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第十四話「聳え立つ門の先に」


「バコーン」


 バカデカい音と巨大な振動が伝わった。


 メイは長らく構えていた弓を収め、乗っていたフォーから降りた。

 アナも肩を下ろし一息。


 右手に抱えたスナイパーライフルを解除しホログラムが結晶化していく。


 横たわる緑色のどデカい図体。

 ジャイアントゴブリンが仰向けになり大の字に横たわる。

 眉の中心に黒い窪みができ、そこから大量の血液が流れ出ていた。


 真紅。


 ジャイアントゴブリンも生き物だ。

 赤い血が通っている。

 時間が経つにつれて、貫通した脳天の後頭部からも血液が流れ、地面を赤く染めていく。

 これだけデカい図体をしている分、血液の量も多い。

 直径1.5メートルも地面を赤く染めていた。


 辺りを見るとそこら中、緑色の死体と、赤い血液だらけ。

 それに、何日も風呂に入っていないような汗の匂いが洞窟内を漂っていた。


 そんな惨劇が広がる洞窟内で静かな時間が流れたが、俺は発した。


「終わりました」

「皆さんよく頑張りました。ありがとうございます」

「とりあえず作戦成功です」


 三人と一匹からは笑顔が見られた。


 怒りと共同しながらも怒りばかりが主張せず、自身の力を存分に発揮した体。

 肩何が降りた。

 その時にドッと疲労が肩にのしかかる気がした。

 自分でもわかる。

 この短時間にストレスで少し痩せた気がする。



 ジャイアントゴブリンがしたことは許されることでは無いかもしれない。

 ただそれは人間側の意見であって、ゴブリン達にとってはこれが普通なのかもしれない。


 生き方の違いだ。


 ただこの世界の生きる道理とは強者なのかもしれない。



「師匠大丈夫ですか?」


 俺の疲れ切った表情を見て心配してくれたのだろう。


「ああ、大丈夫…」

 顔から汗が流れてくる。


 大した相手ではなかったが、さすがに疲れた。

 色々と感情移入してしまった。


「一旦、休みますか?」


「いや、先へ進もう。休むのはもう少しあとだ」


 こんな血生臭く、汗臭いところで休めるものかと誰もが思ったはずだ。



× × ×



 玉座があった場所の後ろに続く道。


 三人と一匹は、流石にトラップはないと思いながらも警戒しながら進んだ。


 先程の道とは違い、周囲直径2メートルと広さと高さがある道だ。


 とても歩きやすく、特に危険性もないと窺える。


「ここはどこに繋がっているのでしょう?」

 メイの声が反響。


「わかりません」

「もしかしたらまたゴブリンがいるかも…」


「えっ…」

 アナは怯えた。


 そんな、たわいのない話が続く。


「あ、前見て見て」

 と、メイが指さした。


「これは…」

 三人と一匹の前に立ち塞がる2メートルの門が存在。


 周りが岩でできた洞窟とは違う。

 違う物質で門が聳え立つ。

 門が岩にめり込み、更に何重にも鎖が門を縛っている。

 更には門の両端に金属でできた体長2mもの鎧を着た像が、槍をクロスさせて、門より先を通さんとするように立ちはだかった。


 人工物?

 これが自然な物には到底思えなかった。


 アナとメイは驚愕していた。

 そして、ずっと眺める。


「門…」

 俺は厳重すぎるこの門の先には何かあるとふんだ。



「すっごい大きいねー」


「ここを通るしか道はなさそうですね」


「でもどうやって?」


「ところでこの門番は動いたりはしないよね?」


 メイのフラグみたいな言い方。

 実にやめてほしい。


「壊すしかないでしょ」


 俺はあっさり簡単に言った。


「エクスプロードフレア」


 掲げた掌から赤黒く渦を巻いた球体が出現。

 直径20センチ程の小さな球体だ。

 ゴォーゴォーとガスバーナーから火が噴き出すような音。

 火力が増した。


 俺は皆に何も言わずに、躊躇なく打ち込んだ。

 そして、門へと発射され、衝突。


 爆風と衝撃派、粉塵が起こり、門に衝撃がはしった。


 衝撃と爆風から俺を含めて皆の髪の毛が一気にオールバックに変貌。

「キャー」といきなり過ぎる攻撃に悲鳴。


 数秒後、まだ粉塵が舞う中、

「やるとき言ってください!!」


 メイは怒った。

 乱れた髪と焦り顔に俺は吹き出した。


 メイの表情は眉間にシワを寄せて口がへの字になっていた。


 そして門を見ると、ビクともしていなかった。

 黒く焦げて傷は付いたがほとんど何も変わらなかった。


 俺自身も洞窟内のため、かなり抑えて放った一撃だった。

 これでも相当の威力はあることは知っている。

 この攻撃ですら傷しか付けれないということは相当厄介だ。


 粉塵が収まった。

 炎系の魔法で熱く熱した門の温度を手探りで確認しながら

 メイは門に手を当てた。


 メイの金属鑑定。


「この金属は……」

「……メテオクリスタルです」


 そうかメイは金属に詳しいことを忘れていた。 

 にしても、専門的すぎて分からん。


「メテオクリスタルとは?」


「非常に硬い金属の一種です」


「魔力をほとんど通さない珍しい金属」

「魔力耐性が非常に強い金属です」


「では、対策は?」


「えーっと この鎖を解いて門を開けるか、この金属の耐久率を超える魔法でダメージを与えるか、あとは物理攻撃かと…」


「そうか、ではここで休憩しましょう」



×××



 三人が地面や岩に腰掛け、一匹は伏せる。

 一旦休憩することに。

 その中で沈黙は空気が乱れて良くないと感じた。


「メイは昔から金属鑑定の能力が?」


「そうです。私の家系はみな金属を選別できる能力を要していて、そのことから必然的に鍛冶屋に」


「私はまだ新米鍛治職人、父さんと比べたら良い剣は作れなくてー」


「そんなに難しいこと?」


「ええ、ものすごーく」

「村自体は大したことないけど、素材さえあれば、大都市の鍛治職人には負けないくらいの剣を作ることができます」


「私はまだ出来ませんが、父はむかし、ある剣士さんの剣を作ってそれが広まって有名になったと話を聞きました」

「その方は恐ろしく強く、父が作った剣を大いに気に入ったそうです。そして、その方はその剣で数多の強者と対峙し、勝利しすぎたようです」

「使う剣は刀身が恐ろしく長く、自分の身長と同じくらいの長さがあると父から聞きました」

「そんな大層な物を父が作ったとはちょっと疑っています」

「でも、父はその話をすると真剣な表情で語り始めるからもしかしたら本当の話かも……」

「いま、その方がどこにいるのかは分かりませんが…」

「ただその方は、この世界で最強と言われる五人 」


神強五大序列しんきょうごだいじょれつの一人になられたとか…」


久々なのでルビの書き方忘れていましたw

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