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第十八話「神強五大序列」


 三十年前とは打って変わっていた。


 俺が長い眠りに着いたあとの話だ。

 無詠唱魔法を扱える者はそうはいない。

 それは元来変わらないものだった。

 魔法に長けた強者や無詠唱の才能に長けた者が扱えることができた。

 魔法使いの中でも無詠唱は攻撃回数とパターン、誘導性に長けているため、席巻されていた。


 ただ魔法使いの中で無詠唱が席巻されていた三十年前は、序列というものが存在していたが現在それはなくなっていた。


 現在ではその序列が無くなったことから剣士が主流と一部では言われているが、その夢の魔法と便利さ、筋力で劣るものに対して魔法は有効活用され、果たしてどちらが最強なのかは分からない。


 世界中に散らばる魔法使いの中でも特に中級から神級魔法までの無詠唱で扱える者は百と、

数える程度。


 だが、それは三十年前までの話だ。

 ある魔法使いが無詠唱魔法に長けた強者を次々に殺害を行ったのだ。


 師弟関係においても中級魔法以上を扱えた魔法使いは殺害された。

 当事者は理由も述べず、ただひたすら無詠唱使いを滅ぼしたという。

 それに伴い現在までに無詠唱で中級以上を使えるものは……


 ゼロ。


 この事件こそ史上最悪の大量殺人事件

「無詠唱の綻び」と呼ばれている。


「ルーシー」


 俺はその名を聞いて驚いた。

 それは俺の弟子の名だ。


 ガバリオンはその史上最悪の事件の話を行ったあと

 首謀者であるルーシーの名を語った。


 俺は表情には出さない。

 そして、ルーシーを蔑まない。

 なにか理由があると思う。

 きっとそうだ。

 俺は冷静さを保った。


「そのルーシーっていう魔法使いは大犯罪者だ」

「別に俺は魔法使いじゃないからどうでもいい話だ、どうなろうと知った話じゃない。それに興味も無いしな」

「それにルーシーは無詠唱の魔法使いしか殺さない話だし」

「たとえ、俺がそいつと対峙しても返り討ちにできる自信はある」


「ていうか、ルーシーって言うやつまさかお前じゃないだろうな」

 ガバリオンは俺に強烈な睨みを利かせてきた。


 俺は再び冷静を保った。


「そんな、私ではありません」


 その言葉を聞いてガバリオンの表情はもとにもどっていった。


「そうだよな」

「その犯罪者は女って話だしな」

「お前がなぜ無詠唱が使えるのかも詮索になっちまう」

「それも聞かないでおこう」


 俺は安堵した。


 ガバリオンとの間に見えない蟠りがあったが、それが無くなったと感じた俺はルーシーについてもっと情報が欲しい。


 あいつが今何をしていて、なぜ凄惨な事件を巻き起こしたのか、それが聞きたい。

 俺はガバリオンに対してルーシーの情報を聞き出そうとしていた。


「ところでそのルーシーというものは今も行方不明なのですか?」


 そんな軽い情報から聞き出そうとしていたが、ガバリオンは話を割って入った。


 再度、睨みをきかせながら、

「ならよー お前、俺の仲間になれよ」


「……仲間ですか?」

 唐突の話、わけが分からん。


「おそらく今や無詠唱魔法使いはこの世界でお前だけだ」

「取引しよう」

「地位名声はもちろんやる」

「その代わり俺の属する国の兵士になれ」


 俺はそんないきなりのスカウトにワクワクと困惑が走った。


「なぜいきなり、そんな……」


「無詠唱魔法使いなんてこんな稀なことはねー」

「お前が国に属すれば、他の国との脅威にもなる」

「それにお前はかなり強い」

「そんな奴がうちに入れば大国との大きな差が生まれる」

「ウチは大歓迎だ」



「ちょっと待ってください……」

「俺はどこにも属さないし、兵士にもならない」

「地位も名声もいりません」



「……そうか」

「属する気はないと」



「ええ……」



 いきなりなんなんだ?

 地位名声をやる?

 ちょっと嬉しいが裏があるだろう。

 俺は正式にお断りした。

 この答えが正しかったのか。

 俺は拒否したあと堂々と立ち尽くした。



「なら仕方がない」


 ガバリオンは突き刺していた剣を手に取り、左手でその刀身の根元から刃先まで撫でていく。

 その撫でと共に刀身が伸び、どす黒い緑色に変貌。


 恐ろしく長い刀身が真の姿を表した。


 俺はその正体が顕になる剣を見て思い出した。

 この剣もしかして、メイが言っていた親父が作った剣。


 その刀身の持ち主の名は

神強五大序列しんきょうごだいじょれつの一人


神剣(しんけん)ガバリオン


【魔法ランク全7段階】

・初級

・中級

・上級

・王級

・天級

・悪級

・神級

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