第三十四話「セクハラの代償」(1/2)
モナは何度も俺の腹を蹴りこんできた。
そして俺の腹はもう限界を迎えていた。
炎症もできた。
骨が折れたのではないかと思うくらい、ズキズキと痛みが今でも伝わってくる。
モナも戦闘においてはやはり強者だ。
1センチすらズレることなく、同じ場所に的確に蹴りこんでくる事細かさ。
実に惚れ惚れするぜ。
数分間、俺は抵抗できず、というより抵抗できなかった。
懺悔の気持ちを込めて。
同じ箇所を蹴りこまれた後、腹を下した。
そして、モナの気持ちがある程度晴れたところで、モナは毛布にくるまった。
だが、視線がきつい。
うっざっ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。
モナの心の声がはっきりと聞こえる。
毛布を頭までぐるぐるに被ったモナが、キツネみたいに細く鋭い目つきでこちらを睨んでくる。
確かに、確かに俺が悪いと、、思う。
けど、それは下着を……
うっざっクズクズクズクズクズクズクズクズ。
また、心の声が聞こえる。
モナは俺の心が読めるのか?
「まあ、いいわ」
「別に見られた訳じゃないし!?」
本当に見てないわよね?
っと念押しに俺を睨んでくるモナはおよそ十秒間睨みを続ける。
俺はそれを笑顔で返す。
その笑顔を見たモナのおでこに、血管がゴリゴリっと浮き出た。
地面にあった石を拾い、豪速球で投げてきた。
その石は俺の頬をかすめて、背後の木を貫通させた。
恐ろしすぎる投擲に俺はすぐさま反応。
「何も見ておりません……」
「はあ~」ため息。
そのため息に俺は安堵した。
「ただし! 次私に触れでもしたら終わりよ」
「……はい」
モナは上から目線で言い放つと、焼いてあった魚を瞬時に頬張った。
「あんたそれ食べないの?」
俺の焼き魚に指さした。
どうやら俺の焼き魚にまで狙いを定めているようだ。
「ああ……食べます?」
「当然ね!」
そう答えるとモナは遠慮もなしに笑顔で頬張った。
数秒のうちに二匹の魚を平らげた。
笑顔はとても可愛いのに性格きついなーと考えてしまった。
何となく気まずい雰囲気が漂ってくる。
「まあ、少しは感謝しているわ」
「えっ……」
意外な答えだった。
「あんたが助けてくれたんでしょ?」
「多分私死んでいたわ。あんたがいなきゃ」
「だから……感謝してる」
モナは恥ずかしそうにそう言った。
俺は心から嬉しかった。
やはり感謝の言葉ほど嬉しいものは無い。
少し笑顔がこぼれてしまった。
「でも、私はこれで任務失敗よ」
任務? とは?
「…といいますと?」
「元々私の任務はあんたをエレスティン王国に連行すること。でもあんたは私より強い、それにわざと捕まったんでしょ? それくらいわかるわ」
「……」
「今更戦って勝てる自信なんてないし任務失敗ってことよ」
事情とはそのことだったようだ。
俺はもっと詳しく聞きたかった。
「任務に失敗するとどうなるので?」
「多分殺されるわ」
エレスティン王国という国は知っている。
とても良い綺麗な大国だ。
若い頃はよくクエストの依頼などを受けたりと、お世話になった国でもある。
俺が生きていた時代からもちろんあった国。
だが、なぜ俺が?
「殺される……それはあまり意味がわかりません」
「……それになぜ国は私を欲しているので?」
「それはあんたが無詠唱魔法使いだからよ」
「何を企んでいるかは知らないけど、あんたを使ってなにかするみたいね」
やはりか、なんとなーくだが察しは着いていた。
そういう事ね。
俺が安易に無詠唱についてペラペラと話したせいで目をつけられたか。
この世界のことを何も把握せずに現状のことを話したせいで色んな方面に影響が出てきている。
俺の失態だ。
狙いは俺自身。
無詠唱魔法。
ガバリオンの言葉。
国の繁栄。
可能性として無詠唱の繁栄。
だが、俺を捕らえたところで協力する気は無い。
そもそも生け捕りという時点で俺を殺すつもりはないと見ている。
利点がまるでない。
力ずくでやるつもりなのか?
「ちょっと、ちょっと……」
「はい……」
「ちょっと色々考えすぎ」
俺はモナが言う通り考えすぎて自分の世界に入り込んでいた。
「すみません……」
これから取る行動は決まった。
考えすぎても先に進めない。
なら、とりあえず行動に移してそこで考えよう。
【ジャスミン(作者) 身近なニュース報告欄】♯17
魅力的なヒロインってどんな人を言うのでしょうか?
僕は結局は性格だと思います。
見た目も大事かと思いますが性格の方が大事では?
特にツンデレ好きです。
第34話 宜しくお願いいたします




