第二十稿その4
日にちが経つにつれて3つの村をグループ囲う柵はどんどん出来上がっていく。
奇妙なことだけど、大きな柵の中にサラダ村だけを囲う柵があって、サラダ村の北道付近には、敵の襲撃を防ぐために一直線の柵まである。
まぁ小さなことから少しずつ大きくしていった結果だね。
ある程度の目途が立ったところで、私たちは再び顔を合わせた。
第2回掌握軍対策会議が始まった。
「おかげさまで、掌握軍を防ぐための柵は完成間近です。」
クレソンちゃんが前置きをする。
「前置きや挨拶などはいらぬ。要件を申したまえ。」
相変わらずの上から目線なのはバンパイア村の村長だ。
「私たち勇者は、伝説の武器聖剣を手に入れる旅に出ようと考えています。」
クレソンちゃんが直球で伝えると、レタス村の村長とバンパイア村の村長が次々に畳みかけてきた。
「何!?この柵はどうするんだ?」
「勇者がいない間に掌握軍が攻めてきたらどうするつもりだね?」
予想通りの反応だね。
「まさか、我々の村から人員を出せ。と言うわけではないだろうな?」
相変わらずバンパイア村の村長が息を荒げている。
「それに勇者様は、柵に掌握軍が迫ってきたらすぐに駆けつけると言いましたよね?」
レタス村の村長が私に言ってくる。
それを言ったのはクレソンちゃんだけどね。
「まぁ、私がいない間はサラダ村・レタス村・バンパイア村で協力してもらうしかないと思います。」
苦笑いしつつ答えると2人の村長から鬼の形相で迫られた。
「これも均等割りとか言うのか!?」
「バカな!我々レタス村はそこまで協力すると言った覚えはありませんよ!?」
そんなこと言っても仕方ないじゃん。
「ふざけるな!人間の身勝手でバンパイアを危険に晒せるか!」
「聞き捨てならんぞバンパイア!我々レタス村は勇者たちのように身勝手ではない!同じ一括りにするな!」
今度は村長同士で言い争いを始めたよ。大人の話し合いじゃなかったの?
それにしても聞けば聞くほどイライラする。
私が身勝手?そっちはもっと身勝手でしょうが!
「もういい!それなら連携は解除しましょ。私は掌握軍を倒すために体を張って、伝説の武器を手に入れようと考えているのに、あなたたちはそれに協力する気がないのでしょう?何かとつけては自分たちの村がー村がーって!ちょっとは協力しなさいよ!」
…
間が開いた。
はっ!しまった!
「えっと…その…」
「もういいぞパセリ。」
慌てる私をパクチー君が落ち着かせた。
「俺は今てめぇが言った掌握軍を倒すってのに賛同して協力してんだ。元々国作りになんて興味がねぇ。さっさと聖剣を手に入れるぞ。」
「私も人間とバンパイアの国作りに興味なんてないわ。いくわよルッコラ。」
バジルちゃんがルッコラ君の耳を引っ張りながら、前を歩くパクチー君を追う。
「痛い痛いよぅー。うぇーん。」
泣きながらルッコラ君も会議の場を後にする。
「さてパセリちゃん。」
にこりとクレソンちゃんが微笑んでくる。
「クレソンたちも行きましょう。」
「え、でも…」
私が、まだ固まっている2人の村長を見る。サラダ村の村長は大きく頷いている。
いいの?
「パセリちゃんが言ったんでしょ?連携を解除するって。後はどうするかはその2人の村長さん次第でしょ?クレソンたちがいない間の態度で分かるはずよ?」
私を押しながら会議の場から出る。
「クレソン。いいの?」
村の外で聞くと、いいのよ。とクレソンちゃんが笑顔で答えた。
「さっきのパセリちゃんの言葉で、勇者と組んだ方がいいとあの2人の村長も気がついたはずよ。大丈夫。ちゃんとやってくれるわよ。私たちは私たちのやるべきことをしましょ?まずは聖剣を手に入れて、それから村の防衛機能を強力化して、いよいよ掌握軍を切り崩しにいくわよ?」
ぽん。と背中を押されて私たちは村を後にした。
暖かい風が私たちをそっと包んだ。




