 ワンピースの服装ではない。

 それは偽りの服装だ。

 これがデフォルトの戦闘服。


 ここは私専用の部屋でもあり、自由に使用しても良いという指示を受けている。

 たから、私物や武器や工具の部品が一部散らばっていても誰も文句は言えないでしょう。

 はっきり言ってここは自分持ちの部屋だ。

 王宮の中でもかなり厚遇らしい。

 王族からの信頼度を勝ち取ったのだろう。


 王族の専属兵士として契約している分、給料も破格の値段だ。


 一般的な兵士の月給は金貨一枚。

 相当価値によると十万円程度だ。

 主な一般兵の仕事として国の警備や治安維持、行政作用。

 表の顔の仕事ということだ。


 それに比べ、私の月給は金貨五枚。

 およそ五十万円。

 その金額に比例して、王族から直属の仕事として与えられている。

 主な仕事は国は元より王族への徹底的な忠誠や裏仕事、つまり暗殺や偵察の仕事がメインとなる。


 元々、エレスティン王国出身ではない私がなぜ王族直属の兵士になることが出来たのか疑問に残る。


 裏社会で生きてきた私にとって仕事のオファーというのは日常茶飯事。


 裏仕事をやる分お金は出す。

 というコンセプトの元、仕事に対しての報酬額というのはコスパが良いと思うかは人それぞれだが、一般的に仕事をして毎日を平穏に過ごすということよりかはかなり額の開きがある。


 実は裏社会への仕事参加希望者というものは実は大勢いる。

 その要因としてやはりお金の部分が大きい。

 貧しい毎日を過ごす人ほど裏社会へ首を突っ込むというのはどこの国でも通じること。

 危険を伴うことも覚悟。


 だが、実力や仕事の成功率、過去の仕事結果歴などを背景に基本的にはオファーの仕事でもある。

 そのため、新参者が安易に仕事を貰えるというのはそこまであることではない。

 ある程度の、知名度や力の実力が証明されれば別の話だが、

 過去の仕事の成功率などが分からない以上、新参者に対し、安心して任せることが出来ないからだ。


 案外、実力社会ともとれるこの仕事は、経験者に対しオファーするというのがセオリーとも言われている。


 その分、私は何年も裏仕事、つまり汚れ仕事を行なってきた分、裏社会ではそこそこの知名度があり、人気の一人となっている。


 契約期間や金額、仕事内容を委託側が受託側に提示後、双方の話し合いの元、了承を経て決定する。



 今回で言えば、

 任務:暗殺、偵察など

 契約期間:2年

 報酬額:月給五十万

 特別報酬(任務成功の報酬):金貨三枚 およそ三十万円

 その他:衣食住の確約、軍器の提供と整備点検の無償


 ベッドに横たわる私は少し不満げだ。

 天井を眺める。

 天井には装飾された天井で眺めるには絶景だ。


「はぁ~」


 ため息をひとつ。


 裏社会の仕事を始めてどれくらい経っただろう。

 正直どのくらい世界を転々として生きてきたかはっきり覚えていない。

 今はそうでは無いが、昔は毎日を生きるということすら必死だった。


 親兄弟がいない幼き頃からこの仕事に場を移したため、十年は経つのか?


 こんなに仕事をしてきて、こんな気持ちは初めてだ。

 今まで自分のためだけに生きてきて、自分以外の人間などどうでもよかった。

 沢山の人を混乱に導いただろう。


 長年仕事をしてきて、初めてこの仕事をして後悔したと感じた。


 本当に私はこの選択で正しかったのだろうか?

 間違っていなかったのだろうか?


 私は老害の彼の顔が脳裏に浮かんでしまった。

 別に考えようとして浮かんできたんじゃない。

 なぜか勝手に私のあたまのなか、心の中を貪って来るのだ。

 本当にどうしようのない老害だ。

 いい加減にして欲しい。

 そして、瞼を閉じた。


「はぁ~」


 無詠唱魔法。

 それがどうした?

 私には別に関係のない事だ。


 昔、無詠唱事件が起こったということは知っている。

 無詠唱魔法使いがどれだけ貴重な存在なのかもわかっている。


 国がどうとか、無詠唱魔法がどうとかどうだっていい。

 ただ、彼を本当に国へ連行したことは私にとって良識な答えだったのか?


