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第十六話「その身体に宿す強権のクリスタル」




 全身クリスタルに覆われた身体。

 神々しく光るその体からは自信しか感じ取れない。

 この世界の全てを飲み込もうとするその咆哮からも全ての者を威圧するであろう。


 牙や爪もそうだ。

 こんなものに噛まれたり、切り裂かれたりしたら致命傷どころではない。

 そしてそのイカつい瞳。

 全ての生物の頂点にいる目だ。


 その者の名は、クリスタルドラゴン。


 三人と一匹に対峙している。


 ドラゴンの前足が砕けた門を踏み潰し、せっかくぶった切った門をこうも簡単に踏み潰すとは、物理攻撃ではドラゴンの方がうわてだ。


 体長6メートルほどの巨体に、こちらも体同様にクリスタルで守る翼が備え付けられている。

 こんなにクリスタルを付けていたら飛べるのかと疑いたくなるが、それがドラゴンというものだろう。


 俺はとにかく焦っていた。

 後ろにいるみんなもどうしていいかわからないでいた。

 とにかくここは危険だ。

 後ろに逃げるか、そうすればあの巨体だ、洞窟内は狭すぎて追いかけて来れないだろう。


 ただ問題がある。

 この一方通行で特殊攻撃をされたらどうする?

 こんな洞窟で横に曲がることも出来ない。

 フレアなどの炎系攻撃でもされたら丸焦げは避けられない。

 俺がこの場の乗り越え方を考えながら出した答え


「みんな私に続け!」


 俺はドラゴンの至近距離に洞窟の直径と同じくらいの大きさの魔法陣を発生させ、ドラゴンに向けた。


 魔法陣からは高火力の炎の玉が発せられた。

 その時間わずか三秒。

 先手必勝。


 赤から青色まで高熱に変化させて、

 ドラゴンはそのファイヤーボールの勢いが強すぎ、爪で洞窟を掴むが、ファイヤーボールと共に奥に飛ばされ、岩壁に激突していった。


「今だ!」


 俺に続けと、二人と一匹は俺を前に洞窟内を抜けた。


 洞窟内を抜けた途端、再び三人と一匹に光が差し込んだ。

 とても広い空間だ。

 天井には空が見える。


 一応まだ洞窟内だ。

 天井が抜け、天窓のように太陽の日差しが差し込める。


 ここがクリスタルドラゴンの巣窟と言わんばかりの物があった。洞窟の壁や地面からクリスタルが軒並み生えていた。

 元々探していたのは金だが、金には劣るが、価値のあるクリスタルが俺の心を振るい立たせる。

 今すぐにでも周りにあるクリスタルを拝借したいが、

 まずはこちらだ。



 三人と一匹は洞窟を抜けて開けた場所に出ると、すぐさま全身を隠すほどの大きさのクリスタルの陰に身を隠した。



 岩壁に激突しそこから岩の下敷きとなったドラゴン。

 ドラゴンに覆いかぶさった岩が崩れていく。

 ドラゴンが起き上がったのだ。



 中級程度の大きさ、そして、威力のファイヤーボールに無傷。クリスタルの鎧のお陰であろう。

 ドラゴンは再び咆哮。



 再度ドラゴンの全身を見るとやはりでかい。

 俺の気持ちは上がっていた。

 こんなにワクワクする戦いができそうだからだ。



「みんなは隠れてください」

「このドラゴンはゴブリンのようにはいきません」


「私も戦います」


 アナがそう告げるが、


「ダメだ!」


 強く静止した。


 ゴブリンのようにみんなで戦おうみたいなやり方だと確実に誰か死ぬと俺は思っていた。


 俺だってバカじゃない。

 アナ達にとって力の差が歴然すぎるからだ。


「私に任せてください」


 物陰にしているクリスタルがまるで鏡のように光を反射し俺の顔が映し出されていた。


 どことなく怖かった。

 瞳孔が開き、口角が少し上がっていた。

 これから起こる戦闘が楽しみなのだ。

 憧れのドラゴンでもある。


