第三十四話「セクハラの代償」(2/2)
「無詠唱魔法。なるほど、そこまで周知されていましたか」
あまりの冷静さにモナ自身も驚いていた。
この冷静さは強さにあるとモナもわかってきている。
「まあ、この話は国の上層部のみにしか伝わってないと思うわ。私だってなんの理由もなしに人攫いなんてしないもの。上層部のヤツらから無理やり聞き出したわ」
この子、結構乱暴な子だな。
しかし、モナは無詠唱について驚きはしなかったのだろうか?
そんなに珍しいことであればもう少し興味を持っても良さそうだが。
「モナは無詠唱魔法に興味は無いのですか?」
「えっ?」
「いや、あまりにも冷静なもので……」
「そんなことは無いわよ。私だって最初は驚いたわ」
俺は少し安堵した。
「だって、使える全ての魔法を無詠唱で使えるなんて、スゴすぎる」
「そんな人本当にいるんだって驚いたわ」
「ちょっと会ってみたいって思ったもの」
そして、その人は目の前にいる。
俺はニヤケながら、自分を指さしてモナにアピールした。
モナはそのふざけた態度を見ると不機嫌な顔になった。
「まあ、そんなすごい人に会ってみたら、変態クズ老害だったっていうのも驚きだけど」
俺は心臓が、心が痛かった。
げんなり。
モナは俺の表情を窺うと笑った。
どうやら俺のしょげた顔が面白かったようだ。
「冗談よ。変態は変態だけど」
もういい。
俺はやっぱりさっさとこいつを犯しておけばよかったと後悔した。
×××
「それで、モナは見す見すと殺されにいくつもりで?」
「そんなわけないでしょ。私あの国になんの未練も感情もないし、そもそも住人でもないから」
「まあ、これはあまり言いたくないけど、あんたと会うのも最後だろうだから言うわ。わたし魔族と人族のハーフなの」
ハーフその聞こえの良い響に心の中では少し興奮していた。
決して表情には出さないが。
ハーフと言えば美人というのがセオリー。
だからこんなに美貌の持ち主で納得。
「ハーフって何かと不便じゃない? それに魔族ってのがねー」
「それに私小さい頃に両親を無くして各地を転々として仕事を見つけて生きてるから別に今から逃げれば国に追われることもないし、こういう生活が普通なのよ」
「あなたも長く生きていれば少しは私の気持ち分かるでしょ?」
この世界に目覚めておよそ数年。
長い年月が加わろうと変わらない背景がそこには見えた。
差別。
そんなそこらの年月で劇的に変化すると思ってはいなかったが、今や獣人族や魔族が、人族の暮らす地域を歩いていようがなんの問題もない。
裏側ではやはり差別というのは混在している。
魔族だからと、怖いからと、思い込みや外見から判断するという不愉快な世界が今でも現実的なのだろう。
「別に魔族も人族も関係ないと思いますよ」
「え?」
「昔から魔族が一方的に毛嫌いされているのは知っていますが、現にモナはいい人じゃないですか。先程まで敵であった私に自分の秘密を話すって簡単な事じゃないと思いますよ。それにお花畑で小さい女の子いたでしょ? あの状況下で、あとで仲間を呼ばれるリスクを持ちながらあえて逃がした。その時から私はこの人は悪い人ではないと感じていましたよ」
「魔族にも人族にももちろん悪い人はいる。ただその逆も同じで良い人も沢山いる。モナはそのうちの良い人ってことです」
俺はルーシーのことを頭に浮かべた。
彼女も魔族。
俺はそれで免疫が着いていたのかもしれない。
モナはにっこり笑った。
「あんたってお人好しね」
「ほんとうっざっ」
「好々爺と呼んでください」
俺たちは笑顔で吹き出して笑った。
モナとはこの夜でいい関係を作れたと思う。
魔族だからなんだ。
俺はそんなこと関係ない。
だって可愛いから。
「あと、逃げる必要ないですよ」
「?」
「少し気になる事があるのでエレスティンには行きたいと思っていましたので……」
「一緒に向かいましょう。もちろん私を捕まえたテイで」
【ジャスミン(作者) 身近なニュース報告欄】♯18
小説家になろうに投稿を始めて何年経つでしょう?
途中長期の休息時間を挟みながらですからそこまで長くないと思います。
別の作品を途中まで書いて放置していますが
過去の自分が描いた物語、今思い返せば面白いとは思いませんw
ちなみに僕は無職転生の大ファンです。




