第二十三稿その3
掌握軍の攻め方は前回と全く一緒だった。
先頭に騎馬集団、その後に本命が来る。
パクチー君が強いと言ったのは、その本命のことだろうね。
何しろ先頭の騎馬集団は全部パクチー君が倒しちゃったからね。
「お前か……」
歩いてくる敵が呟く。
見覚えがある男だった。
確かケルベロス部隊のサレの部下だった男。名前は確か――
「ヤイ!」
パクチー君が叫びながら飛びかかる。
前回はパクチー君の負けだったからね。リベンジしたいんだろうね。
私はもう1人の男を相手にすることにした。
こっちの男は見たことない男だね。
前回の太っちょはいないのかな?
「オイラは戦うのがすきじゃねぇ。そこをどいてくれねぇーか?」
少年っぽい男の子が私に言う。
「それならあなたが引けばいいわ」
ちょっと強気に私は言い返してみた。
つんけんどんな感じが、青春時代の学校の教室みたいじゃない?
「それはできない。戦いを世界から無くすまでは。偉才、いつの間にそんなところに」
男の子が偉才を使うと、突然私が居た場所が変わった。
さっきまでは、私は建設中の砦を背に男の子と対峙していたのに、今私がいる場所はさっきまで対峙していた男の子の場所。しかも向きはそのまま砦を背にしたままだ。
それにしても偉才って、全部こんな変な名前なのかなぁ?
いや、そんなことないか。傷の変換は普通だもんね。
「場所を入れ替える力かー。ちょっと厄介だね」
くるりと振り返りながら私は言い、聖剣で男の子に切りつけた。
「掌具:指輪盾」
男の子の右手小指の指輪が巨大な盾になって、私のホーリーブレードアタックを防いだ。
「オイラは戦うのが嫌いだと言っただろ?」
そうは言われても私だって守るべきものがあるんだから。
「戦いの世を終わらせるだっけ?」
「世界から戦いを無くすだ」
盾と剣のつばぜり合いの中、私たちが少し会話をする。
「どっちでもいいわよ。でも戦いを始めているのは掌握軍よ?」
「知ってる」
どん。と盾で私を押してくる。
「じゃあなんで!」
「世界がオイラの家族を奪ったからだ。掌具:靴沼」
男の子が別の掌具を使うと、私の膝あたりまでどっぷりと沼に浸かっていた。
「な、なんなのよーこれ!」
動きにくいし、匂いが酷いし汚いし嫌な掌具だわ。
「じゃあな。オイラは先に行く」
私が沼にはまっている間に男の子はどんどん建設中の砦へ向かって行く。
ちょっとー。砦にはバジルちゃんとルッコラ君がいるとはいえ、こんな地味な敗北嫌よー。