 突然――

 目を細めてドラゴンの方を窺っていたメイが言った。


「あれ見て!」


 指さす方向にみな視線を向けた。


 ドラゴンの横にある大きなクリスタルの影に一匹の子狼が怯えて丸まっているのが窺えた。


 それを見たフォーが焦り顔。


「まさか!」


「あれもしかして、フォーが探してた子供!」


 フォーは慌てて子供を救出に向かおうとするが、アナとメイが静止した。


「フォーちゃん! 今行ったらフォー自身が危ない」


 フォーは泣いた。


 俺は唇を噛んだ。

 そこから赤い血液が流れ出た。


 クソが、何だこのバッドタイミングは、、


 どうするどうする。

 俺が行くか?

 いや、まだ相手の行動が読めない。

 下手に動いて俺がやられたら、アナたちが……

 でも見捨てるのか?



 そんなネガティブな考えを持って時間だけが過ぎていっている中、突如としてドラゴンに異変が起きた。


 今まで以上の咆哮を洞窟内に響き渡らせた。

 思わず耳を塞いでしまった。

 ファイヤーボールで怒りを買ってしまったか?

 そんなことを考えながら先程と違う異変を察知した。


 そして、ドラゴンの咆哮が終わると、ドラゴンがいきなり吐血した。

 大量の血液か地面にべチャリと吐き出された。


 吐血?

 様子がおかしい。一体なんだ?


「みんな見てくれ!」

「ドラゴンの様子がおかしい」


「えっ!?」


 ドラゴンは咆哮と言うより泣いているに近い声だ。

 お腹を抑えて再び吐血している。


 やはり様子がおかしい。

 今がチャンスだ。


 俺は転機と感じとり、快速を飛ばした。ドラゴンとの距離を2メートルとし、クリスタルの影で丸まる子狼をの側まで滑り混んだ。


 怯えた子狼が涙目で俺を窺っていた。

 見た目はフォーをデフォルメした可愛い姿。

 さすがは親子だ。


「大丈夫 お母さんのところに連れていくからな」


 俺は子狼を抱き抱え、ドラゴンの様子を窺いながらクリスタルの影から抜け出すタイミングを窺っていたが、ドラゴンはこちらに目をやることがない。


 それ以上に他のことを気にしているようだ。

 そして、いとも簡単に快速を飛ばし、子狼をフォーの元へ送り届けることに成功した。

 こうもあっさりしたことに対し、俺はドラゴンを凝視していた。

 そして、ゆっくり体が自然にドラゴンの方向に歩き出したのだ。


「師匠!?」


「アーサー様何やってるんですか?」


 二人の言葉とは逆に俺はドラゴンに歩み寄る。


「師匠危ない下がって!」


 ドラゴンとの距離2メートルとしたところで歩みをやめると、6メートルの巨体を見上げた。


「師匠!」


「アーサー様!」


 皆の叫びも耳を通らず見上げていると、ドラゴンの腹が急速に赤く膨れ上がった。


 まるでニキビに膿が溜まり破裂しそうだ。


 膨れ上がった腹の耐久率を超えたところで、

「パンッ」と破裂と共に爆風だ。


 真っ赤な血が吐血の20倍以上の範囲を染め上げた。


 そのせいで俺の体全身が真っ赤になってしまった。


「……」


「えーー!」


「ドラゴンのお腹が破裂したー」


 アナとメイは驚きを隠せない。

 フォーは久々の子供との再会に抱き合って俺には目もくれていない。


 そして、破裂したドラゴンのお腹から内蔵と共に突如と現れた。

 そいつも俺同様全身血に塗りたぐられていた。


「はー、クッセ」

「ドラゴンってのはこんなに臭いもんかね」




【ジャスミン(作者) 身近なニュース報告欄】♯1

最近、金の高騰で金を買っておけばよかったなと感じていますw

一昔前まで1g4000円だったのに1g8000円台って絶対金買うべきですね。

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