第二十一稿その5
私たちはバジルちゃんの家というか宮殿に連れて行かれた。
勝手に聖剣を抜こうとしたことで怒られるんじゃないの?
「まずはお帰りバジル」
優しくバジルちゃんのお母さんが微笑む。
「べ、別に帰って来たわけじゃないんだけど」
フンとそっぽを向いてツンデレ対応するバジルちゃんは何だか可愛い。
「勇者様も、ようこそ。そしてバジルと仲良くしてくださってありがとうございます」
「え、あ、いえ」
改めてお礼を言われるとちょっと緊張する。
「それで、聖剣を入手しに来たのですか?」
早速核心を突く質問だねー。
「そうだ。パセリは勇者だから聖盾を持っている。もう1つの勇者の印の聖剣を手に入れる必要があるんだ」
ちょ、パクチー君。そんな言い方しちゃ駄目よ。
「そうですね。まずは確認しておきたいのですが、バジル。あなたはまだ王位を継ぐ気はないのですか?」
「ないよ」
バ、バジルちゃん即答じゃない。
いいの?
「では勇者様。これからもバジルの面倒を見てくれますか?」
「え? 私? ですか? 面倒を見るって、そう、ですね。はい。その、バジルが一緒に来てくれるなら一緒に居たいと思っています」
急に聞かれてちょっとドギマギしちゃった。
あ、バジルちゃんのこと呼び捨てにしちゃったよ。
「王妃様」
私がドギマギしているとクレソンちゃんが、しっかりとした口調で話しかける。
「あら、あなたはクレソンじゃないですか。あなたも勇者様と一緒に旅を?」
「えぇ」
にこりとクレソンちゃんが答えると、バジルちゃんのお母さんの顔が晴れた。
「それなら安心ですね。それでは勇者様、聖剣を引き抜きに行きましょう」
すくっと立ち上がってバジルちゃんのお母さんが言う。
私はとりあえず、はい。と返事をしてそのまま後を付いて行くことにした。
再び丘の上を登って、どうぞと言われたから聖剣を抜いた。
よくありがちの強く刺さってて抜けないとか、勇者の資質がないと抜けないとかそういうのは全くなくて、普通に抜けた。
「バジルのこと。よろしくお願いいたしますね」
お母さんは最後までバジルちゃんのことを心配していた。
そっか。きっと私に念押しするためとバジルちゃんの気持ちを確認したかったんだ。
こうして私は聖剣を手に入れてやっと勇者の印を揃えることができた。
長かったよ。
私たちは再びサラダ村に戻ることにした。
ちゃんと村の長たちは協力してくれていただろうか。
心地よい風が吹くと私のちょっとしたそういう不安を吹き飛ばしてくれた。
最初こそ1人だったけど、今はフェアリーとバンパイアが仲間になってくれて主人公の印も手に入れた。
自分が作った内容とは大分違ってきているけれども心強い味方と一緒に頑張るしかないよね!
吹き抜けた風がアヤメの髪を優しく撫でて去って行った。




