第二十二稿その2
私の当初の目標通り今サラダ村の住人もレタス村の住人もサラダ村に住むようになった。元サラダ村は完全に居住区となった。
そして元レタス村が産業区だ。農作物を作ったり、鶏や牛、豚などを飼育している。
つまり私たちはこのまま元サラダ村で、重役たちだけを集めればいい。
「さっきの話しだけど、楔を打ち込んだら東側の林方面を落とした方が全体の戦略図的にいいと思うわ~」
のほほんとした話し方に戻ったクレソンちゃんが、今後の軍事展開について語る。
私個人としては、楔を打ち付けたまま真っすぐ侵攻した方が大きく土地を削れる気がするけど、現実はそう甘くないらしい。
「確かに楔を深く打ち付けて、三角形の形のまま侵攻すれば大きく土地を削れることは間違いないわ~」
そう。単純だけど三角形の形を保って、侵攻した分底辺を広くすれば侵攻した相手の土地の中に打ち込んだ楔の三角形が少しずつ大きくなるわけだから、その分相手の土地を削れると思うんだよね。
「でもね、その分守るべき場所も大きくなって守りにくくなっちゃうのよ~。それよりも楔はある程度の大きさに絞っておいてその楔と後方の拠点から兵を派遣して別の拠点へ攻撃を仕掛けて、そこの拠点も自分達の土地とした方が守るべき対象が少なくて済むわ~」
「最後にその拠点同士を繋げばいいってこと?」
「そうそう~。というよりも、ある程度拠点が複数できたら自然と前線が下がるから楔の三角形を大きくするよりも時間も兵力も少なくて済むと思うんだ~」
なるほどねー。拠点を複数作る方がいいのか。
「もちろん、拠点を作りやすくするためにもある程度の楔は必要だよ~。あ、みんな集まってるわ~」
クレソンちゃんが前方を指さす。
村長の他、各村の重鎮たちが集まっていた。
「えー。村の強化を協力してくれてありがとうございます。これで私たちは運命共同体となりました。そこで皆さんに提案があります」
私がここまで言うと集まったみんなに緊張が走った。
「それはつまり……」
レタス村の村長が以前とは違って緊張したように発言する。
「掌握軍によって支配された地域の解放を手伝うということですか?」
「話しが早くて助かりますぅ~」
緊張したように言うレタス村の村長に対してクレソンちゃんが微笑みながら答える。
「い、いやちょっと待て」
緊張しつつも威厳を保つように話しかけるのはバンパイア村の村長だ。
「我々は確かにこの村を一緒に守ることには同意した。それにも協力してきた。それはこれからも変わらないだろう。しかし、こちらから攻めるとなると我々の村の住人が被害を受けることになる」
「あらあらあら~?」
自分たちの村の住人だけは被害を与えたくないと言わんばかりのバンパイア村の村長の言葉に、クレソンちゃんが異を唱えた。
笑顔を作っているように見えるけど目が笑ってないところを見ると怒ってるんだろうね。
「私たちは命がけで皆さんの村を守っただけでなく、掌握軍に支配されているこの世界を解放しようとしているのに、皆さんはご自身や自身の村の住人の安全についてはとやかく言うくせに安全に過ごせるための協力はしないと言うのですかぁ~?」
笑いながら言ってるけど目が笑ってないよクレソンちゃん。
そう言われては他の村の重鎮たちも断れない。
結局、なるべく被害を出さないという前提条件のもと、村人を兵隊としてこの世界から人民掌握軍を無くすことに同意した。
この決定により、レタス村、サラダ村、バンパイア村、フェアリー村は人民掌握軍と完全に敵対することになっていくのだった。




