第二十三稿その2
バジルちゃんがルッコラ君と一緒に戻って来た時にはもう、砦の建設が始まっていた。
敵もさすがにバカじゃないから、砦を建設させないように邪魔しにくるけど、こっちにはパクチー君がいるからね。
「それにしても手ごたえがなさすぎじゃない? 掌具や握器を持っている者はたまにいるけど偉才を持つ者が1人もいないわ。前線なのにどういうことかしら?」
私が疑問を口にするとクレソンちゃんが考えるまでもない。という感じで答えてくれた。
「こっちには奪うべき土地がないからでしょうね。守るほどの脅威でもなかったとも言えるけど」
「つまり油断してた……だから塹壕とかもなかったのか……」
私が納得するとクレソンちゃんも、そゆこと。と頷いた。
「この油断は十分に使えるからね。このまま一気に行けるところまで行くよ」
クレソンちゃんが真っすぐ前を指さす。
「でもさぁー。それだとこの砦がまた無駄になるんじゃないの?」
バジルちゃんがもっともなことを言う。
確かに、前線を更に押し上げたら今作ってる砦も無意味になる気がする。
「この砦とさっきの軍事拠点を最終的に繋げるから平気」
さらっとクレソンちゃんが言ってるけど、何を言ってるのか私には意味不明だった。
「ま、そのうち分かるわ。パセリちゃん。あなたのおかげでクレソン物凄いことを思いついちゃったのよ。ありがとうねー」
にっこりと微笑まれて両手を握られるけど、私なにかしたっけ?
拠点とかのアイディアしか出してないけど?
「バジルちゃんとルッコラちゃんは砦の建設を手伝ってちょうだいー。クレソンは軍事拠点に戻ってここの砦と繋ぐ準備をしてくるねー。パセリちゃんとパクチーちゃんは敵を倒しつつ前線を押し上げられそうなら押し上げちゃってー」
あ、のほほんとした喋り方に戻った。
クレソンちゃんは後ろ手に手を振って軍事拠点まで下がって行った。
ま、護衛に訓練した村人が何人かついているから平気か。
バジルちゃんは勝手に砦建設のリーダーになってやる気出してるしね。
「やるわよルッコラ」
グイっと腕まくりをする仕草をするけど、あなたノースリーブじゃない。
苦笑いを噛み殺しつつ私は目の前を真っすぐ見据えた。
私が敵だったら、ここらでちょっと強い敵を投入する。
「おいパセリ。あの敵は強いぞ」
目の前をゆっくりと闊歩してくる敵の集団を見てパクチー君が言う。
やっぱりね。
「やりますか」
気合を入れて私も迫ってくる敵に向かって行った。




