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第二十二話「獣人族ガバリオン or 人族ガバリオン」


 獣人族――


 人とはまるで違う生き物だ。

 全身を体毛に埋もれたその身体に聴覚、嗅覚に優れ、人の倍以上の怪力の持ち主。

 それが獣人だ。

 その卓越した身体能力により、古くから人族によって奴隷としてあしらわれる場面も存在している。

 そんな奴隷として捕獲される一方で、獣人族は何百年の時を超えて進化を遂げている。

 人族による一方的な乱獲に戦闘という手段もあったが、争いを好まない獣人族にとって進化というのは得策だった。


 人族に溶け込むという選択肢を獲得したのだ。

 つまり、獣人族の見た目が人族になるということだ。

 体毛も消え、人として生きるということだ。

 そして、俺の眼前にいる毛深い野獣は獣人族の本来の姿と言える。



【獣人族のモード3パターン】


 人型:人族の見た目

 人獣型(デフォルト):人間族と獣人族のハーフ

 ビーストモード:完全な獣型




 俺はその巨体に正直恐怖を感じた。

 理性のないライオンが獲物を狩る目付きだ。

 野生の獣ほど怖いものは無い。

 ガバリオンはビーストモードとなった姿、そして太く低い声に変わり喋った。


「どうした?」

「怖いのか?」

「無理もない。この姿だ」

「この姿を見てたら皆逃げ出す」


「獣人族……」


「そうだ」


 俺は肌が粟立つ。

 身体はごまかせなかった。


「まあ、よく人間に化けていたものですね」

「変身能力もお手の物ですね」


「この世界で効率よく生きてくにはそれが都合が良かっただけのこと」

「今思えば、あの姿に慣れすぎていた」

「逆に感謝する」

「久々にこのモードになれたことで、ようやく本気を出せる」


「そのお姿、私は好きですよ」

「可愛いですし」


 情けは必要ないことぐらい分かるが、まあ、少しでも相手の気持ちになって手加減してくれることを願ってのダメ元での発言だ。


「ハハハハッ」

「そんな言葉初めて聞いたわ」

「獣人族ですら恐れるこの姿を」


「ほう…」



× × ×



 およそ四十年前―

【ガバリオンの過去】


 俺は生まれ持って強すぎた。

 明らかに違う身体の大きさ、力。

 昔はよく仲間の骨を間違えて折っていたものだ。

 俺は普段、いつも通りに過ごしていただけなのに、


 嫌悪。


 仲間から浴びせられるのは憎しみと醜悪。

 そんなことが続いたある日、俺は一族の汚名を着せられた。

 あの日は雨が降る日中も暗い日だった。

 まだ若かった俺が必然的に村の中心からはぐらかされていた時だ。

 無理くりハブられて、村の周囲の警備をしていた。

 突如と村で起こった人族との争い。

 獣人族を好む人族によっての乱獲だ。

 人族の王族などに献上される奴隷や性奴隷を目的とした乱獲は非人道的すぎる。


 獣人族の中でも、価値の低い逆らう力のある大人の男は殺され、女や子供は高く売れる。特に子供の女は高い。

 獣人族も反撃をすれば良いのだが、人族の方がやはり頭がいい。

 人質か…合点がいく。

 そして、魔法能力。

 獣人族は主な戦闘スタイルは剣術による体術スキル。

 獣人族が体術スキルを優にしても、魔法は遠距離にも届く近距離型の獣人族にとって厄介だ。


 それに奇襲と戦略。

 人族は後方に多数の遠隔魔法術者、それに近距離に歩兵、そしてアサシン、索敵。

 非常に厄介な戦術だ。


 その行き過ぎた人族を恨もうとは思わなかった。


 何故か、俺は俺だけ獣人族でないと感じていたからだ。


 獣人族、人族、どちらにも属さない俺は一体何なのか……


 人族が獣人族を次々と殺している光景を見て俺は少し嬉しかった。

 今まで散々俺を除け者にしといて俺の力を借りたいなど、図々しいにも程がある。

 だがら、俺は手出しをしなかった。


 目の前の惨劇がどうなろうと知ったこっちゃない。

 俺のことを獣人族と見た人族は、俺に刃を向けてきた……


 ……簡単に返り討ちにしてやった。


 人族も頭がいい。

 この村で一番強いとされるこの俺に殺される仲間を見て次々と挑んでくる。

 手加減してもこの弱さ、俺は……強すぎた。



 俺は殺戮の如く、人族を皆殺した――


 一段落した後、ようやく意識を取り戻した。

 人を殺すことに夢中になり過ぎていたようだ。

 気づいた時には辺り一面血の海。

 そんな光景を見て獣人族は恐れて怯えていた。


「怖い」「気持ち悪い」「あなたは一体何なの」


 その言葉に俺は確信した。

 俺の居場所は……ここではない……



 血生臭く赤く汚れた俺の身体。

 雨が降っているのに一向に血が洗い流されない。

 今後死んでもなお、一生こびり付いて来ると思われる。怨念と血液。



 俺は…孤独だ…



 その孤独者の身体に触れる暖かい温もりを少し感じた。



 今にも倒れそうな細く弱々しい身体だった。



 この人は誰だ? 獣人族だ。

 見覚えがある。

 何なんだこの人は、今までにないこの優しさ。

 俺を包み込むこの温かさ。



 ……そうだ


 この人は俺の母親だ。



 幼い記憶など覚えていない。

 ただこの人が俺の母親だということは

 血筋が繋がっているからなのか、すぐにわかった。

 でもなぜ? 母は俺が物心着く頃にはもう……


 そうか、俺がこんな惨劇をしたから叱りに来たのか……

 殺人者をこっぴどく、他の奴と同じく叱りに来たのか。



「…リオン」

「あなたは優しい子…」

「自分の信念を突き通しなさい」


 俺は心がもわ~っと湧き上がった。

 何かが込み上げてきた。

 涙腺からこぼれ落ちる雫が感じ取れた。



 母だけは俺の味方だった。




× × ×




「人族は強さを求める」

「俺は村を抜け出して数十年、こうやって今は獣人の里から抜け出したことでいい思いをしている」

「母の命令の元、信念を突き通し、今からお前を殺す」



「ビーストモードそれが五位の力の源ということですね」

「いいでしょう。最強の獣人族よ、かかって来なさい」



 ガバリオンは鼻で笑った。


 そして、加えた刀剣と俺の剣が混じえた。



 二回戦の始まりだ――



【ジャスミン(作者) 身近なニュース報告欄】♯6

先日、健康診断へ行ってきました。

身長体重はもちろんのこと、レントゲンや心電図も

でもやっぱり、血液検査…きついですねーw

なぜか、ワクチン接種や予防注射などの接種は全然大丈夫なのですが、

採血は…見てられませんでしたww


第22話です。

宜しくお願い致します。

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