第二十四稿その3
パクチー君が走り出して自分の方へやってきたのを見て、ラクサはにやりと笑った。
まずいんじゃないの?
「パクチー気をつけて!」
私が注意するけどラクサは、もう遅いと言った。
「偉才、俺の手が火を吹くぞ」
ん? 何て?
ラクサが左手を顔の前に持ってきて偉才を発動したけど、私には中二病にしか見えない。
確かに左手が燃えてるけども。
「偉才を使った俺には勝てない」
そう言って手の炎をパクチー君に飛ばす。
「ちっ!」
舌打ちしてそれを避けるけど、そのせいでパクチー君の勢いは止められちゃった。
確かにあの偉才は厄介かも。
それにパクチー君は私の知る限り遠距離攻撃を持たない……
「ねぇ、よそ見していていいの?」
私の真横からシカカがパンチを繰り出してくる。
「しまった!」
焦ったけどギリギリ盾で防ぐ。
「あんた戦うのが嫌いだったんじゃないの?」
距離を取りながら私がシカカに言う。
「戦うのは嫌いだけど、今回は命令だから仕方ない。オイラたちの邪魔をするやつを倒せって言われた」
戦うのが嫌いでも、あくまでも掌握軍として私たちの前に立ちはだかるのね。
「負けても恨みっこなしよ?」
そう言って私は聖剣を構えて走り出した。
この人の偉才はおそらく場所を入れ替える力。
気をつけていれば大して怖くないはず。
それよりも問題なのは掌具よね。指輪盾だっけ? あれの防御力は半端じゃないからね。
うまくフェイントを使わないと!
私は聖剣でシカカに突くように攻撃を仕掛ける。
でもこれはフェイント。本命は躱された瞬間に躱した方向へ切りつける攻撃!
例え掌具でガードされても、ホーリーブレードアタックでダメージを与えてやる。
「偉才、いつの間にそんなところに」
いきなりシカカが偉才を使ってきた。
私とシカカの場所が入れ替わった。向いている方向は以前と変わらない。
つまり、私とシカカは今背中を向け合っている。
「掌具:指輪盾」
こっちを見ずに掌具を使うの?
私とシカカの間に大きめの盾が現れた。
急いで振り返るけど、シカカの姿が盾に隠れた。これが狙いね。
でも姿を隠してどうするの?
念のために聖盾を構えていると、突然それは現れた。
「掌具:靴沼」
「しまった!」
思わず声が出た。
またもや私は沼にはまってしまった。
しかも今度はシカカは確実に私を殺そうとしている。
異世界に転移してから最大のピンチが私に訪れた……




