第二十三稿その4
パクチーとヤイは互いに譲らない戦いをしていた。
パクチーの血祭、爪伸に対して前回同様にヤイは握器:指輪剣で対抗した。
「前回と同じか?」
ヤイがパクチーが成長していないことにがっかりする。
「てめぇは前よりも動きに磨きがかかってるようだな」
一歩も譲らない戦いだが、どうやらヤイにはまだ余力があるようだ。
「掌握軍は常に戦闘を行っている。その最前線に出されるのが俺だ。いくらバンパイアの運動能力があるからと言って、前線で鍛えられた俺の剣から逃れられると思うなよ!」
手にした剣で前後左右からヤイが切りかかると、次々にパクチーの体に傷ができ始めた。
「決定打は避けているが、ダメージは蓄積されているぞ?」
ふん。と鼻を鳴らしながらヤイが言う。
決定的なダメージを与えられていないことに、多少の苛立ちを感じているようだ。
「血祭、熱血」
パクチーが新しい血祭を見せる。
熱血は、自身の血を高温にする技だ。
今パクチーはヤイによって切られている。
そのパクチーの血がヤイに付着しているのを見て使ったのだ。
『皮膚がただれるように熱い……どんな攻撃か分からんがこれは危険だ!』
当然ヤイには何で熱くなっているのかは分からない。
それでも身の危険を感じたヤイは、偉才を使って熱さをパクチーに移すが、そもそもパクチーの力によって血が高温になっている。
高温をパクチーに移したところで効果はなく、ヤイの体にパクチーの血が付着している限り、その効果は続く。
「何だこの技は……!」
どんなに熱さを移してもパクチーへのダメージは見当たらない。
自分は偉才を使えば使う程体力を消耗する。
「くそ!」
引く。というのはヤイにとっては屈辱的だったが、一時的にパクチーの前から撤退した。
一方のパクチーも血祭を使いすぎたせいで、ヤイを追うほどの気力はなかった。
「やれやれ」
そう呟いてパセリの方を見ると、沼に捕まり敵を逃しているのを目にする。
「役立たずが」
悪態をついてパクチーがない体力を振り絞って走り出した。




