第十八稿その4
バジルとルッコラは掌握軍のルートと戦っていた。
ややぽっちゃりしたルートの偉才は不思議な体。
自分の体の特定箇所をブヨブヨにできる力だった。
ヤイとは違った形で攻撃が基本的に無効化される力だ。
「掌具:靴の羽。」
ルートが言うと、ルートの履いていた靴の左右から、天使を思わせる真っ白でフワフワの羽が生えた。
それはまるで、女児アニメに出てきそうなアイテムだった。
「私の羽に対抗しようっての?」
「お、おで…」
バジルが挑発するように言うと、ルートがどもる。
「「おで??」」
バジルとルッコラの声がハモる。
「おで、妖精さんと仲良くしだーい!」
そう言うなりルートは、羽の生えた靴で飛んだかと思ったらバジルを捕まえようと手を伸ばす。
「な!何なのよこいつは!」
そう言うバジルの顔はやや引きつっている。
しかしルートの動きは想像以上に早く、簡単に捕まってしまった。
「バジルさん!僕の友達をいじめるなぁー!」
バジルに攻撃をされたと思ったルッコラは激昂し、パクチーと同じ爪を伸ばす血祭を発動した。
「と、友達?」
ルートに捕まったバジルはがっくりうなだれる。
私とあんたは友達かよ。などと小さく呟いていた。
ルートはフェアリーを捕まえたことで満足したのか、両手で大事そうにバジルを持ちながらニコニコしていた。
「このぉー!」
ブヨブヨの体に打撃攻撃は効かない。しかし爪での斬撃なら効果はあると判断したルッコラは正しい。
加えてバンパイア特有の身体能力の高さはルッコラも例外ではない。
従って、並の人間ではルッコラのスピードに付いていけない。更にルートは他の人間よりも行動が遅いため、たとえ目が追いついたとしても体がついていかない。
そのまま素早くルートの腹部に伸ばした爪を突き刺そうとした。
ルッコラに誤算があるとすれば、ルートの持つもう1つの掌具だろう。
「掌具:邪悪な口。」
ルートのもう1つの掌具はベルトだった。
ベルトが巨大な口へと変わり、大きく開いた。
「!」
咄嗟の判断で攻撃を辞めて回避したルッコラは正しい。
邪悪な口は、ありとあらゆる物を飲み込む効果を持つ。
「おでの邪魔をするな!握器:腕輪石!」
ルートが右手を前に突き出すと、腕輪が光ってルッコラの上空からいしつぶてが降り注いだ。
ちょうどバジルが前に突き出されたような状態になっている。
ルッコラは上空から降り注ぐ石から片手を上げて顔を防いでいる。
「うぅぅぅー。バジルさーん。」
さっきまでの激情はどこへ行ったのか、いしつぶて攻撃で半ベソをかいている。
「なんで捕まっている私にあんたは助けを求めるのよぉー!」
キィー!とバジルが怒るが、ルートの手から抜け出すことはできない。
「邪魔者。排除ずる。」
縮こまっているルッコラのことをルートが踏み潰そうとした。




