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第二話「人生、始まる」


 あれから三十年後―



 魔法を駆使するもの、剣を抜刀するもの、はたまた魔法や剣の才がない者この世界の生き物は少し特殊だ。


 ドラゴン、魔物など種類種族様々、多種多様の生き物が存在している。

 いわゆる、異世界というものだ。


 ワシは死んだが、ここからが起承転結の物語の始まり。



 人は本来、赤ん坊から始まり歳を取り、老人となって死ぬのがデフォルトだがワシは違った。

 老人から始まり赤ちゃんで終わるのだ。


 そう、若返る。




 もちろん亡くなるまで一般的な成長速度と共に94歳で亡くなったがもう一度人生が94歳から始まったのだった。



×××



 晴天―

 子供が遊ぶ声。

 カップルが仲良く談話。

 畑を耕す音や野菜をつむ女性、森ではイノシシや魔物を狩っている村人。


 平凡で特徴のない小さな山奥の村に100人ほどの村人が暮らしていた。

 平和かつ働き者ばかりが暮らすこの村では、主に農業や狩猟で村を保っている。



 農業や狩猟で得た利益を都市部でお金に換金して生計を立てる村のようだ。

 正直言うと裕福では無い。



 村は立派だ。

 魔物などの骨や皮で形成された建築がおよそ30棟程か、煙突からモクモクと煙が立ちこもっている窺える。何か料理でもしているのか。



 周囲には簡単に作られた木の柵で村の囲み、芝生のしっかりと生えた草原のような地。



 そんな穏やかで平穏な村に大地がひっくり返る事件が起こったのであった―




 地面から響く振動―


 村人がその揺れに驚き、神の祟と言うものまでいる。

 頭を抱えて怯えるもの。赤ん坊は泣きわめく。

 犬か魔物か番犬であろう動物も吠える。



「ドンッ…ドンッ…」




 揺れの次に和太鼓で叩いたような深い音が徐々に感覚を縮めて迫ってくる。



 村人は音が大きく聞こえる地面まで恐る恐る近寄ると綺麗な芝生から土の割れ目が発生。



 なんだなんだと村人が集まりしばらくすると、音はおさまった。




 村人が凝視して見ているとー



 いきなりだ!



 やせ細った腕が天めがけて突き上げられた。

 村人の悲鳴が舞うが、重鎮であろう一人の老人が静止した。




「まてー」


「皆待つのじゃ」


 重鎮の声とともに村人が少しの安堵が回復。



「よく見てみぃ」



 汚い手だ。

 泥まみれの皮と骨しかない。

 この地を突き破ったというのか?



「地面から人が湧いてきたぞー」


 村人の一部が神の腕とあやすものが出てきた。



 重鎮は「これは神の降臨じゃ」


 バカバカしい。




 村人が戸惑っている中


「何をしているのじゃ早く引っ張りあげるのじゃ」



 力のある村人が数人集まりその腕を引っ張り上げようとしてきた。

 ロシアの童話 「おおきなかぶ」を真似るように「うんとこしょ、どっこいしょ」と引っ張る――




「スポンッ…」

抜けた。



 三十年振りの太陽だ。

 とても眩しい。



 俺は目を慣らすため少しずつ太陽の光を目に注いだ。



なんだここは……



 俺の目は少し時間が経つと、周囲を認識できるほど目が慣れてきた。

 その眼前には村人が正座をし頭を下げていた。




「おお、神よ」


「この村をお救いくださいませ」



誰だこいつら……



 土まみれの全裸。

 髪の毛は胸まで伸びた黒髪に、白が入り交じった長い髭で仙人を思わせる。



 俺は村人の声が耳に入ってきやしない。



「ギュルギュルギュルギュル~」お腹が鳴り止まない。




腹減った~


 俺のやせ細ったその身体は、筋肉など全くないほど骨が浮き出ていた。

餓死寸前。



「バタンッ」

 俺は気を失った。




×××




「バチン」

 火がはねる。

 日はすっかり沈んでいた。

 村は個々の家に火がともり、遠くから見ると綺麗だ。


 泥まみれだったワシもすっかり綺麗になり、布団をかけられ横になって眠っているが赤ん坊が泣く声に目をさます。



 村の重鎮達が神妙そうな顔で俺を窺う。



「ここは?」


「ここは辺境にある村です」

 村の長であろう老人が言った。




 身体を動かす気力すらない。

 布団をかけられて寝かされていることでこいつらに害がないことは認識できていた。



 ましてや神と言われ頭を下げられている時点でそう考える。



「貴方様は神であろうか?」


 何言ってんだこのじいさんと思いながらも俺は違うと話す。


「では、仏でありましたか」



 その答えにも俺は何言ってんだこのクソジジィと、会話がめんどくさい。



 おそらくこのじいさんは神、仏と勘違いしているようだ。

 確かに即身仏というものは存在するがそれは違う。


 俺はとりあえずめんどくさかったので

「そんなところです。仏と言うより神ですかね」

愛想笑い。



「神、神」


 村人たちは一斉に頭を下げた。



 俺は戸惑いながらも一緒に頭を下げる一人の若い女性に目をやった。

 谷間が丸見えだ。


 とにかくデカいおっぱいだ。

 俺はこの状況かにおいてもおっぱいを凝視。

 ニヤリと笑みがこぼれてしまった。



 それを見ていた重鎮は神がご所望と感じたのか


「早くおっぱいを持ってくるのじゃー」


「神はおっぱいがご所望じゃー」




 周りの村人が慌てて駆けだした。


 すると、未婚者であろう白装飾の女性たち五人が俺の前に並んだ。

 皆胸元ががっぽり空いた服装でよく見ると突起物が浮き出ている。


 俺はそれを拝見すると下半身の中心に熱がこもる。

性欲――



 左からB、C、C、ひとつ飛ばしてE、Fカップ

【俺の能力 奥義バストピンポイント診断】



「村で自信のある若い生娘をご用意しました」


「ご堪能を」



 俺の名はアーサー。

 94歳で亡くなり、30年後、64歳で蘇った。


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