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魔物

結局疲れは取れなかった。


深夜に起き、また寝る。


それを2回程度繰り返し今に至る。


疲れが取れるわけない。


体バキバキだしな。


でも行動しない訳には行かないので重い体を起こし、体を動かし始める。


目を閉じ、息を吸う。


身体中に巡る酸素、そして魔力。


その魔力を足に集め力を入れる。


今度は力を以前より弱め。


.....


いい感じだな。高いけど。


周りを見渡すと太陽がある方に行くにつれて木の密度が薄くなっている気がする。(木だけに)


着地する時に足に魔力を集める。


....


やっぱりいてぇな、前よかマシだが。


獣道の方向と同じか。


進むしかねぇな。


そう思い俺は太陽の方に足を進める。


シェルターに名残惜しさを感じながら。


--------------------


20分くらい歩いた時だろうか。


何かの魔力を感じる。


絶対に俺ではない身体の外から感じる魔力。


....魔物か。


進行方向の右斜め前を見ると2頭のイノシシか何かを見つけた。


俺がそれを見つけたと同時にそれの頭上にhpバーと名前が表示される。


[レッサーボア 2lv]

[レッサーボア 1lv]


レッサーボア。イノシシの下級種か。


うわこっちに気づきやがった...


レッサーボアがこちらを見た数秒後、こちらに突進してくる。


....は?


現世ではありえない速度だった。


40mくらいあった気が付くと20mくらいになっていた。


いややばいあれに当たったら死ぬ。


それを思った頃には身体は動いていた。


無意識に魔力を少しながら足に集め、足で横の地面を蹴る。


左にレッサーボアの突進が掠めて行ったのを感じた。


俺が後ろを振り向く瞬間に横からもう一体がこちらの横腹目掛け突進してくる。


また魔力を込め地面を蹴ったが少し遅かった用で、レッサーボアの牙が横腹を切る。


この前とは違った切り裂くような痛み。


痛みは大したものでは無いはずなのに足が動かない。


レッサーボアは突進の勢いが無くなった後に岩や木に当たりふらついているのに。


死への恐怖が足を進めなくさせている。


[恐怖耐性 1lvを取得しました]


その文字が出たと同時に足が動き出す。


ははっ、都合よすぎだろ。


俺はその方が助かるが。


思考が澄んで行く。


まずは1lvの方へ歩みを進める。


その頃には体制を立て直していてこちらを見ている。


赤い目。


魔物の証だろうか。


そんな事を思いながら俺は道中拾った丈夫な枝を手に持ちこいつと対峙した。


かかってこいと言わんばかりの視線をくれてやるとレッサーボアはこちらに突進してきた。


横にステップを入れ目の前に来たレッサーボアに対し、枝を振り下ろす。


『薙ぎ払い[一白]』と唱えながら。


レッサーボアの鳴き声が聞こえる。


声を聞くからにはそこそこ効いてるのだろう。


てかめちゃめちゃ効いてるな。


こいつらは攻撃が高く体力が少ないのか?


そう考えながらもう1頭を見るとこちらを見ながら後ずさっている。


逃げるみたいだ。


こちらとしても体力は残しておきたいし逃がすことにした。


まずは手負いのこいつを処理するか。


瀕死の生物を殺すのは躊躇いがあるが回復されてこっちが殺されるのは御免だ。


俺はレッサーボアに対して腕を振り上げこう言う。


「『薙ぎ払い[一白]』」


俺はふっと溜息をつき、岩を背にもたれる。


レッサーボアの死体を横目にしながら。


その数秒後背中に寒気が走る。


さっきよりも強い魔力が感じられる。


さっきの数倍高いぞ。


あのレッサーボアが他のやつを呼んだのか。


でもやるしかないか。


俺はひとつの生命を奪った枝を手に取り岩の後ろに感じる気配を確認する。


「昊か?」


そこに居たのは爽やかイケメンの紫沙 悠己だった。


「その声...悠己か?」


「そうだよ。良かった...昊が生きてて。」


「あぁ、ギリギリな」


「確かにギリギリだな。顔色も悪いし何よりボロボロだ。すまん、顔色が悪いのはいつもだったな。」


「うるせぇよ。」


森の中、2人の笑い声が響いた。


--------------------


話を聞くと悠己は4日前からこの世界にいるそうだ。


俺より2日先輩だな。


職業は魔法使いを選んだみたいでスキルは『火[一白]』を習得したみたいだった。


悠己はレッサーボアの他にアルミラージなる角の生えた兎を狩っていて、lvは3になっていた。


3lvの時にスキルポイントが貰えそのポイント『火[二白]』を習得していた。


前から尖ったことが好きだったから衝動で選んだのだろう。


なんなら本人から水の方にしとけば良かったと話を聞いた。


頭はいいけど馬鹿なんだよなぁこいつ。


でも良かった。


俺以外のクラスメイトがいて。


しかも親友がいて。


その日は悠己がしていたキャンプに泊まることにした。


近くに川もあり、焚き火もある。


焚き火は魔法でやったみたいだ。


便利だなぁ。俺も魔法使いにすればよかった。


まぁ無い物ねだりだ。


悠己は実質どこでも刃物が使える剣士が羨ましいと言っていた。


転生前は剣士にすると言ってたけどかいざ異世界に来ると魔法を使ってみたく衝動で転職したみたいだ。


でも合っていたみたいで気に入ってる様子だった。


めちゃめちゃ笑顔だった。


爽やかスマイルヤバすぎ惚れちゃうよ。

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