 私は悩んだ。


 およそ半日という短いようで長い彼との日々は、私の人生でねじ曲がったところが正しく修正されていくのが少し気持ち的に感じ取れることもあった。

 分岐点なのかも……と。


 彼にはハレンチなことや、失礼なことをたくさんされた。

 でも、彼との日々はどことなく心から笑えた。


 エレスティンが彼にどんなことをするために欲しているのかは分からないが、十中八九良い事ではなく、この国の悪の部分が目覚め始めている。


 裏社会の仕事をしていればわかる事だ。


 正直いうが、もう少し彼と過ごして話を聞いてみたかった。


 彼のことを決して恋愛感情で見ている訳では無い。

 ただ、彼との時間は私に記されたことの無い新たな楽しみが増える一部であると感じでいる。


 彼は、連行されて任務終了と言ってくれた。

 私の身を考えて言っていてくれたことであろう。


 お花畑で彼を暗殺する勢いで捕獲するつもりだったが、彼は手加減していた。

 彼は私より経験を積み、私が彼より優ることといえば……何も無い。


 私にはもしかしたら彼のような存在が必要なのかもしれない。

 今感じている胸のドキドキは彼を欲している何よりの証拠だ。


 彼はいま幽閉されていることだろう。

 連行して国へ状況説明してその後のことは関わりを持てないため何も知らないが、この選択は間違っていた。


 考えていても仕方がない。

 よしっ!

 決めた。

 彼を助けよう。


 勢いよく体を起こした。


 国との契約期間が残っているにも関わらず、国への反対勢力となりえることへのケジメとして、

 頬にパチンと衝撃を加えた。

 痛っ……

 やはり夢じゃない。

 現実だ。

 覚悟は決めた。


「よしっ」



×××



 地下室・牢獄


 二日間という時間をドワールから与えられて数時間が経過した。


 選択を迫られた俺は悩んでいた。

 ドワールが言っていた選択。

 それは、言いながらも自身ではその選択肢を話すことは無かった。

 それがどういう意味をもっているのか。


 試している?

 いや、そんなことでは無い。

 研究者ならもっと頭の回転が良く、鋭い選択にしてくるはず。


 単純だ。

 俺のぼろを出そうとしているのだ。


 普通なら命だけは助けて欲しい。

 その代わり何でもする。

 的なことを話しつつ、結局は無詠唱が目当て。



 ドワールも俺の力を分かっているはずだ。

 抵抗せず、確実に俺の無詠唱を取りに行く選択肢に誘導しようとしているのだ。





 まさか――

 俺が既に王宮に潜入していることも知らずに――



 俺の体にブロックノイズがはしった。



 牢獄にいる俺は偽物。

 これは魔法で作りだした俺のビジョンだ。

 案外簡単に騙せたようだ。


 まあ、触られたりしたら簡単にバレちまうが、都合よく牢獄。

 誰にも触られることは無いだろう。

 少なくとも二日間は。


 この牢獄に入るまでは本物だったが、監獄に入った瞬間だ。

 一人の兵士を気絶させて入れ替わらせてもらったのだ。



×××



 王宮内

 廊下――


 潜入させてもらった。

 気絶させた兵士が来ていた甲冑を身にまとい、姿を隠す。


 潜入したのはいいが、これからどこへ向かえば……

 広すぎてわからん。


 一本道の廊下に、左側面には部屋のドアが複数並んであった。

 右側には日差しが眩しい窓。


 何やら窓の外は騒がしい。

 俺は窓の外を眺めてみた。


 王宮の南側には大きな大広場がある。

 普段そこでは兵士たちが自身の強化のために鍛錬する所として使用されているのだろう。

 また、王宮演説などで兵士が演説を聞くため集まる場所としても使われる。

 昔と変わらずだ。


 この窓はちょうど南側。

 俺の場所から兵士を簡単に見下ろすことが出来た。

 その大広場の広さは直径およそ300メートルとかなり広い。


 甲冑をまとった兵士が列を正して整列しているのが確認できた。


 俺はその数に思わず声が出た。


 それは、五十人やそこらの人数ではない。


 ざっくり歩兵が

 一部隊二十人編成とみた。

 それが百部隊ほど確認できた。

 大体二千人ほど。


 騎馬隊

 およそ五百


 それに補給部隊と思われる。

 貨物馬三十


 特に隊列を組んでいるだけで、演説を行っているようには見えない。


 見えていないだけでかなりの数が列を成して移動しているのではないか?


 甲冑を纏いながら小走りになることで「ドサッドサッ」

 呼吸を合わせて動いているのが音で確認できる。


 いやいや、だとしたらこれはものすごい数だぞ。


 なにか緊急事態でも起こったのかと俺は考えてしまった。

 まあでも、今はそんなことはどうでもいい。



 赤い絨毯が一直線に反対側まで伸び、廊下の長さだけでも50メートルはあるか?


 とりあえず、あの研究者がいる部屋へ行くしかないと思い、長い廊下を歩いてみた。


 数メートル歩くと、鳥肌が立った。

 そして、自然と足が止まった。

 なぜかって?

 この威圧感に存在感あいつしかいない。


 一直線に続く反対側の廊下から人型のガバリオンがノシノシと歩いてきたのだ。



人大陸の通過について解説。

金貨:十万円

銀貨:一万円

大銅貨:五千円

中銅貨:千円

小銅貨:百円

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