第二十九話「お花畑の暗殺者」
窓際に肘をかけて外の風景をぼーっと眺めている。
何気ない日常だ。
何度も言うが村人のたわいのない会話に平和を感じるのは俺だけか?
この感覚がいつまでも続けばいいのだが……
と、俺はベッドの方に顔を向けた。
エバは何事も無かったようにベッドでまだ眠っている。
全裸で……
まあ、いつもの事だ、少し勃起したがとりあえずは大丈夫。
つくづく思うが村で出会った数々の女の子は皆ブスがいない。
そう思っているのは俺だけなのかな?
そんなはずはない皆普通にかわいいと思うし、単純にレベルが高い。決して俺はB専ではない。
くだらない考えをしながらエバの可愛い寝顔を見ている俺だった。
エバとは、先日の一件から気まずい空気をと思っていたが、彼女は普段通り接してくれている。
何も問題は無い。
さて、現在、借宿に住んでいるとはいえ、やはり簡易的な家ということもあり、朝になると近所の人の声が多少うるさく感じるな。
窓から見える外の景色はママ友たちが会話をしていたり、子供が朝から走り回っている。
この村へ来てからというもの皆の暮らしが少し変わってきているように窺える。
今や金山から取れる鉱石を材料に住宅の構築も始まっている。
こんな、魔物の骨や木材などで構築されている家とはいずれおさらばだ。
さらに最近は朝起きてコーヒーを飲むのが日課になっている。
ホットのブラックだ。砂糖はいらない、ミルクもだ。
周囲の農作物への配慮も忘れていない。
最近では穀物などの生産も規模を広げているし、それに家畜の規模と量も増やすことでこの村の食料自給率が高い水準に保たれる。
それらを行うことにより、他国との貿易の発展も期待できる。
まさに、新たな国家への第一歩と言える。
そんな、未来への展望を思い描いている時、、
「師匠! お花畑に行きましょう」
ノックもせずにドアを開けて上がり込んできた。
不意の言葉に少し戸惑ったが了承した。
この老耄にお花畑? 似合わないな。
アナにはピッタリ似合う、なんせ可愛い少女だ。
たまにはこういう少女が大好きなところにも行きたいのだろうと感じ取り、俺はアナと共にお花畑へと出発することにした。
× × ×
山道を越えた丘の上に広がる色とりどりのお花畑だ。
そこへ着いた途端、俺の気持ちは健やかに晴れた。
美しい。
心が綺麗な人間ほどそう感じるだろう。
だったら俺は心が綺麗だ。
自信過剰に俺はお花畑を眺めた。
涼しい気持ちの良い風が花の香りと共に身体全体に染み渡らせる。
アナは俺の手を取りお花畑の中央に呼び寄せた。
「師匠! きもちーい」
「ああ」
俺は笑顔で答えた。
俺たちだけの秘密の場所を案内してくれたと思っていたが、20メートルほど離れた場所に先約があったようだ。
花柄のワンピースにセミロングでピンク色の髪の毛を風になびかせながら、美しい女性が花を詰んでいた。
肌の色が白く透き通っている。
これこそ絶世の美女だ。
だが、村では見たことの無い顔だ。
他のところからやってきたのかな?
まあ、どちらでも良い。
俺とアナはお花畑に大の字で寝転んだ。
「アナの言った通り本当に気持ちいいですね」
「でしょー!」
俺たちは終始笑顔で、あまりの気持ちよさにゆっくりと目を閉じた。
俺の精神は夢の中――
いつかハッキリとアナに言わないといけないことがある。
俺はこの村が大好きだ、仲間と思える人にも出会い、何不自由しない楽しい毎日を過ごしている。
だが、俺にはやることがあるし冒険もしたい。
近々この村を出ようと思っている。
そんなことを慕ってくれているアナに言えるのか?
いや、言えないかも……
なら、いっその事アナも冒険に連れていくか?
……いや、それは違うな
この村がある程度の自己防衛力が付いたところで俺はおいとましよう。
うん、それがいい……
「師匠!!」
俺はアナの呼び掛けに目を覚ました。
眼前に現れたのは鋭くとがったダガーナイフだった。
瞬時に俺は左腕で防いだ。
左腕にナイフが突き刺さって血がドロドロと出た。
相手はそのナイフを抜こうとするが、そうはさせない、俺は瞬時に腕の筋肉を圧縮させて筋肉をナイフに纏わせた。
これなら抜けないだろう。
これも高等技術だ。
俺はすぐさま体勢を整えて、風系魔法で10メートルほど相手を吹き飛ばした。
相手は声をあげて地面に倒れた。
女の声。
先程いた花柄ワンピースの女がいなくなっていた。
倒れた女のワンピース。
そして花柄、先程の女か?
「師匠! 大丈夫ですか? すぐに治癒します」
アナは回復魔法で刺さったナイフを抜きながら傷口を治療してくれている。
女は起き上がり俺を睨み、先程見た表情とはまるで違った。
俺を憎き敵対する顔だ。
怖い怖い。
俺は相手の動向を気にしながら話しかけた。
「寝床を襲うとはいい人間とは言えないですよ。せっかくの美しい顔が台無しだ」
「……」
「あなた何者です?」
「……」
女は太ももに隠していたホルダーから別のナイフを取り出して構えた。
戦闘にだけ意識し、ただ目の前の敵と認識する者のみを葬る為に生まれた人形のようだ。
「私を殺そうとしているということは何か事情がありますね!? 私はあなたに見覚えはありませんが…」
女は俺の語りかけにも表情すら変わらず黙り込む。
ただ、女からは焦りを感じる。
額からの汗やよく見ると手が震えている。
「そうですか。なら申し訳ないですが、力ずくで吐かせますよ」
ちょうどアナの治療が終わったところだった。
【ジャスミン(作者) 身近なニュース報告欄】♯13
退屈な人生と、日々過ごすごとに感じる毎日で
「小説家になろう」という投稿サイトに出会って少しだけ変わった気がします。
小説を書いているときってなんか心が落ち着くというか、物語を作るって良いことだなって感じました。
第29話です。
宜しくお願い致します。




