第十八稿その2
サレは相変わらず箱を取り出して放り投げてくる。
あれ、確か消耗が激しいとか言ってなかった?って思ったら中身はアイテムか!
「あの箱の中身って本当に何でも自由なのかな?」
ある程度回復していたクレソンちゃんに聞いてみる。
もしも、本当に何でも自由に中に詰められるなら、正直私たちに勝ち目ないじゃん?とゆーか反則するぎる。
「体力を著しく消耗する。というだけじゃ割に合わない偉才だもんね…」
クレソンちゃんも私に同意する。いつもののんびりおっとりとした話し方をしなくなった時は本気で物事を考えている時。
「中に入れる物には条件があるのかも…でも何だろ?ロボットまで出し入れ自由だったから中身の制限とかじゃなさそう…そういえばあのロボットはサレが自分で作ったって言ってたっけ?」
私がブツブツ言うと、クレソンちゃんが閃いたような顔つきをした。
それにしてもパセリ冴えてるなー。
自分が作ったキャラだったけど、こんなに状況を読めるキャラだったっけ?
「例えばなんだけどさ、箱自体は自由自在に出せるけど、その中身は自分で事前に用意しておく必要があるって力だったらどうだろ?」
サレが恐らく体力を回復するであろうアイテムをごくごくと飲むのを遠くから見てクレソンちゃんが言う。
「ありえるね。だとしたらあいつが用意した中身を全て使い切らせればこっちの勝ちなんじゃない?」
そう言った後に私は隣で話を聞いていたパクチー君を見た。
「任せておけ。」
そう言うとサレに向かって走り出した。
しかしその前にレタス村に向かった方の男が立ちはだかった。
ぱっと見、男は掌具も握器も持っていないように見える。
「邪魔だぁー!」
パクチー君は爪伸で伸ばした爪で前に立ちはだかる男を攻撃した。
「握器:指輪剣。」
男が呟くと、右手人差し指に付けていたシルバーリングが剣の形に変形した。
あれが形が変わるタイプの握器か…
そのままパクチー君の爪攻撃に応戦した。
「僕が行くよ!」
パクチー君が足止めされたことで今度はルッコラ君が走り出した。
「あ!待ちなさいよ!あんた1人じゃ無理に決まってるでしょー。」
バジルちゃんも付いて行ってくれるなら安心かな。
しかし、ルッコラ君とバジルちゃんの前にはもう1人の男が立ちはだかった。
「血祭、硬質化!」
ルッコラ君が両腕を硬くして立ちはだかる男にパンチを繰り出す。
こっちの男も何も持ってないように見えるけど、さっきのやつと同じように掌具や握器を使うのかな?
ちょっとぽっちゃりしてて戦闘向きの体型には見えないな…
「偉才、不思議な体!」
男がそう言うと、ルッコラ君のパンチをお腹で受けた。
「な、何だ?」
ルッコラ君が戸惑う。
そのまま前のめりに躓く。
よく見ればその腕は男のお腹のお肉に埋まっていた。
いくらぽっちゃりしてても、パンチを繰り出した拳どころか腕が肘の辺りまでお腹に埋まっているのはどう見ても異常だ。
さっきの偉才に関係があるんだろうね。
それにしても――
「あの2人がサレを守るってことは、それだけサレは重要人物ってことだよね?」
私のカバンから出てきてふわふわ飛ぶクレソンちゃんに言うと、クレソンちゃんも頷いた。
「小将軍だからねー。かなり高い階級だしあの偉才も厄介だからねー。掌握軍としては守りたい人物の1人なんじゃないかなー?」
またのほほんとした言い方に戻りながらも、クレソンちゃんは私に切れかかっていた浮遊の妖精魔法をかけてくれた。
「サレの守護者がいなくなったところで、私たちの出番だね!」
私はパタパタと飛びながらサレに向かう!




