第二十稿その2
サラダ村の村長の家に主要人物が集まって第1回掌握軍対策会議が始まった。
もちろん題目は名目上で話しの内容はサラダ村との連携が中心。
ただ、やっぱりみんな自分の住み慣れた村を出たくない人が多い。
わざわざ作物や資材を提供だって無償ならしたくない。できるだけ高値で売りたい。でも人民掌握軍からは守ってもらいたい。
これが本音。
あとは腹の探り合いだ。
正直私には向いていない。
「私は人間もバンパイアもどうなろうと知ったこっちゃないわ。」
バジルちゃんは早々に会議からリタイアした。
行くわよルッコラ。とか言って村長の家から出ようとしたもんだから、さすがにまずいと思って慌てて引き留めた。
「俺も連携とか同盟とかはどうでもいい。掌握軍さえ全滅させられればな。」
ふん。と鼻を鳴らしてパクチー君も無関心を貫いた。
頼みの綱は戦略を練るのが上手なクレソンちゃんだけになってしまった。
頼むよ?クレソンちゃん!
「まずはっきりとさせておきたいのですが、勇者はサラダ村を守ります。」
大方みんなの意見が出終わってから、クレソンちゃんがいつもののんびりとした言い方ではなくはきはきとした言い方できっぱりと言う。
「これは、連携していようといまいと変わりません。」
レタス村の村長が何か言いたげなのを遮ってきっぱりと言う。
「私たちは5人です。この5人で3つの村を同時に守ることは物理的に不可能ですからね。」
ツンとした言い方をしてる。珍しい。
「それならば、我々バンパイアが連携を取ることはない。」
バンパイア村の村長が息を荒げる。
そりゃそうだ。守って貰えないならメリットないもん。
「まぁ、私たちが住んでるフェアリー村もそうですけど、バンパイアとフェアリーは勇者に借りがありますよね?」
フェアリーもなの?バンパイアは村を救ったという貸しがあると言えばあるけど。
「そんなもの。パクチーとルッコラが仲間になったことでチャラだ。」
またもやバンパイア村村長が息を荒げる。
でも言ってることは真っ当だ。
「百歩譲って、これでチャラだと言うならば連携を取る取らないはもちろんその村の長が決めることです。ところで、私たちのサラダ村にはご覧になったように防護柵が施されています。勇者の案はこの防護柵をさらにレタス村やバンパイア村にまで広げるというもの。その防護柵の近くに掌握軍が進軍してくればすぐにでも勇者は駆け付けますが?」
なるほど。下手に出ないでむしろ向こうの足元を見た感じかな?
「その柵を囲うための資材や人材はどうするつもりだね?」
レタス村の村長だ。
「連携を取るならば均等割りかと?」
さも当然のようにクレソンちゃんが言う。
にこりとした冷ややかな笑顔に他の村長は何も言い返せずにいた。




